仙丈ヶ岳~間ノ岳~塩見岳(ロングトレイル)
山行情報
日時:2024/08/07 ~ 2024/08/10 天候:晴れ時々小雨/晴れ/晴れ/晴れランク:C-D-11:00 参加:6名
山行担当:CL3465 SL3060, 3847
記録担当:文責:3686, 3847, 3977, 4036 写真:3465, 3060, 3847, 3686, 3977, 4036
コースタイム
1日目
北沢峠…大平小屋…馬の背ヒュッテ(泊) 行動時間:2時間10分
2日目
泊地…仙丈ヶ岳…伊那荒倉岳…三峰岳…間ノ岳…三峰岳…熊の平小屋(泊) 行動時間:11時間
3日目
泊地…北荒川岳…塩見岳…塩見小屋…三伏峠小屋(泊) 行動時間:9時間
4日目
泊地…鳥倉登山口 行動時間:2時間
コースマップ
記録日:2024/08/07~2024/08/10最高点の標高: 3195 m
最低点の標高: 1796 m
山行記
1日目
天気予報は、山行4日とも午後から崩れて雨模様。山行数日前に、CLから参加に関する再確認がきた。早朝の小屋出を提案され、参加を決めた。
戸台パークから北沢峠行きのバスは、午後の時間帯にもかかわらず、ほぼ仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳に登る登山者で満席になった。我々もそのひとグループだが、隣に座った中年男性に行く場所を問われ、「仙塩尾根」と答えたら、天候や行程の長さから大丈夫なのかと心配された。彼から名刺サイズの紙を渡され、見るとブログのURLの記載があった。きっと”元気に下山したらコメントでもしなさい”という意味なのだろうと、勝手に解釈した。
初日は北沢峠から大平山荘に少し下り、そこから藪沢重幸新道を歩き、馬の背ヒュッテまでの2時間10分ほどの登りだ。一般的ではないのか、登山者も少なく沢沿いの静かな登山道を歩く。途中大滝に癒されていると、案の定雨が降ってきて、ザックカバーとレインを着込む。この先の山行はこんな感じでレインのお世話になるのかと気分が落ち込んだが、さほど濡れることもなく、宿泊する馬の背ヒュッテについた。夕食は、鹿の頭数による自然環境の保護を考えて、調理された鹿肉カレーをいただき眠りについた。夜中に雷と豪雨で眼がさめ、不安定な天候で明日からが心配… ZZZ。(文責:3686)
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2日目
いよいよ仙塩尾根を熊の平小屋まで歩く約12時間(途中、間ノ岳ピストン)のロングトレイル。3時前に起き、夜空を見上げると満天の星。好天を確信! 食堂で身支度しながら朝食用弁当のおにぎり(冷えて少々パサパサだが手書きコメントにほっこり)を1個食べ、4時、馬の背ヒュッテを出発する。
仙丈小屋を過ぎ少し登ったあたりで甲斐駒、アサヨ峰方面を振り向くと雲海から昇ってくる朝日が見える。仙丈ヶ岳に近づくにつれ上空も明るくなり、山頂からは360°の眺望が! 富士、北岳、間ノ岳の3座も見える。ここから仙塩尾根縦走がスタートする。大仙丈ヶ岳に向け歩みを進めると、なだらかに見えた尾根は意外にも右サイドが切れ落ちた露岩帯。大仙丈ヶ岳山頂からはハイマツ帯の下りとなり、眼前が開ける。間ノ岳方面へうねるように続く仙塩尾根がうっすらと見える。
高低差200mほど下ると、南アルプス特有の樹林帯となる。シラビソの林の中、倒木を覆い隠すように広がる薄緑色のコケの絨毯やシダの群生が延々と続く。樹林帯が適度に日差しを遮り、登山道にはヒンヤリした空気が漂うが展望はない(独標は展望あり)。この状態が続くと、流石に飽きてしまう。小ピークを越えながら徐々に高度を下げていき(仙丈ヶ岳から-700m)、野呂川越から漸く登り基調となる。
水平、下り基調に慣れた足が急に重たくなり、特に灌木帯のP2699の手前あたりから三峰岳へ向け急激に高度を上げる登りでは、偽ピークが続きいっきに息があがる。少しガスに覆われる中、12時17分、三峰岳直下にある間ノ岳への分岐点に到着。ここまでのルートで遭遇した登山者は、両俣小屋から独標めざして手ぶらで登ってきた若者1名のみ。まさに、静かな(地味な?)南アルプスを実感する。
分岐点で、間ノ岳のピストン組と熊の平小屋へ直接向かう組に分かれる。百名山登頂をめざすTさんと一緒に間ノ岳への岩稜帯を登り、13時10分山頂到着。さっそくTさんの百名山96座目登頂の瞬間をパシャリ! 残念ながら山頂は真っ白で何も見えず、早々に分岐点に戻り熊の平小屋をめざす。三峰岳山頂からの下りは結構な岩稜歩き。時おり雄大な西農鳥岳が左手に姿を現す。三国平付近の平坦で広い尾根は双六岳の天空の滑走路を思わせる。井川越を過ぎ、予定より1時間も早く15時3分、先着組が待つ熊の平小屋に、雨に降られることもなく無事に辿り着く。
寝床に荷物を置き、さっそく小屋のセンターテーブルを6名で囲み、お楽しみの懇親会となる。11時間歩いた後のビールが実に美味い。持参したワイン、CLが調達した日本酒を皆で飲み、大いに盛り上がる。小屋は水が豊富、レトルト食(杏仁豆腐付き)の提供もある。加えて5分ほど歩けばDOCOMOが通じる。奥深い所にあるが居心地が良い。明日は塩見岳。各自夕食をとった後、翌朝、予定より1時間早い4時に出発することを決め就寝する。(文責 3847)
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3日目
一度は行ってみたかった仙塩尾根。3日目もヘッデンでの出発だ。苔むした樹林帯をただただ進む。昨日と違ってアップダウンが少ないのが嬉しい。安倍荒倉岳、竜尾見晴、新蛇抜山の小ピーク3つ以外は全く展望がない。
今日の最低鞍部2,542mから徐々に斜度が増し、登り切った北荒川岳は紺碧の空の下、360°の大展望だ。目の前に大きく姿を見せた塩見岳は圧巻で、思わず歓声が沸き上がった。ここからの道は右側が崩れ落ちた緩やかなザレ場だ。マルバタケブキの群生。ピンクのタカネビランジが可愛い。肩の広場あたりからは左側に草地が広がり、やがてハイマツ帯になっていく。
そう、たぶんこのあたりだ。19年前の8月、TさんCLの山行で、ここを下って雪投げ沢の源頭付近で幕営したのだ。楽しかったなぁ! 思い出が蘇る。一緒に行った仲間、自分を育ててくれたリーダーたちの存在がある。
崩れそうなガレ場の急登を慎重に上がると塩見岳東峰だ。到着は9時。高く聳え立つ峰は、少し先の西峰と合わせて何とも勇壮である。岩場の急下降を丁寧に進んでいくと、突然、赤い屋根の塩見小屋が現れる。ここには冷たいフルーツゼリーがあった。
30分の大休止をして目指すは三伏峠小屋。あと一息と思ったのは大間違い。これが最後と期待した登り下りが2度、3度…。長かったなあ。小屋到着は13時。お疲れさまでした!(文責3977)
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4日目
昨日の夕刻、滝のように雨が落ちてきた空は夜中には満天の星となり、今朝は外に出ると小屋や木々が朝日を浴びてキラキラ輝いている。予想以上の好天候に恵まれた4日間は、目に焼き付けた絶景が多すぎて、前半の山行の記憶が薄れてしまいそうだ。今日の縦走最終日は、三伏峠小屋から鳥倉口までの下り2時間だけ。これまでの小屋出発の時間が4時であったのが今日は6時になり、バックパック内を整理できる余裕が嬉しい。
縦走のなかで出会ったテント泊8日の男性、小屋で我々の宴会に付き合ってくれたソロ5日の女性とは出発時間が重なり、下山した鳥倉口ではバスが来るまでの1時間以上を共に過ごした。そこで、皆で持ち寄った水で作る一杯ずつのホットコーヒーの味は格別だ。飲みながら地図を広げ、これまでの山行体験を話している皆さんの傍らから聞き耳をたてることは、経験の少ない私には短くも楽しい時間だった。北アルプスとは違い悠々として広大な南アルプスは、この山行でその奥深さを少しのぞくことができ、再度訪れることが楽しみなLTであった。(文責:4036)
【CL追記】
この山行は百名山全山完登を目指すTさんと未踏の2座(塩見岳、間ノ岳)踏破山行として計画したものだが、会山行として希望者を募ったところ、長歩き山行にも拘らず健脚者数名の参加希望を得て一気に気持ちが高まった。ところが出発数日前からの天気予報は実施を躊躇させるもので気持ちが萎える中、改めて参加予定者に参加希望を聞いたところ、全員躊躇なく参加との返事。これに意を強くし、槍が降っても決行しようと気持ちを新たにした。結局最終日までほぼ好天下での事故なき絶景満喫の素晴らしい山行となり、また計画者の我々にとっても百名山2座ゲットツアーとなり、大変満足のいく山行となった。これらは参加者皆さんのご協力と好天をもたらした皆さんの強い気持ちの賜物と深く感謝している。
一点付言すれば今回の山行では、途中から単独の登山者2名と親しくなり、つかず離れずで行動を共にするとともに小屋では大いに山話に花を咲かせた。グループ内での会話はもちろん楽しい。しかし、現地での見知らぬ人との出会いと会話、その場限りのものが多いが、何かが心に残るものでもある。山での一期一会、改めてその魅力を感じ入った…。
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