北穂東稜・前穂北尾根

前穂北尾根を眺める

山行情報

日時:2023/09/01 ~ 2023/09/03 天候:晴れ
ランク:D-D-12:00  参加:5名
山行担当:CL3063 SL3224
記録担当:文責:3758, 3705 写真:3063, 3224, 3634, 3758, 3705

コースタイム

1日目
上高地 5:50…13:00涸沢ヒュッテ…涸沢小屋 (泊)
2日目
涸沢小屋.6:00…7:00北穂東稜取り付き…9:00北穂小屋9:40…涸沢小屋(泊)
3日目
涸沢小屋 3:50…5:15 5・6のコル…6:48 4峰…7:18 3峰…9:43前穂高山頂10:00…14:50上高地バスターミナル

山行記

1日目

5時20分、上高地に降り立つ。「あれ?寒い……」慌てて長袖ジャケットを羽織る。
「今までが暑かったから、(気温が)やっと上高地らしくなってきたね」と話しながら、涸沢に向けて出発。9月の上高地は、どことなく陽射しが優しく、湿度が低く、歩きやすい。横尾でひと休みして、そろそろ出発という時。小屋の方が、我々のパーティの1人の名前を呼ぶ。何事かと駆け寄ると、財布が届けられたと。数分前にトイレに行った後の出来ごと。無事に財布が届けられる日本、まだまだ捨てたもんじゃない。陽も高くなり、涸沢までの登りを頑張る。

涸沢ヒュッテに到着して、おでん、ラーメン、カレーと、思い思いのランチを楽しむ。私が食べたカレーは、大きくカットしたジャガイモが入っていて、カレーにコクがあり美味しかった。明日から2日間の作戦会議をした後に、明後日の前穂北尾根の取り口を偵察して、本日宿泊の涸沢小屋へ。

涸沢で、明日の北穂東稜、明後日の前穂北尾根を見上げ「見るからにガレてて、険しい尾根を歩けるのか……」と緊急感が高まる。(文責:3758)



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2日目 北穂東稜

4時30分起床。5時食事。6時、北穂東稜へ向けて出発。
7時ごろ、登山道から別れ、北穂東稜に向かう。今日の核心と言える急登のガレ場が始まる。ガレ・ザレ場の苦手な私は、ひと苦労。尾根を挟んで、右側のガレ場を登る予定が、気がついたら左側のガレ場を登っている。落石に気をつけながら「石は動くもの、しっかり踏み込めば大丈夫」と声をかけてもらいながら、必死に登る。稜線に出ると、先程のガレ場と打って変わり、足場が開け、景色も良くホッとひと息。そこからは、手足がしっかりある楽しい岩稜歩き。

ゴジラの背で、先行パーティがロープを出しているが、我々はお助けスリングで通過。懸垂ポイントも、岩の右側を巻くルートで通過して、北穂小屋に登り上げる。北穂小屋のランチを楽しみに登ったが、ランチ前の9時に小屋着となり、炭酸ジュース、コーヒーを飲んで下山の途につく。途中、滝谷ドームの入り口、ドームの頭へ足を伸ばす。アプローチが核心とも言われている滝谷ドーム、いつか行きたい。

今回宿泊した涸沢小屋は、ご飯が美味しく、とてもパワーになった。おかげで、最終日の前穂北尾根も元気に登り切ることができた。苦手なガレ場をクリアでき、また岩稜歩きの楽しさを味わえ、とても良い山行になった。ご一緒頂いた皆様、ありがとうございました。(文責:3758)



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3日目 前穂北尾根

3時50分、満天の星空の下で涸沢小屋を出発。まずは前穂高北尾根のスタート地点 5・6のコルを目指す。足元は不安定で、明確なルートが見えない急斜面のザレ場を進む。5・6のコルから5峰の岩稜を歩き始めると、東の空にモルゲンロートが広がる。真っ赤に輝く穂高連峰の壮大な景色に、息をのむ。

4峰は直登か、トラバースか、ルート選択が難しい。しかし、先頭がそのプレッシャーを担ってくれる。ロープなしでの高度感、脆い岩、浮石、そして危険なルートの連続で緊張を強いられる。全集中でリスクを考慮しながら進むと、最後に大岩をまいて4峰のピークに到着。そして、核心の3峰が現れる。なんてかっこいいのだろう。3峰は50mロープ2ピッチで登攀。前のパーティはすぐに出発したので、待ち時間なしでクライムオン。

1P目IV+ 。Iさんリード。フォローはアッセンダーで登攀。左から垂壁を登り、途中クラックを超えるため、ロープも屈曲するがうまく流している。ナイスリード。

2P目IV。Sさんリード。右側大きなチムニーから左上、微妙に悪い凹角を抜けたリッジで終了点。SLの笑顔で安堵する。ここをアッセンダーで登れるのは、ありがたい。

その後はロープをしまい、2峰への緊張の続く登りを乗り越えて懸垂地点へ。遠くには前穂高の山頂から登山者たちの姿。彼らの手を振る姿に励まされ、最後の1峰を駆け上がり、ついに山頂到着。皆でハイタッチを交わし、遠くの槍ヶ岳を背景に、これまでの道のりを振り返る。達成感に満ち溢れる。下山は前穂高から岳沢を経由。緊張が少し解け、会話を楽しみながら、予想よりも早く上高地に到着。

初日から天気の変動に翻弄されつつも、最終的には最高の天気の中での登山となった。憧れの充実したルート、頼りになるCLやSL、そして仲間たちとの山行。この経験には計り知れない価値がある。(文責:3705)



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【CL追記】 

北穂東稜に続き翌日、前穂北尾根と2本のバリエーション・クライミングルートへの挑戦は、参加者のクライミング登攀力、足並みが揃っていて何よりでした。

1本目の北穂東稜はガレ場トラバースの後、東稜取り付きからのザレ場登りは苦しみましたが、岩場でのクライミング登攀は核心部ゴジラの背や最後の懸垂もクライムダウンをして、ノーザイルでクリアできました。

また、小屋使用でゆっくり休めたことで翌日への切り替えがスムーズにでき、2本目の前穂北尾根では長い行程のバリエーション・クライミングルートを最後まで緊張感を絶やさず、慎重にルーファイとクライミング登攀で、最高のペースで終了できました。