第24期幕岩教室(クライミング基礎教室)

第24期最終回、幕岩桃源郷のシルクロード、washingの登攀

山行情報

日時:2022/09/25 ~ 2022/10/30 天候:9/25, 10/2, 10/9, 10/15, 10/30, 全て晴れ
ランク:D-D-1 参加:9/25 19名, 10/2 21名, 10/9 19名, 10/15 17名, 10/30 20名
山行担当:CL3050 SL3271他
記録担当:文責:3785, 3755, 3774, 3757, 3740 写真:3785, 3595

山行記

第1回:鷹取公園

第24期幕岩教室が始まった。希望者が定員を超えたが多くのリーダー、幕岩教室卒業生が指導してくれることで14名の参加が実現した。参加条件は山岳保険に入ることと家族の同意書の提出。説明会に加えて登山用品店に集合し、装備購入のアドバイスを受け、その後の座学でロープワークも実習した。受講者でLINEグループを作ってCL自撮りのロープワークの動画を共有して、準備は万全のはずであった。 

実技第1回目は鷹取山で実施。前日の雨で実施が心配だったが、当日は晴れて岩壁も乾いていた。CLの挨拶でこれまで幕岩教室で事故はゼロ。クライミングは危険が伴うものであり安全第一で実施する。登るための講習というよりビレイによる安全確保と安全な懸垂下降を行うための講習との説明があった。 

まずはヘルメットとハーネスを装備して基本的なロープワークから実習。練習用ロープで練習していたのにエイトノットがスムーズに出来なかった。平地でビレイの練習をした後、岩壁でビレイと懸垂下降の実習。ビレイではクライマーの動きを見ている余裕がなく、クライマーのスピードに合わせられなかった。

懸垂下降ではセルフビレイを取って身体を預け、下降器にロープをセットして確認した後、セルフビレイを解除して下降開始。岩壁の上に講師がいて教えてくれるので安心してセルフビレイを外せた。第1回目は安全で楽しく終えられて、これから4回の教室も「ちむどんどん」(心ワクワク)。 (文責:3785)

 【CL追記】 

第1回目は、午前中に8の字結び、ダブルフィッシャーマンズノット、インクノット、懸垂下降のセット、マッシャー付き懸垂下降のセットの練習を行った。午後に前浅間に2本トップロープをセットし、ビレーの練習、懸垂下降の練習を行った。初めてなのでぎこちなかったが、皆さん真剣に取り組んでいました。 



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第2回:幕岩悟空スラブ

今日は幕岩で2回目の練習です。どんな岩場が待っているかドキドキです。幕山公園から徒歩30分の山道を行くとなだらかなスラブに到着です。岩場に入ったらヘルメット着用、そして、ザックは下に落ちないようにハーネスやカラビナで固定します。リーダーの方々がロープを張ったりしている間にハーネス等をセット、そして本日からクライミングシューズを履きます。 

先ずは、上の練習場所までプルージックで確保しなから移動します。上に着くとPASでセルフビレイを取りスタンバイです。この場所からは海が綺麗に見えます。雲一つない良いお天気で温かい岩に座っているとついついのんびりしますが、これからが本番です。 

トップロープのビレイの練習からスタートです。安全のために、リーダーが1本、生徒が1本のダブルのロープでビレイします。なだらかな岩場なのでクライマーの登る速度が速くビレイが追いつかない、しかも不安定な足場で踏ん張りが効かない。ロープが弛むとビレイデバイスが垂れ下がり、更にビレイが困難になります。もっと大きく一気にロープを引けないといけないなと反省です。 

あと、コールがついつい甘くなります。クライマーとビレイヤーは常にコールを確認して次の動作をしないといけないのですが、自分の目先の作業に追われてしまい動作が先行してしまう。これは絶対ダメなので本当に気をつけようと反省です。 

リーダーの方々からの指摘もためになるものばかりでした。これは忘れないようにしないといけません。特に多かったのが環付きカラビナの閉め忘れです。ついついかけた段階で安心してしまう。あとカラビナのかける方向もポイントです。衝撃で開いてしまう可能性をきちんと考えないといけません。 

あっという間に時間はすぎ、プルージックで確保しながらクライムダウンしてお昼の場所へ移動しますが、クライムダウンが滑りそうで怖かったです。そしてお昼は岩場の途中なので物が落ちると大変です。カラビナで落下防止しながら食べました。途中で上からおにぎりがコロリンしてきて楽しいランチタイムでした。しかし、クライミングシューズは長時間履いていると痛いです。これも今後の課題ですね。 

次は懸垂下降の練習です。懸垂下降は手順と最終確認が重要です。一つひとつ確認しなから練習しました。今回はシンプルにマッシャー無しでちょっと助かりました。そして、最後は総復習で下まで一気に懸垂下降でおりました。これが気持ちよかった。本当に楽しい1日でした。   (文責:3755)

【CL追記】 

平地でのビレーではなく、斜面でのビレーでやりにくかったと思いますが、よい経験にもなったかもしれません。クライマーの登りが早いのでどうしてもロープが緩んでしまいがちですが、声を掛け合っていただき、ビレーを確実に(確保器下のロープを離さない)行えるよう指導していきます。懸垂はセットを間違えると危険ですが、今回の幕岩教室では、基本マッシャーなしで下降していただいていますので、コーチが受講生全員のセットを確認・指導して降りていただきました。 



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第3回:モミソ懸垂岩

第3日目は丹沢モミソ懸垂岩。天候が心配されたが直前の予報は15時からの雨予報、なんとか終了時間まではもちそうだと外岩での実施が決定となった。岩場へのアプローチは、大倉バス停から秦野戸川公園を抜け、新芽荘方面へ1時間ほど歩く。途中、沢の渡渉があるので、サンダル持参とリーダーからの指令、幸い増水しておらず、登山靴を脱がずとも岩を渡れた。 

懸垂岩に着くと、見上げるような岩に、皆から「わ〜」という声が上がる。前回の悟空スラブまでは緩斜面だったが、急に「クライミング」感が増してきた。いよいよ実技3日目、皆の課題はビレイ。家やジムで練習をして臨んだ。前回に比べると、高度がある分テンションのかかり具合がわかりやすい。ただ、命を預けるのだからとリーダー、コーチの指導も当然厳しい。スムーズなコーチ陣のビレイに比べると、やけに忙しく手の動きもぎこちない。お互い他の受講生が指導されるのを見ながら、待ち時間はエアーで練習だ。

クライマーも、前回までと違って一気に登り方が難しくなる。しかし登れた後はちょっとした達成感!クライミングにハマる理由がわかる。もう一つ、モミソ懸垂岩ならではの学びがある。岩のすぐ横に沢があり水の音が響いていることだ。クライマーとビレイヤー間ではコール(掛け声・合図)が重要だが、沢にかき消され全く聞こえない。大きな声はもちろんだが、手での合図も含めてどうやって確実に合図を送るかも勉強になった。15時に撤収、帰り道は雨が降ってきた。岩が濡れる前に実技ができたのは本当にラッキー!   (文責:3774)

 【CL追記】 

なんで懸垂岩なの?という人もいましたが、それに対しては、「私が習ったときには懸垂岩でやったよ」と言い、先輩が過去にやってくれたことをそのまま後輩にも伝えようとしました。実際にやってみると、どハマりで、ビレーと懸垂の練習には恰好の場所だったと思っています。沢の水の流れの音が大きく、あまり声がよく聞こえないところなども、自然の環境で行う経験やジムと違い、自分たちで支点を構築しなければならないことなども勉強になったと思います。 



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第4回:広沢寺弁天岩

心配されたお天気も何とか持ちそうだ。さすがに物覚えの悪い私でも同期幕岩メンバーの名前と顔がしっかり一致するようになった4回目。少し怖いように感じていたCLも、優しく見えてきた。 

本厚木駅からバスで広沢寺へ向かい、少し歩いて駐車場で体操をした。道中の会話の中心はもっぱらCLからメールされた『評価』についてだった。落ち込んでいた人もいたけれど、今はきっとちょっとした失敗をたくさんしてしっかり覚えたり気づいたりできた方が良いのだろうと前向きに考える。それなのに、緊張感が強いのは前回よりも長いルートと難しそうな岩の形状を前にしたからだけではない。1週間はあっという間で毎日ビレイと懸垂下降の手順だけでも自宅で自主練しようと思ったがたった2回しかできなかった。CL、SLの皆さんのご尽力を考えるとお粗末すぎる状態である。練習不足は不安と緊張を増長させる。色んなことを乗り越えて今幕岩教室に参加できていること、参加させて頂いていること、この感謝の気持ちは、きちんと結果で表したい! 

自分が受けた『評価』だけでなく、全体にあった注意事項も含め、同じことで注意を受けないように、頭の中で繰り返す。ビレイの時は「前傾になりすぎない」「足は前後に開いておく」「クライマーから目を離さない」。前回、私のビレイで登った同期に「ロープから緊張感が伝わってくるようだ」と言われた。それではきっと怖かっただろう。「もし伝わるなら」と今日は、「絶対に守るから、安心してのぼって!」と、心の中で念じてみる。だが、いつの間にか力が入ってきて、気づくと段々と前傾になっている。姿勢を直しながら、クライマーから目を離さないよう、首の痛さに耐える。トップにしっかり立ったところを目視して、少し首を動かした。 

卒業基準は、ビレイともう一つ、懸垂下降が出来ること。ロワーダウン2本後、懸垂下降2本と、マッシャーを使った懸垂下降を1本実施した。実際にクライミングする前に、練習用に設置してくださったロープを使って何度も手順の確認をする。 

特にATCガイドを付け替える時のカラビナの持ち方と掛け方は考えなくても自然に出来るように何度もやった。実際トップに立ちセルフビレイを取ると、立ち位置から指摘される。パスを短くしすぎていたので、間のカラビナを外し足場の良い位置に足を置き直してセルフビレイの効きを確かめてコール。手袋をはめた片手作業でもたつき、手袋が大きすぎるねと言われる。次回最終回だが買い替えを検討したいと思った。 

今回もまたエイトノットは綺麗にできたりできなかったり。自分にとって1週間は、練習する時間はさほど作れないけれど、習ったことを忘れるには十分長い時間なのが残念だ。最終回は2週間後。心して過ごしたい。  (文責:3757)

CL追記】 

4回目になって、まだエイトノットで迷っている人がいて、どうしたものかと考えていました。ビレーと懸垂に関しては、初回に比べると、全員格段に向上したのが見られました。仲間を作ってジムなどで練習しているようで、頼もしいです。 



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第5回:幕岩桃源郷

いよいよ9月からの幕岩教室も今回が最終日。 

今年は幸運にも天候に恵まれ、全5回とも外岩での開催となった(少なくとも日頃の心がけのよくない自分のおかげではないことは確かだが…)。 

 当日は湯河原駅に集合、タクシーに分乗して幕岩公園まで。そこから公園内を歩き、桃源郷へ。いつものようにすでに先着のリーダーがロープを張って登る準備をしてくれていた。 

 今回のポイントはトップロープのビレイの習熟(バックアップなし)、②懸垂下降の習熟、③ロープの回収、たたみ方の総仕上げ 

レベル別に2班に分かれて、まず、登攀者とビレイヤーがお互いの準備確認を行ったのち、トップロープで登攀開始。今までの外岩の中では一番難しいルートもあり、この壁は登れないかもと思いながら眺めていたが、リーダーに指導いただいた足を使って小股で登ることと重心移動を心がけると登ることができた。また、同じ受講生が完登すると自分でも大丈夫!という気持ちになるのも不思議だ。シルクロード、Washing、蟻さんルート、シンデレラ、かぼちゃ馬車など、リーダーからルートの説明を受けたが、すぐには覚えられそうもないのでそのうち覚えよう。 

 1回目の鷹取山では、ロープワーク、トップロープのビレイ、懸垂下降など、すべてが??? それが、全5回、約1ケ月の中でなんのためにそれが必要なのか、またその動作、流れを理解することができた。講習会最後は、卒業テストを実施! テスト内容は、トップロープで登攀、懸垂下降までのコール、手順をリーダーがチェック。ビレイも同様。数回目のトライでなんとか全員が無事合格! 緊張感と笑いにつつまれた1日であった。 

 今回、“岩に登ることではなく、ロープワークやビレイ、懸垂下降などの動作、流れをできるようになることが目的!”と言われ続けたことが最終日に納得。幕岩教室の卒業でクライミングの入り口には立てることができたようだが、今後も第24期幕岩教室のメンバーと切磋琢磨しながらのスキルアップとともに今後の山行を楽しみたい。 

最後に、毎回ロープセットや後片付けと、一人ひとりに適切なアドバイスをいただいたリーダーの皆さんに心から感謝。そしてこの幕岩教室の教育システムにも感謝、感謝です。   (文責:3740)

 CL追記 

皆熱心に取り組まれ、受講中の間でも仲間を作って練習をしていたようです。最後の方までロープワークに苦しんでいた受講生もいましたが、何とか最終回までに修正してきて、全員卒業されました。今後とも長い付き合いになればと思います。 



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