第三回日本横断夢の縦走⑦ 木曽福島駅~木曽駒ヶ岳~駒ヶ根IC (2016.7.18-7.20)

今回の計画は当初木曽駒ヶ岳から空木岳への縦走を含むものであったが、安定した天候が望めない状況が続いていたため急遽変更し、木曽谷から木曽駒ヶ岳頂上を踏み伊那谷へ降りる山行となった。日本横断のルートを確実につなぐことを優先する形である。結果的には3日間とも好天に恵まれ快適な山行となった。

今回割愛した空木岳への縦走はメンバー有志で来年にでも実施の予定とする。

隊長のジャンボ高橋(後方支援)
渋い山屋の中村(直)
ニコニコ大臣の横山
カモシカの船戸
教育係の武沢
春風の大場
ふんわりわたあめの原
努力の中村(志)
スーパーパワーの野澤
(以下:敬称略)

≪これまでの軌跡≫

1図

≪今回の軌跡≫

2図

 

7月18日(月) 晴 八王子 7:29発→塩尻→木曽福島 10:30着  駅(10:40)~コガラ登山口(14:30)

横山は膝の不調のため大事を取って今回は参加見送り。女子6人に男1人のパーティ編成となった。
乗継駅の塩尻でほぼ全員が立ち食い蕎麦で腹ごしらえ。信州そばは旨いのでくせになる。木曽福島駅に着くと快晴、空は真っ青である。まだ梅雨明けは発表されていないので梅雨の晴れ間なのであろう。今回の横断メンバーにとっては4回目の立ち寄り、おなじみの駅である。準備をしてすぐに歩き出す。今日はほぼ舗装道路歩き。女性陣はスタートから日焼け防止に余念がない。
いざ出発
1快晴炎天下の木曽福島駅
2

しばらくは旧中山道を歩き、旧家や旧跡、酒蔵、老舗の菓子店等を覗きながらのプチ観光気分である。
関所跡を過ぎると日陰のない炎天下歩きが始まる。暑い、もう30℃を超えているのだろう。JR高架下のひんやりした小さなトンネルで気合入れを行う。声が良く響き気持ちいい。途中のコンビニで水分を補充する。今日はこまめな水分補給が必要だ。国道は酷道と化し、忍耐力が試される。今日の行程なら曇り空がいいねと誰かが言った。せっかくの青空である。贅沢は言うまい。

暑い、これも試練
3

もうすぐ右折
4

原野交差点(木曽高原信号)を右折し山に向かっての緩い登りが始まる。少し木陰が現れ助かる。遠くに木曽駒ヶ岳が見え隠れしだした。途中の木曽文化公園入口付近にて昼食にする。水、トイレ有り。
この先の別荘地をとおり登山口へのショートカットルートを選択して進むと、玄関先に水が出ている小さな旅館が現れた。主人(女性)の好意で水の補給&トイレ借用休憩。ここが木曽駒冷水かと思いきや、本物は少し上がったところにあった。水はおいしかったが閉鎖されたスキー場の片隅で寂しい雰囲気である。少し登りコガラ登山口着。近くに幕場を見つけテント設営。すぐ下に沢が流れており、顔が洗えた。

少し涼しくなった
5コガラ登山口着
6

まだ暑いので外の東屋で恒例の宴会。各自持参した飲み物でくつろぐ。そのまま夕食を作り頂きまーす。さんま丼は油がのっていて滑らかにお腹に収まった。旨い。そして就寝。かゆいな、うーん虫に食われたかな。
7/18夕食 さんま丼セット
77/19朝食 にゅう麺&しゃぶ餅
8

7月19日(火) 晴 コガラ登山口(4:30)~木曽駒ヶ岳(11:36)~宝剣山荘(12:36)

予定通り3:30起床、餅入りにゅう麺をするっと食し、4:30出発。いつもながら全員が予定通りに行動できるのは気持ちが良い。さすが横断メンバーである。今日も快晴。しばらく林道を進み終点の堰堤で沢を渡るといよいよ登山道歩きとなる。このコースは福島Bコースと呼ばれている。4合目、おいしかった「力水」(4合半)、5合目と順調に進む。急登が続くが早朝の樹林帯は涼しく登高がはかどる。休憩ごとにトップを交代し、自分のペースを確かめる。全員がリーダーであり、自らペースを作ることは今後の山行に向けての訓練にもなる。岩小屋風の奇岩や花が現れると各人が思い想いに楽しんでいて、和やかムードである。

2日目も元気に出発
9涼しい樹間の登行
10

高度が上がるに従い、樹間に山が見えだす。まずは御嶽山に乗鞍岳、続いて槍穂高連峰が顔を見せてくれる。横断ですでに通過した山、これから行く山、まだ登れない山とそれぞれに想いを馳せる。展望台からほどなくして7合目避難小屋着(8:00)。福島Aコースとの合流点である。小振りの小屋とトイレはともにきれいである。土間に薪ストーブが設置されている。20人は泊まれるとあるが10人程度が快適であろう。位置的に利用価値が高いと思われる。ここからの展望もなかなかのものだ。

まだ登れない御嶽山
11

乗鞍岳と穂高連峰
12

7合目避難小屋内部
13

避難小屋外観(右はトイレ)
14

この先しばらく高低差の小さなトラバース道が続く。高山花も多くの種類が見受けられる。中村(直)は花の知識が全くないので博識な大場にいちいち解説をお願いする。
1516

17

18

突然現れた巨岩地帯は「山姥」と呼ばれている所。白い岩と樹木の緑のコントラストが美しい。岩小屋風の隙間にはわずかな残雪もあり、涼風を味わう。この巨岩はどこから来たのだろう。不思議だ。ここは明るく開けているに「山姥」とは。「天狗様のお庭」的なネーミングがふさわしく思える。すぐ先が8合目の水場である。豊富な水量で登山道直下から湧き出している。喉を潤し、水筒に補充する。

山姥の巨岩群
19岩小屋とわずかな残雪
208合目水場で休憩
21

水場から少し行った玉乃窪カールからは再び登りとなる。船戸がしきりに「玉の輿カール」と言っていたが想いがこもっていそうで何ともおかしい。玉乃窪山荘まで小さなジグザグの直線的な急登。日差しも強く、そろそろ疲れも出てくる頃である。少しだけペースを落とす。山荘の脇をすり抜け頂上へ。11:36木曽駒ヶ岳頂上着。今山行が半分終了した。昼食休憩を取り、それぞれが景色を楽しんだり、カメラに収めたりする。

玉の窪カールを登る
22山荘より頂上を望む
23

頂上にて
24宝剣岳をバックに
25

計画では駒ヶ岳頂上山荘キャンプ場で幕営の予定であったが、行程を少しでも先に進めておきたいのと宝剣岳は登っておきたいとの意向で今日は宝剣山荘素泊まりとなった。このシーズンは学校登山が多いらしい。下に見える山荘前にはおそろいのジャージ姿の生徒たちが塊になっているのが見える。山荘到着後、空身で宝剣岳へ向かう。距離は短いが頂上直下の岩稜帯では久々の緊張感を味わう。頂上の岩塔に立つのが流行っているのか、他のパーティが岩塔に上り飛び跳ねたり、腹這いになったりして楽しんでいた。野澤が触発されたのか途中まで登ったが「個人山行でやってね」とたしなめられ諦めていた。降り初めに原が南へ向かう縦走路へ降りて行こうとする。岩場の下りが怖かったせいなのかは確かめていない。先頭で降りた中村(直)は時折後ろを見ながら声をかける。それぞれ慎重な顔つきで降りていたが楽しそうでもあった。中村(志)の大胆なポーズ決めは、もはや上級者の域である。(日本舞踊やってるからねとの声もあり)
2627282930

13:30宝剣山荘到着。さっそく反省会兼今日のお疲れ様会の楽しいひと時がが始まる。なんと生ビールあり、日本酒あり、ワインありで嬉しい。生ビールからスタート。「おつかれさまー」の声が明るい。日本酒は地元駒ヶ根の銘酒「信濃鶴」。2カップ飲んじゃったメンバーもちらほら。大場はいつものとおりおつまみ係りに徹している。でも楽しそう。野澤?が少し飲んで見たらと進めている。飲んだかどうかは定かではない。でも無理はしないでね。宴を終え、そのままの流れで夕食となる。今夜は台湾ルーローとか。初見参のメニューだが多彩な具材と調味料で出来上がった味はgood taste、量も満足でした。ご馳走様。いつもながら女性陣のレシピには感服です。たっぷり飲んで食べておやすみなさい。
くつろぎのひと時
31駒ヶ根の銘酒
32台湾ルーローが旨い
33

7/19夕食 台湾ルーローセット
347/20朝食 雑炊セット
35

7月20日(水) 晴 宝剣山荘(4:27)~こまくさの湯(10:35)~駒ヶ根IC(12:27)

3:30起床、チーズ入り雑炊をさっさと食し外に出る。今日も快晴、空気が旨い。晴れた日の山上はいつも気持ちが良い。日の出側の山稜のシルエットが美しい。ストレッチ代わりにラジオ体操で体をほぐし出発。今日は北御所登山道を降る。すぐに船戸(たぶん)が「後ろ」と声を上げる。宝剣岳の肩に浮かぶ月が幻想的である。登る太陽と対応して沈んでゆく月だ。山はいつも思いがけない場面を用意してくれる。伊那前岳の手前で日の出となる。北八ヶ岳あたりから昇っているようだ。山で出会う日の出はいつも荘厳であり、毎回感激する。歩いて行く先に南アルプスの全容が見える。次回の横断山行コース、仙丈岳、白峰三山、塩見岳も挑発するように姿を見せつけている。闘志が湧く。
いざ出発
36宝剣岳に月が沈む
37
入れ違いに朝日が顔を出した
38

伊那前岳ではあまり写真に写らない中村(直)を気遣ってか、からかいながら野澤がシャッターを押してくれる。地味で野暮ったいと自認する山屋も少しうれしい気持ちになる。ここから下り基調になり岩混じりの広い尾根が続く。ハイマツと白い岩とのコントラストも美しく眺望もよい、申し分のない道である。今日は武沢がトップでリードしてくれる。ペース配分もいい具合で楽に歩ける。
朝日が水平に照らす
39北アルプスを望みながら
40雲の向こうは南アルプス41道は高度を下げるとともに灌木帯に入り雄大な眺めともお別れが近くなる。突然、ホシガラス(たぶん2羽)が存在を鼓舞するかのように鳴きながら通り過ぎる。穏やかな日の山道には意外と音がないと気付かされた。じきに樹林帯となり眺望はなくなるが、高くなった日を遮ってくれて歩くには都合が良い。
眺望ともそろそろお別れ
42明るい樹林帯
43

小屋場、一丁ヶ池、うどんや峠を経由し清水平で水飲み休憩。一丁ヶ池は窪地にある水たまりといった感じで、この時期はあまり美しくなく雰囲気を感じられない。うどんや峠は面白い名前であるが、由来ははっきりしないとのこと。実際には何の変哲もない峠であった。清水平は名のとおり旨い湧水があり、休むには最適である。
やや荒れ気味のうどんや峠
44広々とした清水平
45

清水平からはやや急な下りが続く。途中で地元の中学生の団体とすれ違う。恒例の学校登山で木曽駒ケ岳に登るという。昔読んだ「聖職の碑」を思い出す。総勢9クラス350人と聞いた。全員を待つのは大変である。にぎやかに挨拶を交わしながらも少しずつ下らしてもらう。全員が通り過ぎると再び静けさが戻り、聞こえるのは女性陣の日常的な会話のみとなる。
蛇腹沢登山口からは林道歩きとなり、北御所登山口まで花をめでながらのんびり歩く。
蛇腹沢登山口
46北御所林道を歩く
47

林道にはこんな花がありました。
484950

北御所登山口からは舗装された車道歩き。駒ヶ岳ロープウェイに繋がるバス道である。もう慣れっこにはなっているものの相変わらずの我慢がまんの苦行道である。ひっきりなしに行き交うバスを見ながら、わがパーティはどう思われているのかななどと話しながら気分を紛らわす。
途中こまくさの湯で汗を流して昼食を取りながら諸費用の精算を済ます。駒ヶ根ICまでの残りの2kmを進み横断ルートを繋いで歩きは終了。あわただしくタクシーと飯田線を乗り継ぎ、岡谷からのあずさ号で恒例の反省会&お疲れ様会で山行は無事終了となった。

中村(直)・記