甲斐駒ヶ岳(黒戸尾根)~仙丈ヶ岳縦走(夏山定例)

二本剣と雲海に浮かぶ鳳凰三山

山行情報

日時:2023/09/22 ~ 2023/09/24 天候:曇り後晴れ
ランク:C-C-8:00 参加:7名
山行担当:CL3630 SL3284
記録担当:文責:3847 写真:3284, 3630, 3697, 3713, 3736, 3847

コースタイム

1日目
尾白川渓谷駐車場9:40⋯13:50刃渡り⋯16:28七丈小屋(泊)
2日目
七丈小屋5:00⋯7:32甲斐駒ヶ岳8:00⋯9:12駒津峰9:33⋯10:18仙水峠10:31⋯11:35北沢峠12:00⋯14:41馬ノ背ヒュッテ(泊)
3日目
馬ノ背ヒュッテ5:00⋯6:11仙丈ヶ岳6:34⋯7:13小仙丈ヶ岳7:40⋯9:17北沢峠9:40-10:25仙流荘

コースマップ

記録日:2023/09/22~2023/09/24
合計距離: 25649 m
最高点の標高: 3032 m
最低点の標高: 776 m

山行記

はじめに

「縦走」と「日本三大急登」というキーワードに惹かれ、山行に参加。ピラミッドのような山容を持ち、登攀意欲が掻き立てられる甲斐駒ヶ岳では、バリエーションに富んだ梯子・鎖が連続する岩稜の尾根歩き、優雅な山容の仙丈ヶ岳では、360度の眺望の中のゆったりとした稜線歩きが堪能できるという、私の期待を大きく上回る、記憶に残る山行となった。



1日目(尾白川渓谷駐車場~七丈小屋)

12名で実施の予定が、体調不良等による当日キャンセルを含め、最終的には5名がキャンセルとなる不安な出だし。竹宇駒ヶ岳神社にて安全祈願の後、9時50分、甲斐駒黒戸尾根登山口。日本三大急登ということで身構えるも、意外にも前半は登りやすい登山道が続く。天候は曇り。前日の雨の影響もあり広葉樹林帯の中は湿度が高く、すぐに汗ばむ。11時49分、横手からの登山道と合流する笹ノ平分岐で昼食休憩。ここから八丁登りと言われる針葉樹林帯の急坂が続き、ナイフエッジの一枚岩「刃渡り」を契機に、甲斐駒らしい岩稜道になる。

刀利天狗にて休憩中に、会仲間のS氏と遭遇。“甲斐駒ヶ岳の日帰りピストン”で下山中とのこと(凄い!)。暫く平坦な道が続き屏風岩の手前で一気に下ると、垂直の岩壁に張り付くように掛けられた梯子が現れ、全員テンションアップ。ここから鎖・梯子場が連続し、急激に標高を稼いでいくと唐突に山小屋が現れ、16時28分、予定通り七丈小屋到着。残念ながら有名人の管理人H氏は不在だったが、10ポイントで無料になる七丈ポイントカードを頂く。軽い反省会の後、カレー、エビフライ、ソーメンという夕飯を美味しく頂き、明日に備え早々に就寝する。



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2日目(七丈小屋~甲斐駒ヶ岳~馬ノ背ヒュッテ)

朝食のいなり弁当をザックに詰め込み5時、出発。厚い雲に覆われていたが、八合目の御来迎場に到着すると、雲海の上に朝日が昇り、上空には青空が広がる。そこから程なく約10mの垂直岩壁が現れる。まずリーダーがお手本登攀した後、一人ずつチャレンジし全員難なくクリア。ここから先は高度感のある岩稜登りが連続する。二本剣を通過し暫くすると、燕岳のイルカ岩にも似た「クジラ岩とイルカ岩?」を発見。7時32分、甲斐駒ヶ岳山頂到着。雲海の上に広がった秋空の素晴らしい眺望を楽しんだ後、次の仙丈ヶ岳をめざし、花崗岩の白い砂礫をザクザクと踏みしめながら下山する。

六万石付近から甲斐駒ヶ岳をめざす登山者が多くなる。9時26分、駒津峰に到着し少し長めの休憩。仙水峠までは滑りやすい岩・石ゴロゴロの急な下りで、気を抜けない歩きを強いられる。仙水小屋から沢沿いに歩き、11時35分、北沢峠に到着。食事&トイレ休憩後、馬ノ背ヒュッテに向け樹林帯の急坂を登り返し、3合目付近で漸く尾根に出る。5合目の大滝ノ頭からはトラバースルートを歩き14時41分、ヒュッテ到着。

夕食までの時間、外のテーブルで懇親会。山や会に纏わる話でおおいに盛り上がる。夕食はジビエ(鹿)カレー。お酒好きの女将がチョイスした純米吟醸の利き酒セットも堪能。約10時間の歩行の疲れもあり、早めに就寝する。



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3日目(馬ノ背ヒュッテ~仙丈ヶ岳~北沢峠)

4時前に起床。今日の目標は北沢峠10時発(次のバスは13時10分)のバスに間に合うこと。余裕をみて5時に出発。丹渓新道分岐からハイマツ帯の稜線を歩き、仙丈藪沢カールに建つ仙丈小屋に到着。テラスからは甲斐駒ヶ岳、その先に雲海に浮かぶ八ヶ岳が見える。稜線に向けてザレ気味の急坂を登り6時11分、「南アルプスの女王」仙丈ヶ岳山頂に到着。山頂からは標高ベスト3の富士山、北岳、間ノ岳を一望できる。

360度の眺望を十分堪能した後、正面に甲斐駒ヶ岳の雄姿を見ながら小仙丈尾根を下る。雲海が滝のように甲斐駒ヶ岳と栗沢山の間に流れ落ちてくる幻想的な光景に遭遇する。7時13分、小仙丈ヶ岳に到着。甲斐駒ヶ岳が間近に見える。小仙丈を過ぎると、始発バス(臨時便も含め10台)で来た大勢の登山者とのすれ違いが多くなる。3合目あたりからは登山者も少なくなり、テンポ良く下り、予定より早く9時17分、北沢峠に到着。暫くすると臨時便が出るとの情報が流れ、程なくバスが到着。先着者が乗車し始めた瞬間、我々はチケットを購入していないことに気づく。慌てて売り場を探すと、待合室かたわらの軽自動車が販売所。満員寸前でなんとか乗車でき10時25分、仙流荘に到着。温泉は11時からだったが早めに開けて頂き、全員で一番風呂を楽しむ。

不安な出だしではあったが、好対照の2座の魅力を存分に味わった三日間の縦走を無事終え、帰途につく。



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