1.はじめに

2015年6月にマッターホルン登頂経験者のTSさんとの立ち話から、“行きますか!!”の話が浮上し、みろく会員のMI、KK、YT、YI、AF、ESの6名で2016年8月に行くことになった。2015年11月から2016年の8月中旬まで各種事前トレーニングを重ねて8月20日(土)に成田を出発した。(記:MI)

日程表
日程 行程
2016/8/20  成田国際空港からドーハ経由便でジュネーブへ
21  ジュネーブからバスを乗り継いでシャモニーヘ
22  インデックスで岩登り
23  クールマイユールに移動後、ダン・デュ・ジェアン登頂。トリノ小屋泊
24  エギーユ・デュ・ミディ経由でシャモニーへ下山
25  エギーユ・デュ・ミディ、コスミク稜付近で岩登り
26~27① 26 シャモニーからツェルマットに車で移動後、ヘルンリ小屋へ。ヘルンリ小屋泊
27 マッターホルンに登頂、その日のうちに下山してシャモニーに戻る
26~27② 26 シャモニーからスタファルに車で移動後、グニフェッティ小屋へ。グニフェッティ小屋泊
27 モンテローザに登頂、その日のうちに下山してシャモニーに戻る
28 インデックスの隣の岩場でマルチピッチ
29 ゲレンデで岩登りトレーニング
30 バスでジュネーブへ移動。ドーハ経由で成田へ
31 成田国際空港に到着
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2.シャモニー(Chamonix-Mont-Blanc)8月21日(日) 快晴

カタール航空でジュネーブに着き、そこからシャモニーに向かった。マッターホルンならツェルマットでしょうと思われるかもしれないが、今回はガイドの依頼先を選ぶ基準として価格を第1に考えたが、シャモニーであれば2つの街を楽しめるというのもその理由でMountain Spirits Guideというシャモニーのガイドに決定した。テスト山行とマッターホルン登頂前後の登山はシャモニー周辺で行い、マッターホルン登頂のときだけガイドの車でツェルマットに向かうことになる。(車で約2時間)

バスでシャモニーに近づくと頭上にはパラグライダーが沢山見えてきた。ここはパラグライダーのメッカでもあるらしい。

シャモニー到着後、スーツケースを転がしてヘリコプターレスキュー保険の手続きができる事務所に向かった。この事務所の場所が分からなかったが、たまたま近くにあった観光案内所の日本語が話せる女性担当者に教えてもらってやっと到着。なんと一軒家の3階にあった。分からないはずである。

シャモニーは何かお祭りの前の雰囲気だったが、それはUTMB(ウルトラトレール・デュ・モンブラン)の開催を控えていたためだった。UTMBはヨーロッパアルプス最高峰のモンブランを取り巻くフランス・イタリア・スイスにまたがる山岳地帯を走るトレランの大会で、169km、累積標高差9,889mを走るコースをメインに、幾つかのコースがあるようだ。そういえば以前NHKが特集番組をやっていたのを思い出した。空港であった日本人から聞いたところによると、今回は日本から150名程度参加するとのこと。

その後貸別荘(これはAirbnbという民泊システムで予約した)に向かったが、坂道をスーツケースを押しながら歩くのは少々疲れた。貸別荘は思ったよりも狭かった。が、中心部から近いし、一人1泊6,000円という価格を考えると、まあまあかなと納得する。

バルコニーに出てみるとエギーユ・デュ・ミディやモンブランが綺麗に見えた。

夜7時にガイド2名が来てくれて、翌日からのスケジュールを打ち合わせ、その後空港で調達した夕食を食べて就寝。この時間でもまだ外は明るかった。(記:KK)

(写真をクリックするとスライドショーで見ることができます)

3.インデックス(Index) 8月22日(月) 快晴

2日目から5日目に行くインデックス、ダン・デュ・ジュアン、エギーユ・デュ・ミディの地図

map-index-geant-midi

初日はインデックスの登山である。ガイドの車に分乗して車で5分のレ・プラに向かい、そこからロープウェイでフレジェールに上がり、さらにリフトでインデックスのふもとまで行く。ここはスキー場としても有名なところらしい。そこでクライミングの装備(ただし靴は重登山靴)をした後、今日は2名に1名のガイドでアンザイレンをして取り付き点に向かう。

取り付き点に着いたらガイドがもう1本ロープを出して、今度は一人ずつロープで繋げて、ガイドが声をかけると一人ずつ登っていくクライミングが始まった。

この日の岩は急ではあったが、しっかりしたホールドや足場があって、それほど苦労なしに進むことができた。

周囲を見ると、さすがアルプスという絶景が広がっていた。

ガイド付きのクライミングは今回初めてなので比較できないが、こちらのガイドのスピードには驚かされた。とにかく登るのが早くて、基本的には休まない。休めるのは前がつかえた時だけだ。もう一つ早いのはギヤの取り扱いだ。こちらがおもむろにセルフビレイを取ろうとすると、ガイドがそれよりも早くこちらのカラビナと取ってセルフビレイをしてくれる。ロープさばきも兎に角早い。

取り付きから約2.5時間で山頂に到達し、行動食を取ったのち下山するが、帰りは懸垂下降を5回繰り返して短時間で岩場から降りることができた。

その後、リフト乗り場までザレ場を歩いて下ったが、ガイドは岩場ではスピードを出して登るのに、下りは落石しないようにすごく慎重に足を運んでいるのが印象的だった。

この日は午後の早い時間のシャモニーに戻り、ゆったりした時間を過ごした。夜は美味しさとボリュームで評判らしいロコモコというハンバーガー屋さんで夕食を食べた。大小がありお腹が減っていたので大を取ったが、食べきれないため残りは翌日の行動食にすることにした。(記:KK)

4.ダン・デュ・ジュアン(Dent Du Geant) 8月23日(火)~ 24日(水) 快晴

ダン・デュ・ジュアン4,013mは通称『巨人の牙』と呼ばれるフランスとイタリアの国境の上に鋭く尖った岩塔。

今日は2回目のマッタ―ホルン試験山行。早朝、ガイドの車でシャモニーからモンブラントンネルを抜けてイタリアのクールマイユールへ行き360度回転式ロープウェイでトリノ小屋へ到着。

直ぐにアイゼン装着、休む間もなく早いペースで氷河をトラバースし脆いミックスの岩稜を登りダン・デュ・ジェアン取り付きに着いた。ここからはアイゼンを外し登山靴でのクライミングが始まった。

岩場は、少し登るとクラックの連続になり太いフィックスロープが掛けられていてロープをつかんでの腕力登りになった。腕力も限界があり片手ロープに切り替えてもう片手・両足はクラックに掛けて登ったりするとピークが見えてきた。そしてマリア像が鎮座するピークに登頂!!

ピークは天気も良く最高!!
他のパーティも続々来ます。
直ぐ後ろに見えるのはグランドジョラス。
360度パノラマ モンブランも目の前に見えてまーす!

下山は、ピークをクライムダウンで少し降り、後は素早いガイドテクニックで取付きまで50mロープ1本3Pの懸垂下降にて終了。そして朝の脆いミックス岩稜ルートをクライミングダウンで降り氷河をトラバースして無事トリノ小屋へ到着。(小屋泊)

翌日は、エギーユ・デュ・ミディー展望台経由でシャモニーへ帰った。

※ダン・デュ・ジェアン登頂後の下りでKKが怪我をして、以降の山行続行が不可能になった。しかしそれほど重い症状でなくてよかった。

※アルプスのガイド山行はとてもハードですが、凄い経験が出来て魅力を感じました。(記:YI)

 

5.エギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi)(コスミック山稜) 8月25日(木) 快晴

 

cosmique-ridge

コスミック山稜のルート図(実際にはIceflowのあたりから登攀開始)

シャモニーからゴンドラをのり継いで一挙にエギュー・ドュ・ミディの展望台まで20分足らずで到着。お天気に恵まれ展望台からの景色は絶景。標高3,842m。

ヴァレー・ブランシュ氷河へと下る氷のトンネルでアイゼン・ハーネスを装着する。

私のガイドの名はニコ。ニコが自分のロープを私のハーネスに結び準備を整え出発。

両側とも切れ落ちた雪道を緊張しながら下る。

しばらく行くとなだらか下りとなる。正面奥にはモンブラ(4,807m)がそそり立っている。30分程で取り付きに到着。

アイゼンを脱ぎ、クライミングの始まり。ガイドのニコが先に登り、その後登っていく。

ニコの姿が見えなくなっても、ロープがつながっているので、ロープ沿いに登っていく。

ニコは必要な所にロープを岩にかけ行く。たぶん私がズルッと滑った時の為だと思う。

垂直のスラブなどここで落ちたら大変と思うような箇所があり、緊張した登攀が続く。

ニコのロープがあるので、安心して登ることができた。ただ標高が3,800mぐらいあるので息切れする。

岩稜からエギーユ・デュ・ミディの展望台へは、不安定な鉄梯子を登って終了。(記:AF)

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