登山者の目線を活かした登山道整備

 
首都圏に近い丹沢大山山塊には毎年多くの人が訪れています。中でも大倉尾根は交通の利便性が高く利用者が特別多い人気コースの一つです。このため、オーバーユースによる登山道の荒廃への対策も、重要な課題となっています。
 
こうした背景を受け、みろく山の会は、2006年より神奈川県と県民協働型登山道維持管理補修の協定を結び、丹沢・大倉尾根の登山道の補修活動を行っています。
当会の担当区間は、大倉の登山口から天神平までです。当会の自然保護部による企画・運営の元、会員参加型の会山行として、ほぼ毎月、実施しています。
 
活動を開始した2006年から2014年の間は、補修活動をみろくの年間行事の一つである清掃登山活動の中でも行っていました。
試行を重ねつつ推進した水切りの整備や、ぬかるみ対策などの活動は、当時深刻であった大倉尾根のV字のえぐれや、踏み込みによる路幅の拡幅などの問題の解消に繋がっています。
水切りとは、登山道に斜めに設置した溝のことです。流水を登山道から沢などに導くことにより、登山道の雨水の浸食によるえぐれを防ぐ効果があります。
当時の清掃登山・登山道整備の活動報告はこちらの リンク をご覧ください。
 
 
 
 
 
 
2015年以降は、安全を考慮し、登山者の多い休日開催の大規模な清掃登山活動との同時開催は取りやめ、専ら、毎月の補修活動に注力するようになりました。
8月、3月を除くほぼ毎月1 回、年間10回程度開催し、毎回、おおむね10人程度で活動しています。これまで多くの男女会員が参加してきました。常連となっている会員も少なくありません。
登山者の目線を活かし、登山道や階段の傷みや不具合の補修、水切りの管理といった内容にとどまらず、台風などの影響で発生した倒木の処理や、登山道の草刈り、標識の確認など、登山者の安全に結びつく様々な活動も同時に行っています。
 
 
 
 
大倉のビジターセンター横の倉庫につるはしやカケヤなどの道具類を保管しているほか、登山道沿いの3 か所に小さな倉庫があり、作業道具や丸太、杭などの資材も保管し、そこから補修箇所に必要な資材を運んで作業に取り組んでいます。
 
 
 
朽ちて傷んだ階段などの丸太を取り除き、新たに運んだ丸太を使って補修する。
丸太階段の間に、大小の石を並べ、歩きやすいように整える。
その間隔や高低差はどうか、自分が登山するつもりで入念にチェックし、2段、3段と組んでいく。
 
単なる力仕事でもなく、大変ですがやりがいのある作業です。
 
 
大倉尾根には、平日の作業日でも登山者は少なくありません。補修作業中は登山者に足元の注意などを呼びかけて作業を一時中断しますが、「有難う」「ご苦労様です」といった登山者の皆さまの声がささやかな励みにもなります。
 
最近(記事掲載:19年)は、大雨や大型台風などによる登山道の傷み方も激しく、補修の必要性も高まっています。
ことに水切りの荒廃は、著しいものがあります。この水切りの補修がこれからの重要な課題です。
ほかにも古くからの、丹沢ベース付近のコンクリートと石で固めて歩きづらい登山道を、登山者に優しい登山道にどう切り替えていくかなど、課題は尽きません。
 
 
 
皆様も、みろくに入って、安心できる、より歩きやすい登山道の整備のために、登山者の目線から知恵とエネルギーを注ぎ込んで、一緒に心地よい汗をかいてみませんか。
山頂を極めるのとはひと味違う達成感が得られるかもしれません。