生涯登山を目指し、オールラウンドの山行を実施しています。

2020年4月号特集「山に登る前に鍛えるトレーニングの方法」


情報誌4月号に会員向けの記事が掲載されましたが、一般の登山者にとっても役立つ情報が多いため、一般向けに書き直したものを掲載いたしました。(タイトルも変更しました)

実際にトレーニングをするときに参照しやすいようにYouTube動画を直接見れるようにしました。また、スマホでもすぐに該当のトレーニングのところに行けるよう、目次からジャンプできるようにしました。

会員番号 2280

目次

1.登山に必要なトレーニング

 1.1 持久力トレーニングの説明

 1.2 筋力トレーニングの説明

2.トレーニングのポイントと参考になる動画

 2.1 持久力トレーニング スロージョギング

   2.2 筋力トレーニング

  2.2.1 スクワット

  2.2.2 ランジ

  2.2.3 ヒップリフト

  2.2.4 カーフレイズ

  2.2.5 体幹トレーニング

1.登山に必要なトレーニング

図1

登山のために必要なトレーニングとしては、大きく分けて、持久力トレーニング筋力トレーニングがあります。持久力が最も重要ですが、これは酸素を肺から体内に取り込んで、効率的に使う能力のことで、心臓と肺の筋肉の能力によって決まります。つまり、持久力のトレーニングは心肺能力を高めることです。体力は、加齢とともに低下しますが、トレーニングにより、高めることができるものです。特に、年齢にかかわらず、中高齢者でもトレーニングの効果があることが重要です。

1.1 持久力トレーニング

それでは、どのような点に注意しながらトレーニングをすれば良いかをまず確認しておきましょう。
登山のための持久力トレーニングとして一番良いのは登山ですが、普通の方が頻繁に山に登ることは難しいので、平地でのトレーニングを考えなくてはいけません。

坂道や階段を歩くのが良いです。また、日頃からエレベーターやエスカレーターを使わずに歩くのが良いでしょう。スポーツセンターなどでトレッドミル(ランニングマシン)を利用して、坂道歩きをするのも良いでしょう。中高齢者の場合、舗装道路でのジョギングはあまりお勧めではありません。下りで走る際に足腰への衝撃が大きく、膝を痛めるおそれがあるからです。

持久力のトレーニングをすると、最大酸素摂取量(肺から吸い込んだ空気から、体内に取り込むことのできる酸素の最大量)は、1.5倍くらいまで向上させることができます。また、AT(無酸素性作業閾値といいますが、体内に取り入れた酸素を筋肉で無駄なく使う能力)は、1.3倍くらいまで向上させることができます。合わせますと同じ呼吸のペースで2倍くらいまでの酸素を筋肉に供給することができるようになります。著名な登山家やマラソン選手では、これが3倍近くになっています。一般の登山者ではそこまで高めるのは大変でしょうが、登山を続けていると、最初の頃に比べて山を歩くのが楽になってきたことをお感じになっておられる方が多いのではないかと思います。これは、持久力が高まってきたことを示しています。

持久力のトレーニングは、年齢にかかわらず効果がありますが、重要なことは、自分の持久力にあったペース・時間・頻度で行うことです。張り切ってトレーニングを始めても、三日坊主になってはいけませんし、過度なトレーニングで体を壊してもいけません。新たに始める時は、低いペース、短い時間、少ない頻度から始めて、自分の持久力を確かめながら、徐々にレベルを上げていきましょう。

1.2 筋力トレーニング

筋力トレーニング(筋トレ)の方法は、年齢にかかわらず同じです。筋トレを行うと、筋肉に負荷が掛かり、筋肉を構成している筋繊維が寸断されます。その後休息と栄養を摂ると、筋繊維が再生する際に前よりも太く強い繊維になるので筋力が向上するのです。また、持久力と脚の筋力を鍛えることの両方に高い効果があるトレーニングとして、階段の昇降が揚げられます。しかし、お住まいの近くに適切な場所がないと難しいかも知れません。神社の階段を早朝に昇り降りするくらいでしょう。

登山では、主に有酸素運動で歩きますので、脚の筋持久力が大切です。このため、体の深層部にある赤筋を鍛えることが重要です。段差のある所を登る際などには、脚の筋肉にエイッと力を入れますが、その時には白筋の筋瞬発力が働いて、無酸素運動で登ります。このため、脚の筋瞬発力も必要です。筋トレも年齢にかかわらず効果がありますが、重要なことは自分の筋力にあった負荷・回数・頻度で行うことです。これは、持久力のトレーニングと同様です。

負荷は、重りを使う場合はその重さですが、あとでご紹介するスクワットの場合では、膝を曲げる角度で決まります。負荷が大き過ぎると筋肉を痛め過ぎますし、あまり軽過ぎると効果が期待できません。
回数ですが、筋瞬発力を鍛える場合には、軽い負荷から始めて、1セットでちょうど10回できるものの11回以上は厳しいというのが良いレベルです。筋持久力を鍛える場合には、軽めの負荷で、1セットで20回~30回が良いでしょう。また、慣れてきましたら、筋トレは、同じトレーニングを1日に2、3セット行うのが良いでしょう。

頻度ですが、筋瞬発力を鍛える場合には、筋繊維がかなり寸断されますので、その回復中の3日間程度は同じ筋肉を鍛える筋トレは行わないようにしてください。休息と栄養補給(タンパク質)が大切です。筋トレにより寸断された筋繊維が休息と栄養補給によって回復する際、筋肉量がトレーニング前よりも増えるという現象のことを超回復といいます。

筋持久力を鍛える場合にも、毎日行う場合には軽めにしてください。2、3日に1回でも十分です。筋トレの方法ですが、スポーツセンターなどでトレーナーの方の指導を受けて、マシンやダンベルを使ってトレーニングをするのが良いと思いますが、あとでご紹介するように、ご自宅で行う方法もあります。

筋トレを行う場合の注意点ですが、3つあります。まず、体調が悪い時、痛みを感じた場合はすぐに中止してください。次に、いきなり強い負荷をかけたり、やり過ぎたりしないようにしてください。また、筋トレの最中には息を止めず、力を入れる時に息を吐きながら行うことが大切です。

持久力トレーニングと筋トレを両方行う場合には、先に筋トレを行い、その後に持久力トレーニングを行うと減量効果が高まります。これは、筋トレをすると、アドレナリンや成長ホルモンなどが分泌され、その状態で有酸素運動を行うと、効率良く脂肪を燃焼させることができるからです。

ただし、持久力=心肺能力を高めるには、持久力トレーニングを行った後に筋トレを行うと効果が高まるといわれています。しかし、長時間の持久力トレーニング(登山もこれに該当します)を行ったときには、その後に筋トレはしないようにしてください。長時間の持久力トレーニングを行うときに活性化される酸素がタンパク質の合成を阻害するため、筋トレの効果が削がれてしまうためです。

2.トレーニングのポイントと参考になる動画

2.1 持久力トレーニング スロージョギング

持久力を鍛えるトレーニングとして、最近最も注目されているのが、スロージョギングです。これについては、一般社団法人スロージョギング協会が設立されており、インターネットで同協会のページを検索して、是非ご覧ください。

図2

スロージョギングは、福岡大学スポーツ科学部の田中宏暁教授(医学博士)が提唱しておられ、簡単で誰にでも取り組むことのできるトレーニング方法です。高齢者の持久力トレーニングとして最適です。動画サイトのYouTubeで、「スロージョギングをはじめよう!」として検索すると、上記協会の分かりやすい説明の動画が出てきます。

スロージョギングは、隣の方と話ができるくらいの運動の強さで行うジョギングで、スピードは歩く速さと同じくらいです。持久力アップだけでなく、ダイエット・メタボ改善、生活習慣病の予防改善、脳機能の改善、がん予防にも効果があるそうです。動画をご覧いただきますと、解説がありますので、とても分かりやすいです。
私の場合は、毎日の通勤で、雨でないかぎりは、地下鉄3駅分約1.8kmを約20分速足で歩いていましたが、これをスロージョギングに変えました。朝夕合わせて約40分です。ポイントは、図2をご覧ください。

重要なのは着地です。通常の歩き方や走り方ですと、踵から着地しますが、フォアフット、つまり、足の指の付け根の部分で着地します。歩幅が広くなると踵から着地するようになりますので、歩幅が広くならないように注意してください。一般社団法人スロージョギング協会のホームページには、最近のコロナ禍による外出自粛を受け、自宅の室内や庭で簡単にできる“スロージョギング&ターン”の動画が紹介されています。

図3

2.2 筋力トレーニング

続いて、私たちの体を構成する主な筋肉を見てみます。全身持久力の次に大切なのは筋力で、特に脚の筋力が重要です。図3に矢印が付けてありますが、大腿四頭筋、殿筋群(大殿筋や中殿筋)、ハムストリングス(大腿二頭筋)そして下腿三頭筋です。体の筋肉の約60%は下半身(太腿、腹、尻など)にあります。筋肉は年齢とともに減少しますが、その減り方は筋肉のある部位によって違うそうです。下半身の筋肉は、上半身よりも加齢による減少のスピードが速いそうす。                     

また、筋肉は使わないとどんどん減少します。長期間寝たきりになると歩くのがきつくなりますし、いつも歩かないで車で移動している方は、運動をしていないと下半身の筋肉が落ちてしまいます。下半身の筋肉が減少しますと、体を支えることが厳しくなり、歩くのに支障が出てきます。また、膝の関節痛が出ることもあり、転倒のリスクも高まります。

図4

このため中高齢者の場合には、特に下半身に重点を置いて筋肉を鍛えることが望ましいといわれています。下半身と体幹の筋トレをすると、腰痛改善や転倒防止にも効果があります。週2回~3回くらいのペースで行うのがベストですが、初めはもっと少ないペースで始めてください。負荷は10回ギリギリできるくらいのきつい運動が良いですが、これも初めは無理をしないレベルで始めて、徐々にレベルを上げていってください。

では、具体的にどんな下半身の筋トレが良いのでしょうか。
スクワット、ランジ、ヒップリフト、カーフレイズが良いと思います。
また、体幹の筋トレは最後にご説明します。

2.2.1 スクワット

順に動画をご覧になりながら、やり方を見てみましょう。
初めは大腿四頭筋(太腿の前側)を鍛えるトレーニングのスクワットです。

(出典)コナミメソッド:スクワットのやり方

こちらも合わせてごらんください。スクワットは、“筋トレの王様”といわれ、効果の高いトレーニングです。

(出典)コナミメソッド:スクワット 実践フルセット

スクワットのポイントは、図5に書いてあるとおりです。

図5

太腿が床と水平になるまで深く膝を下ろすのが本来のスクワットですが、きつい場合には、負荷を軽くするハーフスクワットを行ってください。重要なことはゆっくり行うことです。4~5秒かけるのは、かなりゆっくりのペースです。筋トレではゆっくり行うスロートレーニングの効果が大きいことが分かっています。
また、膝が前に出て行かないように、椅子に腰掛けるように、お尻を後ろへ突き出すようにして腰を下ろします。膝がつま先より前に出過ぎると膝を痛めるおそれがあります。

図6(出典)toremy.jp(筋トレ・フィットネスのポータルサイト)

大切なことは、一番下までしゃがみ込んだ時に、背中と脛の線が平行になることです。そうなっていれば、膝がつま先より前に出ていても問題ありません。上の写真を参考にしてください。

2.2.2 ランジ

図7

次はランジです。これは大腿四頭筋(太腿の前側)と大腿二頭筋(太腿の裏側)の両方を鍛えるトレーニングです。

(出典)コナミメソッド:オルタネイト・フロント・ランジ

動画では、オルタネイト・フロント・ランジとなっていますが、通常は単にランジといいます。

(出典)コナミメソッド:オルタネイト・フロント・ランジ 実践フルセット

スライドに書かれているポイントおよび<注意点>をお読みください。

2.2.3 ヒップリフト

図8

次はヒップリフトです。これは大殿筋(お尻の筋肉)を中心に、大腿二頭筋(太腿の裏側)も鍛えるトレーニングです。

(出典)筋トレTV:ヒップリフト

スライドに書かれているポイントおよび<注意点>をお読みください。
このトレーニングは比較的楽に行うことができます。

2.2.4 カーフレイズ

図9

スライドに書かれているポイントおよび<注意点>をお読みください。

(出典)マッスルウォッチング株式会社:カーフレイズ

ご自宅で行う場合には、玄関の段差の所や階段の一番下の段の所で壁や柱を持って行うのが良いと思います。
親指の付け根を段差に当てて体を持ち上げることが大切です。初めのうちは両足で行ってください。慣れてきたら片足で行うようにしてください。足の先を上げる時は最大限に伸びきらせ、下げる時は最大限に縮めます。下げた時に踵がつま先より下になりますので、段差のある所で行う必要があります。

2.2.5 体幹トレーニング

最後に体幹のトレーニングです。

(出典)くにや整骨院:体幹トレーニング まずはこの3つから

図10

体幹とは、首から上と腕・足を除いた胴体部分のことで、腹筋だけではなく、胸や背中などの大きな筋肉、肩関節・股関節まわりの小さな筋肉まですべてをまとめて体幹といいます。これらを鍛えるのが体幹トレーニングです。登山では重い荷物を背負って足場の良くない斜面を歩きますので、安定して体を支えるためには体幹のトレーニングが重要です。1つ目の動画では、体幹の前、横および後ろを鍛える3種類のトレーニングが紹介されています。

(出典)マッスルウォッチング株式会社:1分間最強体幹トレーニング

2つ目の動画では、四つん這いになって、右手を前、左足を後ろに水平に伸ばし、次に左手を前、右足を後ろに水平に伸ばす交互に行うトレーニングです。体幹のトレーニングは、いろいろな効果があることが分かっています。単に体幹の筋肉が鍛えられるだけではなく、内臓が正しい位置になる、姿勢が良くなり体が疲れにくくなる、体のラインが美しくなる、持久力が上がる、スポーツがやりやすくなる、ぽっこりお腹が改善されるなどの効果があります。

筋トレは毎日行うものではありませんが、週に2回~3回のペースで行うように努めてください。1か月くらいやらないでいると、トレーニングを始める前のレベルまで戻ってしまいます。持久力トレーニングも筋力トレーニングも無理をせず、長続きするようにがんばってください。

トレーニング方法については、インターネットで検索しますと、たくさんの情報が出てきます。またYouTubeで検索しますと、動画の説明が出てきます。ただ、レベルが高いものから入門のものまでいろいろ載っていますので、ご注意のうえ、ご自分に合ったものを選んでください。

大変参考になる動画を利用させていただきました次の作成者の方々にお礼いたしますとともに、お名前を掲載いたします。

コナミスポーツ株式会社(コナミメソッド)、筋トレTV(動画で筋トレ方法を紹介しているサイト)、マッスルウォッチング株式会社(社長の高稲達弥さん)、くにや整骨院(兵庫県明石市、院長の高橋邦弥さん)
また、スクワットの際に「背中と脛の線が平行になること」の説明に使った写真は、筋トレ・フィットネスのポータルサイトのTOREMYに掲載されている写真を使わせていただきました。


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