あまとみトレイル(ロングトレイル)

いもり池から杉野沢に向かう気持ちのいいトレイル道

山行情報

日時:2024/09/24 ~ 2024/09/28 天候:晴/晴/晴/晴/晴
ランク:B-C-9:00 参加:8名
山行担当:CL2782 SL2812, 3155
記録担当:文責:3155, 3535, 3494, 3821, 2347 写真:3155, 3494, 3535

コースタイム

1日目
チロル前登山口10:40…12:00斑尾山12:06…12:15大明神岳12:45…13:26釜石山分岐13:38…14:54菅川神社15:10…15:30菅川15:39≡15:56ペンションピュア(泊) 歩行時間:3時間46分/休憩時間:1時間04分
2日目
泊地08:10≡08:26野尻湖ナウマン象博物館08:35…08:53野尻湖国際村入口分岐08:55…09:10野尻湖ナウマン象博物館09:50…10:53関川関所・歴史館12:05…13:28いもり池14:00…14:05妙高高原ビジターC14:27…14:55杉ノ原・秀雲荘(泊) 歩行時間:3時間32分/休憩時間:2時間48分
3日目
泊地07:25…07:54苗名滝駐車場08:00…09:01吊り橋分岐09:07…09:38送電線分岐09:43…10:36西野発電所分岐10:48…11:32吊り橋11:40…12:07西野発電所管理小屋12:36…12:48仙人池分岐12:54…13:40笹ヶ峰グリーンハウス13:46…14:03宇棚の清水14:07…14:46笹ヶ峰グリーンハウス(泊) 歩行時間:5時間59分/休憩時間:1時間22分
4日目
泊地07:06…07:54乙見湖休憩舎08:04…09:00笹ヶ峰夢見平09:10…10:10氷沢避難小屋10:20…11:20西登山口11:35…12:20笹ヶ峰分岐12:25…12:46大ダルミ…13:15広場13:35…14:20古池14:25…14:54大橋登山口15:00≡15:15山宿戸隠小舎(泊) 歩行時間:6時間33分/休憩時間:1時間15分
5日目
泊地≡奥社入口8:10…8:32随神門8:32…8:50奥社8:58…9:26奥社入口9:36…10:10中社10:24…10:50昼食11:20(戸隠そば)…11:49宝光社12:38-13:30長野駅 歩行時間:2時間34分/休憩時間:1時間06分
※-公共乗物、≡宿の送迎車

コースマップ

記録日:2024/09/24~2024/09/26
合計距離: 38173 m
最高点の標高: 1387 m
最低点の標高: 569 m


記録日:2024/09/27~2024/09/28
合計距離: 30403 m
最高点の標高: 1602 m
最低点の標高: 1105 m

山行記

1日目(斑尾山~野尻湖畔)

あまとみトレイルとは、雨飾山の「あ」、斑尾山の「ま」、戸隠山の「と」、妙高山の「み」から名付けられたロングトレイルのルートで、長野駅から斑尾山の山頂までの総延長86キロのルートだ。今回は斑尾山の麓から戸隠までを、5日間かけて歩く計画。斑尾や戸隠にはスキーに何度も行ったこともあり、私としては初めてのロングトレイル山行に参加した。

飯山駅に着くと、当日お世話になるペンションピュアの出迎えがあり、その車で斑尾スキー場の登山口まで送ってもらう。

斑尾山の山頂は眺望がないため集合写真を撮るだけにして、そこから15分ほどの大明神岳山頂で昼食休憩を取った。すると「うわ~」という驚きの声が上がり、なにかと思ったらリードを着けていない大型犬3頭がやってきたのだった。地元に住んでいる白人3人が犬と一緒に登ってきたのだ。斑尾の雪に惹かれて住み着いた人たちで、日本語も上手だった。

野尻湖側に下り、熊出没情報で途中から本来のあまとみトレイルとは別の野尻湖北側の迂回路を進んだ。すぐにまた分岐点があってGPSに従って進んだが、どうもルートがずれているようだという声があった。ずれることはあるのでそのまま進んだが、どんどん予定ルートから外れていくので引き返すことにした。分岐点まで戻り、さらに少しだけ進むと舗装された林道に出た。こちらの林道が正しいルートだったが、同じ方角に進む道のため間違えてしまったようだ。あとでヤマレコを見てみると、同じように間違って進んで戻っている人がいることが伺えた。ここは要注意箇所だ。

菅川神社に着いて大杉を見物したあと、どこまで進んでから迎えの車を頼むか、湖畔を進みながら検討したが、湖畔道路が通行禁止ということもあって、菅川まで戻って迎えの車を待つことにして本日の山行は終了した。(文責:3155)



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2日目(野尻湖畔~杉野沢)

二日目は護岸工事のため、残念ながら「象の小径」を歩くことができない。それで野尻湖畔にある「ナウマンゾウ博物館」に行くが、まだ開館前。博物館前の象のレプリカの前で記念撮影をして、湖畔を散策。ナウマンゾウの化石が発見され、現在も調査中の湖畔にはナウマンゾウのかわいいオブジェがあった。その後、博物館を見学した。見学後、国道に出ると黒姫山をバックに象のモニュメントが青空に映えている。来てよかった、と感動。

湖畔を離れて伝九郎用水路の脇を歩き農道に入ると、稲は首を垂れ田畑は実りの季節を迎えている。秋の田園風景の中を進んで行く。集落から車道を歩いて遊歩道に入ると、緑が爽やかな高原らしさを感じる。もう妙高高原に入っているのだ。

そして、北国街道の信越国境に置かれた関川関所に到着。思わず信越トレイルとあまとみトレイルが繋がったこととも共通点があるように思わされた。道の歴史館も見学。今日は地元の歴史を知るトレイルだ。「あまとみトレイルは、自然と歴史、人の営みを繋ぎ、楽しむトレイルです」とパンフレットに書かれていることにもうなずかされる。

しばらくすると山道に入っていく。トレイルの道標を確認しながら40分ほど行くと「いもり池」がある妙高ビジターセンターに到着。ラウンジから青空をバックに妙高山、いもり池にも逆さ妙高山が映り、とても美しい。

ここから杉の原周辺までは棚田の広がる田園地帯。妙高山を眺めながら歩き、今夜の宿がある苗名の湯・杉野沢集落に到着した。美しい大自然とその中で育まれた人々の営みが織りなす地域の魅力を知ることができ、充実した一日となった。(文責:3535)



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3日目(杉野沢~笹ヶ峰グリーンハウス)

杉野沢の秀雲荘を7時25分に出発、苗名(なえな)滝を目指す。あまとみトレイルの標識は小さく、また少なくてスマホのGPSを頼りにしながらのトレイルである。芒(すすき)の穂が靡(なび)き、野紺菊がいたるところに咲き秋を告げている。紅葉には少し早いが、末枯というか梢の先が色づいている。ここで一句。

極楽の風が吹きくる芒かな 憲明

苗名滝で小林一茶が「瀧けぶり側で見てさへ花の雲」という句を詠んだとある。4月の桜が満開のころであったのだろう。秋も雪解け水であろうか、水量も豊かで柱状節理の岸壁を滝けぶりをあげて落ちていた。

滝の左側をよじ登り西野発電所へ向かう。途中、吊り橋に出る。二人以上は同時に渡るなと書いてあるが、どうも二人までは同時に渡って可と読んだようで、仲良く二人で渡って行く姿もあった。新潟は東北電力の管轄らしい。西野発電所にて宿が用意してくれた昼食。昨日拾って宿の方に託していた山栗が、程よく煮られて袋の中から出てきた。発電所の下りも登りもかなりの急傾斜であった。

ドイツトウヒの森を抜け、今夜の宿泊所の笹ヶ峰グリーンハウスに到着。時間的に早いので散策に出る。宇棚の清水から、その流れに沿い清水ヶ池までの小さな三角形を回ってきた。清水は勿論旨かった。こうして3日目を終えた。 (文責:3494)



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4日目(笹ヶ峰~戸隠)

宿舎の笹ヶ峰グリーンハウスは標高1,300mで、放牧地が広がり、妙高山が見守るように目の前に聳えている。実に気持ちの良い高原の朝だ。今日はここからスタート。笹ヶ峰から夢見平遊歩道にかけては、癒しの効果が実証された森林セラピーロードとして整備されているとのこと。シラカバ林を抜けると、妙高山の伏流水が流れ込む明るい清水ヶ池に着いた。

林道を過ぎ、乙見湖のダムの堰堤を渡った先の見上げるような116段の階段を息を切らして登ると、そこからは、夢のように美しいことから夢見平と名づけられた遊歩道が続く。ブナやミズナラの巨樹の森だ。うっすら黄葉している。途中短縮コースもあったが、あまとみトレイルの表示通りになだらかな道を行くことにした。湿地帯でぬかるんでいるところもあり、巨大な水芭蕉が見られたが、刈られたのかクマに食べられたのか葉が少なかった。夢見平の六美展望台からは、火打山や妙高山がよく見えた。歴史ある簡易製材所跡を過ぎると、氷沢避難小屋。非常用の水や布団も用意されたきれいな小屋だった。

氷沢橋から林道歩きが始まったが、この砂利道が歩きにくかった。西登山口からトレイル中で一番の高度がある大ダルミには、緩やかな登山道を登っていく。途中、ぬかるみの中にまだ新しい大きなクマの足跡があるのには、肝を冷やした。背丈の高い笹に囲まれた道を行くと大タルミに着いたが、ここでお昼を取るのは危ないので、少し下ったところでとった。

あとは下りのみ。地図上に古池が出ているので、松尾芭蕉の句を口ずさみ、想像をたくましくしていたのだが、波が立った大きな池だったのは予想外だった。4日目ともなると、疲れがたまってくるが、黒姫山大橋登山口まで戸隠小舎の車が迎えに来てくれたので助かった。(文責:3821)



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5日目(戸隠奥社~宝光社)

いよいよ楽しみにしていた最終日の戸隠神社参拝。宿の方に奥社山門まで送っていただき、杉巨樹の続く参道を奥社へと歩き始める。

実に清々しい気分だ。奥社と並ぶ九頭龍社の御祭神は、虫歯の神さまとして尊信されている。初めて参拝することができた虫歯の神さまにお会いでき、手を合わせた。

それから30分ほど歩き到着した中社は、既に参拝者であふれていた。参拝後、院坊旅館の家並みにある戸隠蕎麦屋にて早めの昼食。さすが日本三大そばの一つだけあり、とても美味しかった。

さらに設置の熊除け鈴を鳴らしながら、前に進む。戸隠神社で最も古く、再建された社殿である宝光社に到着。神秘的な雰囲気を感じることができ、願いごとにあらたかな効験がありそうな予感‼参拝後、急な石段を手すりにつかまりながら、ゆっくり下り、長野駅行のバス停へ向かった。(文責:2347)

【CL追記】

本トレイルを知ったのは、2021年9月に行った信越トレイル山行終了時でした。4日間のトレイルを歩き終え、信越クラブトレイル事務局を表敬訪問したとき、局長さんから信越トレイルの出発点・斑尾山から火打山・妙高山地域を通過し戸隠、長野市駅を終点とする「あまとみロングトレイル」が間もなく完成する旨の説明を聞き、驚いた記憶があります。これが今回のトレイのきっかけとなりました。

当初、事務局から取り寄せた地図、資料を纏めた最初の歩行計画は、84Kmのコースを戸隠、笹ヶ峰でのテント泊を含む3泊4日で歩くものでしたが、同行仲間の反対もあり、テントなし4泊5日の比較的ゆっくりした計画に変更しました。

ロングトレイルの主な目的は「森林、原野、里山をゆっくり歩き、水、空気、植生、断崖、岩石、地層、又は動物の生態を観察・予想し関りを楽しむ」。また、「人里、生活圏では人的交流、地域の歴史、史蹟、博物館、地域文化面では食事、演芸、お祭り、美術館等に参加してそれぞれの味を楽しむこと」も含まれる。

今回のトレイルを振り返れば、行程の各ポイントから望める「一目5山」の山々、雄大な瀑布の苗名滝、滝から笹ヶ峰に至るまでの狭くて急な登りの古い登山道の息苦しさをはじめ、野尻湖畔の散策の清々しさなど、皆元気一杯に楽しみました。

また、ナウマンゾウ博物館の展示物、発掘の歴史、発掘作業のVTRなどは、暫く足を止めて見入るほどの新鮮味がありました。中でも興味を引いたのは「北陸街道の要」と言われた関川関所跡です。現在も新潟県と長野県の県境となっており、人気がある観光ポイントです。この関所は参勤交代時の関門でした。また、佐渡から金銀を江戸に運ぶ動脈の関所でもあり、役人の厳しい取り締まりがあったとのこと。特に女性の身元改めは厳しく、別室で髪をも解き検問を受けたとの説明もあります。

9月末の行楽シーズンの5日間、晴天に恵まれ、参加者全員元気で快活に楽しくあまとみトレイルを終わることができました。



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