北岳バットレス(第4尾根主稜)
山行情報
日時:2024/09/14 ~ 2024/09/16 天候:晴れ/晴れのち雨/晴れランク:D-D-11:00 参加:6名
山行担当:CL3420 SL3730
記録担当:文責:3853 写真:3420, 3730, 3811, 3597, 3853
コースタイム
1日目
芦安第7駐車場10:25…10:35芦安10:40=11:30広河原11:40…14:25白根御池小屋(泊)
2日目
泊地5:40…7:30 5尾根取り付き8:00…9:40 3ピッチ終了点10:10…横断バンド…10:45ヒドゥンスラブ取り付き10:50…11:25 4尾根主稜取り付き…13:30マッチ箱のピーク…16:00トップアウト16:40…16:00北岳山頂…19:00白根御池小屋(泊)
3日目
泊地7:30…9:40広河原
※= 貸し切りバス・タクシー
コースマップ
記録日:最高点の標高: 3188 m
最低点の標高: 1510 m
山行記
1日目
“北岳バットレス”。2年前にみろくに入会をしてクライミングを始めた際に名称は知っていたが、具体的にどんなコースで、どんな難易度なのか全く知らなかった。ただ名前がかっこいいなあとか、そもそもバットレスってどういう意味なんだろう程度の認識だった。
みろく入会後、岩沢関係の教室や先輩達にたくさん外岩に連れていっていただく中で、それはクライミングのうちのいわゆる“本チャン”と言われるルートの一つで、一定程度のクライミング能力や重い装備を担いで歩き続けられる体力とメンタルなどの総合力が問われることを知り、いつの日か必ず挑戦して登頂しようという目標になっていた。
でも目標とはいつも簡単には達成させてもらえず……。
初日の白根御池小屋まではなんの問題もなく到着。天候が悪い可能性があったので多めの着替えや防寒着、それと初めてのルートなので手持ちのギア類を全て持って行ったため、自宅を出る時点のザック重量が22キロ程度になっていたが、分担する共同装備を健脚のSさんがたくさん担いでくれたので、さらに重量が増えること無く楽に登ることができた。
翌日は2時起床、3時出発なので、早々に寝袋に入るが問題は天気である。電波状態が良いのでスマホで天気を確認するが、サイトによって予報がまちまちである。良いものは明け方までに一時雨程度で、悪いものは深夜から午後まで1mm以上の雨予報。一抹の不安を感じながら就寝したが、夜10時にトイレに起きて夜空を見上げると星が見えていたので、良い方の天気予報を信じて再び寝る。
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2日目
夜中の1時すぎに、テントに落ちる雨音でうっすらと目が覚める。まあ山で小降りの雨が一時的に降ることはよくあるので大丈夫、とポジティブに捉えて再び入眠。2時にセットしたアラームが鳴って目覚めると、しっかり本降りの雨が降っている。とりあえず全員起きて朝ごはんを食べて紅茶を飲んで天候回復を待ったが、一向に弱まる気配がなくむしろ雨脚が強まっていった。CLが予定の3時出発は無理と判断。5時の時点の天候の状況を見て中止か決行かを判断することになった。
5時にアラームを再設定して、行けることを信じて一時間程度仮眠する。一時間後、見事に雨音は収まっていた。テントから出ると遠くに青空も見えていた。よし出発だ!
朝5時半過ぎにテント場を出発する。すでに当初の予定より2時間以上遅れている。SLからバットレス取り付きまでのルートの目印を教えてもらいながら、7時半ごろに取り付きに到着する。岩の状態は登攀に問題ない程度には乾いている。すぐに準備して登攀を開始する。
1ピッチ目は私がリードで登るが問題なく通過。2ピッチ目、SLリードだが、ここで私がミスをする。50メートルロープを全て使い切る長いピッチで、2ピッチ目スタート地点にザックを置き忘れたのを登り切ってから気づく。背負うタイプのギアラックを装着していたので、登攀中ザックがないことに気づけなかった。時間がそもそもない中、運悪く小雨も降り出して再度中止の判断になるかもと考えてしまったが、とりあえずSLにロープをさばいて綺麗に纏めていただいて、懸垂下降して50メートル下へ戻る。
多少キンクしたが、運よく下までスムーズに下りれてザックを回収、急いで再登攀する。長いピッチだったが、比較的簡単なところだったので問題発覚から戻るまでの一連のロスは約25分。パーティー全員に多大の迷惑をおかけしたが、必要以上に自分を責めるとまだ何ピッチも残っているのにメンタルに悪影響が出るので、「マルチにトラブルはつきもの。チームワークでロスを少なくできた!」、と自分に言い聞かせ次に進む。
3ピッチ目に向かう道中でCLに「ザックを忘れた奴はみろくで誰もいないぞ」、と笑顔で話かけてくれた。その後は交代でリードを担当してCL、SLの適切な判断とコントロール。この日に向けてトレーニングしてきた頼もしい仲間のお陰でトラブルなく最終ピッチまで突き進めた。全ピッチ終了後、全員と握手をして健闘を称えあった。通常では味わえないであろう達成感を味わった。本当にこのスポーツの中毒性は危険だ。
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3日目
朝はゆっくり出発して温泉に入り、連休の全てを登山に費やしてしてしまった家族へのお詫びに、新米5キロとシャインマスカットを買って帰路へ。ザックが更に5キロ重くなった。
【CL追記】
雨音で目覚めた時はダメかと思ったが、下部岸壁だけでもできればと思った。ところが幸いにも早めにやんでトップアウトでき、初めての4人に経験を積んでもらえたので万々歳。白根御池小屋で朝方あれだけ降ったのに、水はけが良いのかバットレスは濡れていなかった。二俣までもぬかるんではいなかったので、それほどの降りではなかったのか。
5尾根支稜取り付きでガチャをつけたからか、登り初めまで30分かかっている。横断バンド核心手前のピンを前回は見つけられたのに、今回は見つけられなかったのが心残り。登攀は順調に進み、テントに帰るまで雨はぱらついた程度で降られずありがたかった。
バットレスは山頂まで長いので、登山経験を積んでリスク対応できるようになっておくことが、大切。
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