第27回みろく公開登山スクール実施報告
みろく山の会は、NPO法人としての社会貢献活動の一環で、比較的登山経験の少ない方を対象に毎年2回、公開登山スクールを開催している。回を重ね、今回で27回目となった。
○座学 10月5日(土) 会事務所 参加者10名(うちオンライン1名)
13時より行なった。コロナ禍以降、基本オンラインで開催していたが、今回から対面中心に戻すことにした。
参加者に、事務所での参加、オンライン参加を選んでもらったところ、対面9名とオンライン1名の計10名となった。
参加者の年齢は40歳〜70歳台で、平均年齢は56.3歳。
事前に、会で作成した2本の動画『山の歩き方・装備・トラブル』と『歩き方・ストックの使い方・ザックの担ぎ方』を視聴して来てもらった。
当日は、受講者にも自己紹介をしてもらってから講義を開始。山の歩き方やトラブル対応、地図読みなどについて説明した。
【講習内容】
①登山の要素、山の歩き方、登山計画・登山届、山のトラブル・気象・マナー
登山をする上で、おさえておきたいことなどを紹介。山歩きのコツ、遭難など山におけるリスク、事前の準備の大切さ、日常のトレーニングの必要性について説明し、実際に山に登って体験したこと、仲間ができるすばらしさなどについても語った。
②地図の読み方・バーチャル登山
登山アプリの地図だけではなく、紙の地図も併用することがなぜ必要なのかを説明。その上で、読図の知識、コンパスが使えるようになることの重要性を伝えた。
口頭の説明だけでは理解しにくい面も多いため、具体的な方法は実技で学んでもらうことにした。
③装備について
山歩きの装備の選び方などを説明。登山靴、ザック、雨具はどのようなものが良いか、実際に会員スタッフが普段使っている私物を見せ、特徴や使用感を説明した。
○実技 10月12日(土) 陣馬山 参加9名
【行程】
陣馬山登山口BS9:40…一の尾尾根…12:10陣馬山13:15…明王峠…与瀬神社…16:25相模湖駅
歩行時間:4時間50分(標準時間×1.2)
実技は、初心者向け(みろくのAランク相当)の山で実施した。当日は天候に恵まれ、絶好の登山日和となり、9名の参加者と会員スタッフ7名が参加した。
今回のコースは、陣馬山登山口から頂上を経て、明王峠から相模湖駅へ下山するルートである。
8時40分に藤野駅に集合し、登山口までバスで移動。土曜日で好天ということもあり乗車待ちの人が多く、バスは臨時便が運行された。
登山口広場ではストレッチをした後、ザックの背負い方、現在地の確認(整置あるいは正置)、コンパスの使い方などを説明した。その後、2班に分かれていよいよ登山開始。
登山未経験の参加者もいたが、徐々に打ち解け、足並みもそろう山行となった。途中で簡単な読図の時間をとり、順調に歩を進めた。
ただ、登頂を目の前に足攣りになった方もいて、昼食後に本人の希望を確認し、スタッフ2名と一緒に下山した。
その他の参加者は、頂上直下の急な階段で「きつい」と言いつつも、笑顔で登頂した。
山頂の芝生エリアで昼食をとり、山座同定の説明後、下山を開始した。少し距離が長いが、歩きやすいコースである。最後500mほどは傾斜がきつくなったが、慎重に下り、無事に相模湖駅に到着した。下山後にストレッチを行い、解散。
足を攣ってしまった方がいたものの、安全に終了したことにスタッフ全員が安堵した。
山行中は多くの方に「楽しい」と言ってもらえ、参加した皆さんにとって充実した1日になったのなら、スタッフにとっても嬉しい。
比較的登山経験の少ない方が多いものの、みろくでは若手である40歳、50歳台が半分を占めることから、今後時間をかけて山と向き合い、山に親しんでほしいと感じた。
ただ、時期的に日が暮れるのが早く、日没時間近くの下山となったことが今後の課題となった。
○アンケート
座学・実技の終了後、双方に参加した9人にアンケートを依頼し、全員から回答を得た。主な結果は、以下の通り。
座学については6テーマを実施。
各テーマについて、「とても参考になった」「参考になった」「既に知っていた内容だった」の3択で評価・感想を聞いたところ、いずれの項目も「とても参考になった」「参考になった」が100%だった。
「とても参考になった」が特に多かったのは、「山の歩き方」と「山のトラブル・気象・マナー」で44%。
次いで「登山の要素」「登山計画・登山届」「装備」が33%だった。
自由記述欄には「資料が充実していて、説明も丁寧で理解しやすかった」という声もあった。
実技については、歩く速さが「ちょうど良い」が89%、「遅かった」が11%だった。
山のレベルは「ちょうど良い」が67%だったものの、「楽だった」「辛かった」という人もいた。
全員に満足してもらうのは難しいが、及第点をいただけたのではないか。
実技の「地図読み」については、「何となく理解できた」が78%、「理解できなかった」が22%だった。
「地図の見方などを実際に教えて頂き、とてもわかりやすかった」という声がある一方、「地図読みがふわっとしていてちょっと残念」「地図読みはもう少し時間をとってほしかった」という声もあった。
限られた時間の中でどこまで地図読みに時間をさくべきか、初心者の方にどう説明すれば伝わるのかなど、悩ましいが、次回はより充実した内容にすべく、検討していきたい。
全体の感想として、「山には人を魅了する力があり、人々は吸い寄せられるように山に足を運ぶこと、同時に危険とも隣り合せにあることを身をもって学べた」「講義も実技もとても考えられていて安心して参加することができた」などの声があった。
登山スクールを知ったきっかけは、会のHPが大半だった。
今回、久しぶりに募集ポスターを公共施設などに掲示したところ、スタッフ勤務のスポーツ用品店でポスターを見て参加した人もいた(スクール受講後に入会)。
次回の登山スクールは、座学を2025年3月8日(土)に今回同様、対面とオンラインのハイブリッドでの開催を予定。また実技は3月22日(土)、予備日3月29日(土)の開催を予定している。
申し込みは2025年1月ごろの開始を予定している。