2. 三浦アルプスの位置と地形
三浦アルプスの大半は、神奈川県の逗子市と三浦郡葉山町に属し、一部は横須賀市にまたがっています。南北方向は逗葉新道と県道横須賀葉山線がその境界をなし、三浦半島を横断して西は相模湾、東は東京湾の海岸線近くまで広がっています。
三浦アルプスは、大雑把に言って、森戸川と、これをはさむ南北二つの脊梁で構成されている、と見ることが出来ます。北の脊梁は、阿部倉山(156m)から上下二つの二子山(207m)を通って北尾根・東尾根を経由して乳頭山に至るライン、南の脊梁は仙元山(117m)、戸根山(189m)から観音塚、南尾根を通って乳頭山(202m)に至るラインです。前の項に書いた「三浦アルプスの基本コース」はこの南北の脊梁をつないだコースになります。その東には、乳頭山から畠山(205m)に連なるラインもあります。森戸川は中程で、南沢、中沢(うなぎ淵沢)、北沢(小附沢)の三つの沢に枝分かれします。沢を分けているのは、北尾根から南西方向に延びる椿尾根と乳頭山から西北・西方向に延びる中尾根です。枝分かれした三つの沢が含む領域は一括りにして森戸川源流域と呼ばれています。
横須賀市在住の樋口一郎氏は同氏の著書「鎌倉&三浦半島 山から海へ30コース」の中で、三浦アルプスの地形を『尾根と谷の中の織り成す細密地形』と表現しています。山の高さ、大きさ(広さ)に次ぐ第三のファクターとして、尾根や谷の細かさを表す細密度という概念を用い、仙丈ヶ岳、高尾山、森戸川源流域の細密度を比較していますが、地形図上に尾根筋のラインを引いて見ると細密度の差は一目瞭然で、同書に示された図を見ると、ゆったりとおおらかな仙丈ヶ岳、中庸の高尾山に比べて、三浦アルプスの山域では、主稜線から稜線が細かく枝別れし、特有の複雑な地形を作り上げている様子が良く分かります。三浦アルプスは南アルプス(北でも、中央でもいいのですが)を水平方向、垂直方向ともにグッと押し縮めたような地形だ、ということですね。