岩場・沢でのセルフレスキュー訓練

 

事故状況:懸垂下降中トラブル発生、仮固定を行い自己脱出で登り返す。

山行情報

日時:2021/11/23 天候:曇り
ランク:D 参加:47
山行担当:CL3632 SLA:3499、B:3050、C: 3224、D:3456
記録担当:文責:3597、3718、3626、3653 写真:3674 A:3060、B:3256、C: 3224、D:3418

山行記

はじめに

みろく山の会では、岩・沢での万が一に備え、幕岩教室、MRT修了者または同等
の技量を有する人を対象にセルフレスキュー訓練を定期的に行っています。以下
の山行記は11月23日に横須賀市の鷹取山で行われた訓練の記録です。



【A班--宙吊りからの自己脱出・ビレイヤーの自己脱出】

懸垂下降の登り返しは、以前自分がユーチューブで見た複雑なものとは違って、マッシャー一つを下降器の上のロープ部分に、テープスリング一本を下降器の上の穴にカウヒッチで付けるだけのシンプルなシステムで、これなら自分でも実践で使えそうだと思いました。テープスリングを2本にして両足を使えば女性でも楽に立ち上がれるだろうと思います。

ビレヤーの自己脱出はビレイ器のロープの仮固定、マッシャーへのテンションの移動、下流側ロープのアンカーへの固定というこちらも解りやすい手順ですが、一人でやる時はクライマーがずり落ちないように確実にテンションを確認しながら作業を慎重に進める難しさがあると思いました。

セルフレスキュー訓練は初めての体験でしたが、万が一トラブルに会ったとき的確に対処するために身に着けていなくてならない技術だと痛感するとともに、ロープやスリング、ギアを使いこなす楽しさも味わうことができました。

文責 3597



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【B班--3分の1・6分の1引上げ法、セカンドビレイのロック解除吊り降ろし法】

クライミング中は予期しないトラブルがあり、無事下山のため、想定外を無くすためにもレスキュー技術は気になっていました。今回の訓練はセカンドが墜落したケースを訓練させて頂きました。セカンドクライマーが自力登攀困難になった時に引きずり上げる、それと降ろす時のロープロック解除の基本技術の訓練でした。

今まで本やYouTubeで見てイメージはあるが実際の練習する機会がなく不安でした。訓練では先ずOリーダーがギヤとロープで井戸の滑車のようなものを造って実践してくれ、その後に受講生の順番です。コーチがやっているときは簡単そうでしたが、自分で行うと「えーと、次は?」があり、一度行わせてもらうことはとても大切で有り難いです。

ライジングシステムは練習時に5分の1の話もありましたが、自分は一杯覚えられないので3分の1と6分の1を覚えて、3分の1で上がらないときは6分1にします。実戦では、墜落クライマーを上げるか下ろすかの判断は難しいと思います。その為にも両方の方法の基本を学べたことはとても有り難たかったです。ありがとうございました。今後は繰り返し練習で習得しかないのでまた参加させていただけると幸いです。

文責 3718



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【C班 カウンタークライミングによる事故のリード者を下ろす】

これは、マルチピッチクライミングでリードがロープ半分以上登ったところで 滑落損傷し、登れなくなったのでロワーダウンで下すもロープが足りなくなり、それ以上下せなくなったのでビレイヤーがカウンターで登ってリードを下し、その後ビレイヤーは懸垂下降で下りて来るという技術だ。

我々の班は全員がMRT終了者なので、全員がリード役・ビレイヤー役を交互に行い実践させてもらった。ビレイヤー役をやった時はリーダーさんからひとつづつ指示してもらい、操り人形状態で何とかこなした状態だった。あとから考えると、ポイントは、両者が落ちないようなロープのほどき方と、リードを無事に下した後ロープにかかる荷重をいかに移動して懸垂下降できる状態にもっていくか、ということだと思った。

頭で理解したつもりでも実際この場面になってしまった時うまくできるだろうか?実際のマルチピッチの場面ではこのようなことが起きないように登っているので、万が一にしかやらない技術で手順を覚えていられるか自信がない。今回は講習しやすいようにロープの長さを調整してもらっていたので、リード者が下りた時点でセルフをとるための支点がビレイヤーの近くにあったが、実際の現場では支点が遠い時はそこまで登らないといけないのではないか。下にいるリードはけがをしてビレイできないので、トップロープ状態ではあるがフリーで登らなくてはならない、などハードルが上がってしまう可能性もあると感じた。また、実際の場面ではガチャ類の回収も行う必要があろう。ただ、損傷の程度によっては回収より優先度をあげて救助を行う必要もあるのだろう。

今回は受講者として参加させていただきましたが、来年は教える側になって参加したいと思いました。教えていただいたリーダーの皆さんありがとうございました。

文責 3626



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【D班—-ロープワークと懸垂下降】

最初に各リーダーより、ロープの結び方を教て頂きました。ごく普通の結び方であるオーバーハンドノット(ひとえ結び)、可動するムンターヒッチ(半マスト結び)、しっかり止まるクローブヒッチ(マスト結び)まではついていけたのですが、ミュールノット?ラビットノット?などとなると、段々わからなくなってきました。家に帰って資料を読んで、さらにYoutube などを見て復習しないと忘れそうです…。

ロープワークの最後に三点支持や懸垂下降で利用するブルージックのきれいな結び方を教えてもらった後、幕岩教室で学んだ懸垂下降の練習です。鷹取山の高い岩の壁にロープが張ってあり、そこで懸垂下降で降りる訓練をします。山道を登って岩壁の上に出て、そこでリーダーに見守られながら懸垂下降の準備をします。環付きカラビナをビレイループに通してブルージックをマッシャーで結び、スリングにカラビナ、ATCをかけてロープを通し、テンションを確かめてから懸垂下降。鷹取山の岩壁は垂直で高さもあり、降りる瞬間は足元が急に落ちるので思わず「うわっ」と声をあげてしまいましたが、慣れてしまえば怖さは感じずに降りることができます。34回ほど懸垂下降を繰り返すと、なんとかスムーズにこなせるようになりました。

懸垂下降を終えた後は、他の班のセルフレスキューを見学します。上り返しを練習している班を見て「何をしているんだろう…」と思っていたら、細かい手順をリーダーの方が再現してくださいました。しかし、幕岩卒業したばかりの身では「へぇ~」「ほぉ」「おお!」と感嘆の声を上げるので精一杯。これから先も学びを続け、さらに技術を向上させる必要があるなと感じました。時間を割いて教えて下さったリーダーの皆様、どうもありがとうございました。

文責 3653

 

CL追記 

セルフレスキューは、クライミング時のアクシデントに対して、自身を守ったり仲間を助けたりするために必要な技術です。訓練は年に1回ですが、時々思い出してレスキューの手順を反復練習していただければと思います。リーダーの方々は、事前の練習や準備等お疲れ様でした。 



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音が出ますのでご注意ください。

 

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