笠新道から笠ヶ岳~槍ヶ岳 真夏の陣(テント泊)
山行情報
日時:2024/08/11 ~ 2024/08/14 天候:快晴/晴/雨ランク:C-C-9:00 参加:3名
山行担当:CL3840
記録担当:文責:3887, 3978 写真:3840, 3887, 3978
コースタイム
1日目
新穂高温泉6:00…6:37お助け風穴…7:02笠新道登山口7:11…11:15杓子平…12:56笠新道分岐…13:57笠ヶ岳テント場14:49…15:17笠ヶ岳15:27…15:53笠ヶ岳テント場(泊) 歩行時間:8時間14分
2日目
泊地3:58…4:55笠新道分岐…5:12抜戸岳5:18…7:04大ノマ岳…7:56弓折岳7:58…9:19双六小屋10:14…11:51三俣蓮華岳12:17…13:34双六岳13:41…14:21双六小屋(泊) 歩行時間:8時間19分
3日目
泊地4:06…4:48樅沢岳4:52…5:44硫黄乗越…6:30左俣乗越6:32…7:54千丈乗越8:01…9:06槍ヶ岳山荘9:16…9:35槍ヶ岳9:56…10:05槍ヶ岳山荘11:12…11:39大喰岳…12:17中岳12:39…13:17大喰岳…13:41槍ヶ岳山荘テント場(泊) 歩行時間:8時間19分
4日目
泊地5:20…7:17槍平小屋7:22…9:10白出沢出合…9:43穂高平小屋…10:23新穂高温泉 歩行時間:4時間49分
コースマップ
記録日:2024/08/11~2024/08/14最高点の標高: 3179 m
最低点の標高: 1001 m
山行記
1日目
「雄大な笠ヶ岳の稜線を歩きたい!」「憧れの槍ヶ岳に登りたい!」「槍ヶ岳は縦走ルートで行きたい!」。そんな各々の要望をガッチャンコして立てたのが本山行。メンバー4人は現役世代のため、休みを取りやすいお盆時期に計画。天候に応じて入山日を変えられるよう、予約不要なテント泊を選択した。それでも直前で1人が仕事のため断念。これも現役世代の宿命、彼の分まで歩くぞと心に誓うのだった…。が!
トラブルは早朝から始まった。5時前に新穂高温泉に到着すると駐車場は満車。鍋平に回るも同様。「なんてこった!ハイシーズンの新穂高を甘く見てた」。やっとのことで臨時駐車枠を見つけ、登山開始。といっても、本来の出発点の新穂高温泉まで山道を歩くこと30分。思わぬオプション山行で体力を浪費する羽目に。
そんな我々を尻目に、天気は快晴。時折吹く冷涼な風が気持ち良く「やっぱ北アルプスはいい」と再認識。いよいよ本日の核心、笠新道の登山口に立つ。急登は覚悟していたので気にならず、樹林帯を黙々と登り高度を上げる。
ところが、杓子平に出て状況は一変。遮るものがない分、太陽光線がジリジリと照りつけ、汗が滝のように流れる。なぜここが日本三大急登に選ばれていないのかと思うほどのハードさだ。登山口から4時間経過。すでに体力を削られていて、身体からミネラルが大放出!水3リットルを消費した。少し進んでは立ち止まりを繰り返すが、テント場は予約なしの先着順。ペースは簡単に緩められない。「あの下から来ているテント泊装備の集団に抜かれるとまずい」。勝手に圧と焦りを感じつつも、高山植物・花・景色に励まされ到着。
「いや~、ここまでキツイとは予想だにしなかった」。そんなことを話し、テント場を確保してから山頂を踏み、下山後すぐさま反省会。朝の駐車場事件、8時間超の苛烈な山行と、ネタ満載で盛り上がる。やがて正面に聳える槍・穂高連峰に西日が差し込み、山肌を美しく照らす。これもまた自然からのご褒美。一番星を見届けてから就寝した。(文責:3887)
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2日目
4時に、静寂に包まれたテント場を出発。勇壮な笠ヶ岳の山塊がみるみるうちに小さくなっていく。登り応えのある山で良い眺望も得られたが、笠新道の登りがあまりにトラウマで、再訪するかは正直微妙だったりする。抜戸岳でご来光を仰ぎ、鏡平分岐付近でライチョウの親子に遭遇して気分は高揚。
やがて双六小屋が視界に。「この時期だし、みろくの誰かに会ってもおかしくないよねー」と話した瞬間…、「!!」。1組のパーティーとすれ違いざま、お互い振り返ると見慣れた顔!少しの間歓談。個人的に双六小屋は2回目で前回は小屋泊。憧れのテント場に自分のテントを設営し感慨に浸る。その後、軽身で三俣蓮華岳→双六岳へ。昨日の疲れが出てきたのか、足が重いがなんとか完歩。
小屋に戻り、合流を約束していたみろくの会員ではない山友と無事落ち合い、4人で夕食。自分以外は初対面同士だったが、山という共通趣味を持つ仲間。目の前に迫る鷲羽岳を眺めながら、地図を広げて山談義を楽しんだ。そのうち某氏の呂律が回らなくなる。明日は槍ヶ岳、もう飲ませられんと半ば強引にお開きに…。(文責:3887)
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3日目
4時、双六テント場を出発、槍ヶ岳山荘テント場を目指す。この日は思い返してみれば、幸運が続いた1日だった。
まず最初に、昨日の天空の滑走路と言われる双六岳ではガスっていて、心眼と想像力で、周りの風景を楽しむしかなかったが、この日は若干ガスってはいるものの、槍ヶ岳が段々と近づいてくるのを見ながらの素晴らしい尾根歩きとなった。徐々にその姿を増す槍への最終アプローチは本当に最高だ。
次に、槍ヶ岳山荘に到着後、ガスが切れて槍ヶ岳の穂先が綺麗に見えたこと。さっさとテント場の受付を済ませ、すぐさま頂上にアタック。もっともアタックする前にはメンバーの中では「何をそんなに行き急いでいるのか…」という声もあったような気もするが、そこはご愛敬。残念ながら、頂上ではガスってしまったが、達成感を十分に満喫できた。
更に幸運は続く。当初は槍ヶ岳山荘でテント設営後、南岳まで行く予定だった。が、ここまで3日テント装備で歩いて来た疲労が溜りに溜り、ルートを短縮し中岳までの往復とし、早めにテント場に戻ってきた。すると、その瞬間に雨が降り始めた。なんということか。当初の予定通りに南岳まで行っていたら少なくとも1時間は雨に打たれながらの歩きとなっていたことだろう。
更に更に最後の幸運が。雨が弱くなってきたところでテントから這い出て、小屋で晩酌用の酒を購入。雨が当たらない場所で飲み始めていたら雨が止み、槍を眼前に臨む外のベンチで乾杯することができた。ほんと幸運が続いた一日だった。これも槍への執念の賜物か。(文責:3978)
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4日目
4時に出発予定だったが、雨が降っていたため5時出発に変更。初日は重かったテント泊装備のザックも食料が減って軽くなり、快調に下っていく。槍平小屋には7時ごろ到着。美味しい水を飲んで元気回復。このころには雨もすっかり上がり、ガスが山肌を滲ませる幻想的な風景を楽しみながら、いくつかの渡渉を経て白出沢出合に到着。ここからは林道歩きとなる。
本来なら面白くない林道歩きも、今回直前で仕事のために山行キャンセルをせざるを得なかった仲間とのリベンジ山行についてあれやこれやと語っていたら、いつのまにやら新穂高温泉まで下山。最後は少しあっけなく、でもこの素晴らしい4日間の山との格闘が終了した。(文責:3978)
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終わりに
「来年、槍に登ろうよ」。某氏から最初に言われたのはいつだったろう。だけど即諾したことは覚えている。さほどに山初心者の私にとって、槍ヶ岳はほんと魅力的な言葉であった。惜しむらくは某氏が冒頭の言葉のあとに『一般的な初心者コースだとつまらない。笠新道から笠を登って…』という部分を聞き逃していたことかもしれない。
初めての北アルプス縦走としては若干ハードだった気もするが、その分充実した山行となり、大満足な4日間となった。(文責:3978)