第三回日本横断夢の縦走⑥ 乗鞍岳~開田高原(2016.6.17-6.19)
今回は、昨年10月8日から12日にかけて焼岳~乗鞍岳~開田高原を縦走する計画だったが、乗鞍岳を予定していた11日の天気が悪く山頂を目前にして止む無く位ヶ原山荘で撤退した為、再挑戦で開田高原までを繋ぐ山と車道歩きの山行だ。
隊長のジャンボ高橋(後方支援)
渋い山屋の中村(直)
ニコニコ大臣の横山
カモシカの船戸
教育係の武沢
春風の大場
ふんわりわたあめの原
努力の中村(志)
スーパーパワーの野澤 (以下:敬称略)
≪これまでの軌跡≫
今回の軌跡
6月17日(金) 晴 八王子→松本→新島々→観光センター→位ヶ原山荘 (電車・バスで移動)7:29発15:07着
八王子駅に7:40集合だったが、皆早く集まっていたので7:29発の普通列車で高尾、甲府と乗り継ぎ、松本駅でニコニコ大臣と合流する。
乗り継ぎの待ち時間に山屋とニコニコ大臣は駅そばで腹ごしらえ。
松本電鉄で 新島々に出て12:50発のバスで乗鞍高原に向かう。
乗客は我々の他に一人だけ、貸切状態だ。
車掌が写真を撮ってくれる。
梓川沿いに稲核ダム、水殿ダム、奈川ダムと続き奥に走るにつれ緑が濃くなって行く。
12:55アルピコバス
終点の観光センターで下車。標高1,500mまで来るとさすがに涼しい。
明後日の天空マラソンや7月に入ると大変な人出になるのだろうが、今日は閑散としている。
乗継のバスまで40分程あるので、其々自由に行動する。
ほとんどのメンバーは食事に行ったが、自然保護センターで動植物の生態、地質、かっての生活を見学する。
13:48バス乗場 右奥が自然保護センター
14:30発の肩の小屋行きのバスで位ヶ原に向かう。一般車は三本滝までなのでゲートを開けて通過する。
昨年は悪天候の中タクシーで下りてきたが、景色は殆ど見えず、運転手の訛りの入った饒舌に感心し、ネパールの毛糸の帽子を被ったひょうきんな姿を思い出す。
今回は好天に恵まれ、乗客は我々8人だけ。
乗鞍エコーラインの素晴らしい景色を見ながらカーブをゆっくり上って行く。
道路沿いには七竈が多く秋の紅葉も楽しめそうだ。
冷泉小屋に近づくと、山肌に残雪が見え始める。
15:07位ヶ原山荘着
懐かしい山荘の管理人と、勝手知った部屋。
ニコニコ大臣はガスの安定板を忘れたので、管理人に切ってもらい急場をしのぐ。
食堂に20~30L位の飲料水用ポリタンが幾つも積まれている。
7月からは近くの雪渓の水を使うがそれまでは下まで汲みに車で通う。管理人に感謝だ。
食堂で反省会をしていると、管理人が肩の小屋までトイレ掃除と登山道整備、状況を見に行くんので留守の間、店の酒を勝手に飲んでと言い置いて出掛ける。山荘も我々だけなので気兼ねない。
酒のつまみはソーセージ、スナップエンドウ、隠元。
それに新島々駅で女性陣が調達したきゅうりとトマトが加わり生野菜たっぷり。
綿あめが梅酒をラッパ飲み。さすが強者(つわもの)だ。
夕食は蕎麦に山菜、大根おろし、海苔のトッピングに加え、綿あめとスーパーパワーが八王子駅蕎麦屋で持ち帰りしたかき揚げで更にこくが出る。蕎麦湯も完売、大満足。
綿あめは蕎麦の水切りも金網の物を用意してきた。
回を重ねるごとに体力を付けている。すご~い!
明日の乗鞍山頂の天気予報は最低0℃最高15℃晴れ、期待出来そう。
2階の大部屋2部屋に4人ずつ、手足を伸ばして悠々と休む。
17:20快適な10畳強の和室
6月18日(土)晴れ 位ヶ原山荘4:30発~肩の小屋口5:52~剣ヶ峰7:50~中洞権現尾根9:25~乗鞍キャンプ場13:35着
3時起床、朝食は食堂でガーリックラスクとオニオンスープにチーズ乗せ。
これも始めてのメニュ-。
皆よく工夫してくる。
山荘前で春風が恒例の気合い入れをし4:30出発
4:30 位ヶ原山荘前
登山道入り口に管理人が立てた『残雪の沢と増水、不慣れな方は車道を』の立札があったが、皆問題なく軽くクリアー。
信濃金梅、猩々袴がちらほら見られるようになる。
5:33 位ヶ原登山道
4:55雪渓が出てきたので早めにアイゼンを付ける。
5:55宝徳霊神通過、山荘の管理人に雪渓の踏み抜きに注意するよう言われたが、沢沿いは特に溶けるのが早いので気を付けて登る。
肩の小屋口で車道を横切り、登山道脇の大雪渓に入る。
6:52小さく白いのが観測所
スキーヤーも登山者も観光客もいない。山も貸切だ。
6:12アイゼンを外す
右手上に摩利支天岳の東大宇宙線研究所コロナ観測所が見えてくる。
トップをニコニコ大臣に代わる。山屋から「飛ばしていいぞ!」と掛け声が上がったが、すぐにハイマツになり、行く手を阻まれる。
悪戦苦闘しながら枝を踏みつけ後の者が続くが一向に進まずついに諦め戻る事に。ウゥ…ザンネン
ロスタイムは20~30分程だったろうか。
ニコニコ大臣が汗だくで奮闘したが、山屋はこんなの当たり前だよと涼しい顔をしている雪渓に戻り右手を登り返す。
雪渓が終わる頃、斜面に黄花石楠花の群落が現れる。
6:52肩の小屋広場で休む。
朝日岳直下の急斜面は雪渓が消えていて良かった。
今年は雪が少なく溶けるのも半月ぐらい早いようだ。
7:31蚕玉岳から権現池を見下ろす
砂利道の斜面の蚕玉岳を登ると右下に火口湖の権現池が現れる。
青く澄んだ湖面に薄氷が浮かんでいる。
前方の剣ヶ峰の鳥居が小さく見えてくる。
頂上小屋の脇にわずかに雪渓が残っている
ところをを登ると山頂はすぐだ。
7:50剣ヶ峰山頂に着くと御嶽山が目の前に大きく迫ってくる。
槍や穂高、立山と雄大な景色を堪能する。
中洞権現へのルートが分からず皆で探す。
ネットで逆ルートから来て登山道が分からず岩を直登したとあったが、これを下るのは避けたい。と言うよりちょっと難しい。
頂上から少し戻ると赤ペンキで◎の印、更に千町登山道の赤ペンキを見つけホッとする。
登る時、鳥居に目を奪われ、左手を見落としていたのだ。
左へ左へと岩礫を巻いて大日岳との鞍部を目指す。
8:11剣ヶ峰山頂の岩を巻く
8:12剣ヶ峰から大日岳を目指す
大日岳の下、長さ10m程の雪渓をトラバースしている時、トップの教育係があと一歩という所で2m程滑ったかと思ったら、目の前を歩いていたニコニコ大臣がバランスを崩しウォーと吠えて滑り落ちて行く。
5~6m位だろうか雪渓が終わった所で止まった。
8:18雪渓をトラバース
8:21雪渓を滑落(黒いのがニコニコ大臣)
頭やどこか打っていたら大事故になる所だっただけにヒヤリとした。
教育係は故意に落ちたとか。
とにかく二人とも怪我が無くて良かった。
雪渓が終わると大きな石が続く。巨石が皿のように重なり合う皿石原だ。
バランスを取りながら慎重に進む。
道標が飛騨高山方面の日影平13.5kmと出てくる頃右手前方に動くものがいる。
8:23雷鳥撮ったんだけど映ってないじゃん
近づくと何と雷鳥のつがいではないか。
逃げるでもなく動き回っている。思いがけない出会いにヤッタネ!!!
天気の悪い時に子供連れの母親は時折見たことがあるが、つがいは始めてだ。
千町尾根で高根から来たと言う単独の登山者に初めて出会う
ハイ松や石の間に小梅蕙草、小岩鏡、白山一花が咲き始めている。
あと1~2週間で綺麗なお花畑になるだろう。
今度は中洞権現分岐を見落とさないよう先を進む。
石仏が点在するようになり9:25中洞権現ノ尾根分岐の道標『阿多野郷』に着く。
安心したせいか、ここでテント張って寝たいとの声がする。20分程ゆっくり休んで出発。
昭文社の地図に中洞権現ノ尾根への踏み跡が不明瞭と出ていたが、ガイドブックの記載通り分かりずらい。
小さなハイ松の枝に青テープが所々付いているのだが目立たないのだ。
畳石原の名の通り、だだっ広くガスったら全く分からないのではないかと思う。
9:45中洞権現ノ尾根の青テープ
畳石原が終わると、ようやくはっきりした登山道になり傾斜もきつくなる。
9:58小岩鏡
一人登って来る若者がいたので下の状況をを聞くと3年振りに刈られて歩きやすいと言う。
カメラをヘルメットの横に付けていたので聞くと鳥の調査に来た。
雷鳥?小林さん知っている?と聞くと何と後輩ですと言うではないか。
小林さんは昨年位ヶ原山荘で会った雷鳥を研究している青年だ。凄い偶然。
1ヶ月程下に置いた車に寝泊まりしながら、鳥の調査をしていて今日は奥千町避難小屋に泊まると言う。礼儀正しく爽やかな青年だ。
10:31虫が出だしたので防虫ネット虫よけシール、防虫スプレーを付ける。
下るにつれ谷川に道が傾いているので滑らないように気をつける。
後ろの綿あめと山屋は余裕の歩きだ。 10:31 防虫ネット他で虫対策
刈っていなかったらどんなに難渋したであろうか、今回は本当についている。
12:17林道終点につくと、カモシカが座り込んで頭を抱えている。
スーパーパワーが心配して大丈夫かと声を掛けると頭が割れるように痛い。中洞権現ノ尾根で頭がガンガンして辛かった。
それを聞いた努力も、朝から頭が痛く高山病かと心配していたと言う。
二人共それまでペース変わらず歩いていたので驚く。
綿あめが対岸のブルーシートに何か危ない物が…ひょっとしてお六さんではないかと得意のミステリーが始まる。
12:18 林道終点 20分程休んで黒谷沿いの林道歩き、緩い下りだ。
ニコニコ大臣は昨日梅酒を飲み過ぎた。
美味しかったけどまだある?と心はすでに反省会のアルコール状況の偵察。
綿あめが1Lも持ってくるわけないじゃんと交わす。
カモシカは、紅花一薬草、銀欄を目ざとく見つける。
春風はやたら写真を撮りまくってラストをついて行く。
今日はトップを全員で体験した。
13:14ゲート 13:30乗鞍オートキャプ場に着く。
管理人がテントどこでも張っていいよ。
レンジ、冷蔵庫、洗濯機は無料、シャワーは200円で使いたい放題と聞く。
テント張り終えた直後に、電源をセットしに来た管理人からバンガローに荷物を置いてもいいよと言われる。
その旨カモシカに伝えると …何?? それ??? 行こうよと狂喜する。
お言葉に甘えてテント即撤収。2棟のバンガローに移る。
何とここも貸切。試供品の蚊取り線香まで沢山もらう。
備品置き場から運び出した椅子を車座に早速反省会。
爽やかな木漏れ日の中、時々小鳥のさえずりが聞こえる。
椅子に腰かけ山屋がまるで別荘ライフのようだ。皆もご満悦。
教育係が前もって依頼していた地元の酒「屑玉」ではなく「久寿玉」と「やんちゃ酒」で乾杯。
反省会の時ジャンボ隊長からスーパーパワーにメールが入る。
綿密な計画、詳細な情報や気遣い本当に有難い。感謝しています。
努力はお酒を飲んだら頭痛が治ったと言う。…ん?どういう事?
好きなもの飲んだり食べたりするのが一番の薬。
ともあれ治って良かった、良かった。
スーパーパワーはリコピントマトとローストビーフの差し入れ。
よく潰さず持って来てくれた。
夕食はご飯におかかのフリカケ。高野豆腐の煮物、海藻サラダに豆をプラス。栄養バランスも良く美味しい。
回ってきたふりかけの袋は殆ど空。トホホホホ
綿あめが自分のも少ないのに分けてくれる。優しいね、有難う
18:30横になるがまだ陽は明るい。
6月19日(日)3:45 起床
バンガローに電気が点くのは有難い。
朝食は残りごはんにスライス餅と野菜スープ&ベビーチーズ。
農協のフリーズドライはキャベツたっぷりで気に入った。
スーパーパワーが気合い入れをし5:00出発
阿多野郷川(飛騨川源流)沿いの道路歩きが始まる。
つづら状の道を3回程バイパス出来そうだったが、忠実に道路を下る。
阿多野集落の民家はマキを一杯積み重ねている。
6:00高根乗鞍湖は水位が下がり底がもう少しで見えそうだ。
道路脇の木陰で休憩。みなストレッチをしている。 5:29阿多野郷民家
早い時間なのでまだ暑さもそれ程ではなく車も通らないので救われている。
満開の大きな山帽子の木が多い。
県道39号までは渓谷沿いで歩きやすかったが、高根大橋から国道361号に入る頃は日差しが段々強くなり暑くなり出す。
イタリア国旗をたてた料理店の看板メニューを見て、カモシカがピザを食べたいと言う。
旨そうだが、車もほとんど通らない所。シーズンは賑わうのだろうか。余計な心配をする。
土地の売り物件案内もチラホラ見掛ける。
やっぱりここで生活するのは???
7:56チャオ御岳山荘で休憩。自販機の冷たい飲み物で咽喉を潤す。ほぼ14km歩いてきた。
オケジッタでトイレ休憩。
変わったバス停の名前なので、ニコニコ大臣が調べてくれたが特に意味はないそうだ。
8:31長峰峠着
トップの教育係は今日はハイペース。
努力は名前の通り頑張っている。
春風は付いて行くのに息切れがする。
8:14御岳山の道標
写真担当の山屋は毎回、前後左右に動き回って1・5倍位多く歩いているのではないだろうか。
脚力が強くなければ出来ない。いつも有難う。
開田高原から雪の消えた御嶽山が見える
早く旅館に着きそうなので、ニコニコ大臣が連絡を入れる。
9:08蕎麦畑
9:42予定より1時間程早く日の出旅館に到着。
ストレッチも忘れ、即お風呂へ。
赤土の泥の様な冷泉を沸かしている。 旅館のロビーで祝杯を上げる
女主人に、昨日は猛暑で大変な暑さだった。今日は涼しくて良かったと言われる。
皆、防虫対策していたのに、福耳になったりタラコのような唇になったり、腕やお腹まで刺されて痛痒い。
特に何もしていなかった山屋は無傷。何ともうらやましい。
越のバス停前で昨年と同じ場所で集合写真を撮る。
バスを待っていると雨がパラパラと降り始めた。
11:03発のコミュニティバス木曽っ子号で開田支所で乗り継ぎ木曽福島駅に向かう。
通しで40分程乗るが200円と安い。整理券は無くプラスチックのケースを何度も使う。
均一料金だから出来るのだが、エコで気に入った。
宿場の雰囲気を残した街並みを過ぎると木曽福島駅はすぐだ。
駅前の食堂で昼食と反省会。1人9,000円の清算。
13:25の特急で塩尻乗換え、スーパーあずさに乗り帰路に着く。
今回は宿泊先、中洞尾根の3年振りの刈払い、、何より天気に恵まれ本当にラッキーだった。
記 春風