第25期幕岩教室

湯河原幕岩にて

山行情報

日時:2023/09/30 ~ 2023/11/03 天候:曇り/晴れ/雨/晴れ/晴れ
ランク:D-D-1 参加:29名/25名/25名/25名/26名
山行担当:CL3418 SL3718, 3050, 3271
記録担当:文責:3847, 3937, 3840, 3736, 3853, 3856 写真:3418, 3718, 3271, 3217

山行記

はじめに

岩沢世話役会では、岩場を登る技術を習得するための幕岩教室を毎年秋に開催しています。鷹取山、モミソ懸垂岩、広沢寺、湯河原幕岩などでトップロープ登攀、登攀者の確保(ビレイ)、懸垂下降を全5回で学習します。

教室では、いくつかに班分けをして、受講生同士で装備の確認や登攀に必要なコールの掛け合いを繰り返し練習します。最初は初顔合わせで緊張気味の受講生たちも、回を重ねるごとに逞しく成長して、第25期の同期生という仲間意識も芽生えてきたようです。また、今年は初の試みとして経験者枠を設け、第1回の鷹取山で幕岩教室卒業同等レベルの認定確認を行い、2名の方が認定されました。

将来、卒業生には岩沢世話役会の後継者となって活躍してくれることを期待しています。



第1回鷹取山(2023年9月30日)

装備の準備、ロープ結びの自主練をしながら実技教室1回目を迎える。緊張で装備装着に手間取りながらも訓練スタート。冒頭、「ヘルメットの名前表記が小さい!次回まで遠くからでも見えるようにしてくること!」とCLから一喝される。16名の新受講生は4班に分かれ、班ごとにコーチ2名がつく。手厚い指導体制のもと、午前中は立木を使ったロープの結び方、ビレイの基礎と手順などの座学。午後は、いよいよトップロープを利用した登攀にチャレンジ。クライムダウンなどの実践練習を通して、基本的な技術と手順を学ぶ。ロープに全体重をかけるロアーダウンでは、ビレイヤーとの信頼関係と相互のコールが大切ということを知る。

訓練を通して、“憧れていた新しい世界”に一歩踏み出したという実感が沸く。終了後の決起集会は、初回実技を無事に終えたという安堵感とロープで繋がる仲間との一体感からおおいに盛り上がる。“登攀時の足の痛さ”という難敵をクリアし25期の仲間と無事卒業し、さらには技術継承の一端を担えるよう訓練に取り組んでいきたい。 (文責:3847)



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第1回鷹取山/認定確認組(2023年9月30日)

幕岩教室に経験者枠で参加できることになり、前日よりかなり緊張していました。朝の天気はどんより曇り空で、今にも雨が降りそうな様子。追浜駅で会費と同意書を提出。鷹取山に着くまで、今にも雨が降りそうでした。 

鷹取山広場でCL、SL、受講生の自己紹介、準備体操。その後各班に分かれ、指導開始。私の班は経験者枠の53名。経験者への指導方法は、最初に受講生が実際に行い、間違った方法や手順ミスがあればその都度指導します、とのこと。指導内容は①トップロープ:コーチのビレイで、簡単な壁のトップロープ登攀。②ビレイ:受講生の地上でのビレイをコーチが確認後、受講生がビレイをしてコーチが登り、ビレイの練習を各人2回。そのあと、受講生のビレイで、他の受講生が登攀を各人2回。③懸垂下降:コーチの懸垂下降の指導後、受講生のビレイでトップロープを登り、ロープを解いて支点から懸垂下降を各人4回。受講生がビレイでコーチが登攀の時に、いきなり有り得ない箇所でコーチが落ちるので、かなり焦りました。次に少し難度の高い垂壁に移動。ここでもトップロープで登り、懸垂下降を2つのルートで各人4回。 

昼食後、他の班に混ざって訓練を受けるか、このままビシバシ登るかと聞かれ、幕岩教室同期を作りたいという希望を受け入れてもらい、各班に混ざって訓練を受けました。その後トップロープで登り、懸垂下降を4回行い終了となりました。かなりの回数トライでき、とても内容の濃い教室となりました。 

25期幕岩教室より経験者枠が創設され、一回目の鷹取山幕岩教室で卒業認定を受けました。今後は、卒業認定に恥じぬよう努力して参ります。(文責:3937)



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第2回モミソ懸垂岩(2023年10月7日)

今日の舞台は丹沢にある「モミソ懸垂岩」。大倉から林道を歩いて1時間の場所だ。岩へのチャレンジはもう少し先と考えていたこともあり、ジム練習などを含めてクライミング、懸垂下降の経験は全くなし。それが故、第1回の鷹取山では悪戦苦闘の連続。コーチから動きがロボットのようにぎこちないとダメ出しも。ということで、今回は少しでもスムーズな動きができることをお題に挑んだ。 

さあ、今日の練習開始。ハーネスなどの装備を身に着ける。だが、なぜかしっくりこない。点検してみるとハーネスの向きが逆に。いかん、いかん。最初はロアーダウンから復習。変わらず動きがぎこちない。「歩くように下りるのよ」とコーチから言われるが、なかなかうまくいかない。そこでコーチにお手本を示してもらう。なるほど、と感心する。

4人1組で班を作り、登りとビレイを交代しながら練習する。ロアーダウンの次は懸垂下降の練習に移る。手順を確認し、これも登りとビレイを繰り返し練習する。すると最初は登れなかった箇所が登れるように。懸垂下降に入る際の準備も少し手際良くなったか。ビレイの仕方も少し分かってきたような。でも懸垂下降そのものはまだぎこちない。仲間同士でもアドバイスを送り合う。「あそこ登れるんじゃない」との声も掛けられ、幕岩教室ってほんと楽しいと思う。

そんな中、アクシデント発生。なんと両手の指がつった。指が曲がったまま元に戻らない。登りやビレイで手に力が入り過ぎたためだろう。いや~、参った。順番を交代してもらい、しばしマッサージをして回復を待つ。幸い解消したことから、最後の1本を登らせていただき、本日の練習を終える。その際、コーチの1人から「第1回より皆、上達している」との講評が。自分はどうかなと思いつつ、少し嬉しかった。 

最後に今回も数多くのコーチの方が我々をボランティアでサポートして下さった。本当に深謝だ。我々25期も、何らかの形で会にお返ししなければと思った。 (文責:3840)



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第3回室内ジム(2023年10月15日)

同じころに入会した仲間が、順に幕岩教室を卒業していた。これは岩稜歩きの勉強になる、リーダーのたしなみだ、なんて聞きながら今まで受けずにきた。だが、プチバリなどに行きたければやらなければならない。今年は受けようと申し込み、会員番号がやや古いおかげか受講させてもらえることになった。 

幕岩教室もはや3回目。今回はあいにくの雨予報で、クライミングジム2か所に分かれての開催となった。私はそのひとつ、ストーンマジックでの受講。ここには以前に一度だけ来たことがある。受講生は4班に分けられていて、私は初心者の多い2班に在籍している。 

当日は雨の中、淵野辺駅から歩き、ジムが開く15分前に一番乗りで到着し並んで待った。10時に受付を済ませ、2階の小部屋でハーネスなどを装着。その間にリーダーたちが練習の場所を確保してくれていた。この日はかなりの混雑ぶりで、場所をとるのが大変だったとのこと。準備体操の後、班別に分かれて練習開始。まずはトップロープで登り、ロアーダウン。下り始めがどうしても怖い。次は懸垂下降。先週習った手順を頭で繰り返してから、自分の番に向かう。なかなかスムーズにできないが、何度も繰り返しやっていると始めよりましになってきた気がする。ビレイも難しいが、初回よりは少しできるようになった。同じ班の方たちも徐々に上達しているのがわかる。 

昼食は練習場所を取られないように順番に摂る。途中、他のグループに譲りながらも最後まで場所を確保してくれた。 

15時30分、撤収開始。あっという間だった。毎回、チャレンジできることをありがたく感じている。一日中、根気強く教えてくれたリーダーに感謝感謝である。 (文責:3736)



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第4回広沢寺(2023年10月28日)

全5回の教室もいよいよ終盤になり、回を追うごとに幕岩教室の独特な緊張感が増してくる。この緊張感の正体は、自分の技術面での自信のなさはもちろんのことだが、なにより安全の鬼とも言える講師陣からのプレッシャーである。広沢寺には30メートル近いクライミングコースをはじめ多くのルートがあるが、実技練習中、一生懸命なんとかそれらの岩を登った到達点の先には安全の鬼たちがまさに鬼の形相で私たちの一挙手一投足を見守っているのである。それはまさに岩の上のラスボスみたいだ!

今回の私の班の講師は見るからに歴戦の山男のF先生と、見るからに生粋のクライマーのA先生だ。この先生たちは、私たちが上っ面な理解や曖昧な行動をしていると直ぐに見抜いて、的確な指摘が飛んできた。そんな中で、緊張しながら何度か登攀しては懸垂下降を繰り返したが、自宅マンションの非常階段で同じ階の人に怪訝な顔をされながらロープを張って自主練した甲斐あって、大きな問題は無くこの日を終えることができた。

毎回受講生全員が相当の緊張感と不安を共有して一緒に乗り越える教室なので、今回のテーマである「仲間を作る」という意味では最高の環境だと思う。この原稿を書いている時点ではまだ卒業していないが、今回一緒だった受講生はこれからずっと幕岩同期という仲間になっていくと確信している。これから各々知識と技術を磨いて、一緒に沢山クライミングを楽しみたいと思う。私も多くの岩場で経験を重ねて、いずれはみろくの後進の人たちの安全を守る安全の鬼&岩の上のラスボスになれるように努力します!(文責:3853)



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第5回湯河原幕岩(2023年11月3日)

バリエーションと言われるルートを歩いてみたくて、2022年4月に入会しました。今期の幕岩教室は受講希望者がとても多いと聞いていましたが、受講できてラッキーでした。 

11月3日、幕岩教室5回目が始まりました。湯河原駅に集合し、4人ずつタクシーに乗り幕岩管理公園に向かいます。CL始めリーダーは、私たちよりひと足早く到着し、すでにロープを張って待っていてくれています。幕岩は何本もルートがありますが、連休初日の快晴とあって混雑が予想されるためです。これまで4回の講習で相互点検から始まり、トップロープのビレイ、終了点での自己確保からの懸垂下降、そしてビレイヤーとのコンタクトのためのコールなど。 

トップロープのクライミングはただ登るのが難しい、と思っていた私の認識がいかに間違っていたか。エイトノットの結びひとつでもおろそかにできず、ひとつひとつの作業が安全に登ることにつながっていて、ひとつひとつの手順を当たり前にきちんと行わなければいけないことを学んできました。今日はその最終確認、見極めの日と思い臨みました。 

ハーネスなど装備を身に着け4つの班に分かれ、私たち4班は幕岩桃源郷の上部のシンデレラというルートに向かいました。トップロープで登り、ロアーダウンで1本目を下り、2本目はトップロープで登り、懸垂下降しました。4名が終わるころには3班が上がってきて、岩場に張ったロープが空にならないようにCLからの移動指示がありました。 

外岩のゲレンデは登山道を歩くのとは違い、踏み跡程度の道を上がったり下がったり移動は大変です。それをあっちの岩場こっちの岩場と移動して、訓練の進み具合を確認して、相談しての段取りです。岩沢リーダーのチームワークは凄いなぁ。 

60過ぎて初めて教えて貰うこと、そして頭で理解するだけでなくそれを作業手順としてやったり、身体でこなしたり、大変でしたが、新しいことを知る喜び、また何度も練習してできるようになった時の達成感。そして、それを共有した仲間、一緒に褒めて喜んでくれるリーダーたち。とても新鮮な体験でした。1年で山が1番美しく輝く季節に、自分の休みを返上して指導に当たってくださったリーダーの方々には本当に感謝と頭が下がる思いです。 

25期幕岩生は、事故もなく無事全員卒業できました。教室終了後、幕岩公園広場に集まり受講生全員が口にしたことは、リーダーへの感謝と幕岩教室の素晴らしさでした。これからも大変だと思いますが、是非続けてほしいと思いました。そしてSLのTさんの「今日で幕岩教室は終了ですが、皆さんにとってはこれからが始まりです」という言葉は、凄く私の中に落ちました。これまで身に付けた技術や体験を次に繋げていくことが、リーダーへの恩返しだと思いました。 

私には登ってみたいルートがあります。今回幕岩教室を受講できて、その目標に近づくための入口に立てた気がします。これからも練習や努力をして、目標に向かって進みたいと思っています。(文責:3856)



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