乾徳山(マルチ)

春の青空を突き刺す尖塔

山行情報

日時:2024/04/07 天候:晴れ
ランク:D-C-3:00  参加:9名
山行担当:CL3730 SL3705
記録担当:文責:3853 写真:3730

コースタイム

大平高原8:45…10:45懸垂地点11:00…12:35取り付き12:50…15:55山頂16:10…18:00大平高原

コースマップ

記録日:2024/04/07
合計距離: 7213 m
最高点の標高: 2026 m
最低点の標高: 1300 m

山行記

今回、みろく山の会でのクライミング関連の講習のうち最後のMRT(マルチピッチ・ロープワーク・トレーニング)を卒業して、最初の会山行はマルチピッチの山行となった。この山行の参加者の多くが今期のMRT同期卒業の仲間であった。

初舞台となった乾徳山は、一般登山道で何度か登頂しており、個人的にお気に入りの山である。そもそも数年前、みろく入会前に初めて乾徳山をハイキングで訪れた時、山頂付近の岩場がとても高く感じられた。「こういった岩場を安全に、スマートに抜けられるようになりたいな」と漠然と思ったものだ。数年後、まさかこの山のバリエーションルートをマルチピッチで登ることになるとは、思いもよらなかった。

コースは、まだマルチピッチの考え方になっていない一般登山者の思考の私にとって、とても新鮮であった。一般登山道を使って山頂直前まで登り、そこから懸垂下降で2ピッチ(50メートル×2回)下り、山頂に続く岩稜帯の基部から登攀をスタートする形だ。
出発前に聞いたCLからの情報や岩のガイド本によると、ルートの難易度は低く、正直かなり軽く考えていた。しかし、いざ取り付き地点に着き、ルートを見て実際触れてみると「これはヤバい」と緊張感が一気に高まった。

まず、岩が脆い。大きな岩でもグラグラしており、間違って落とせば下にいる仲間に致命的なダメージを与えてしまう危険性が非常に高い。また、ちょっとバランスを崩したときにちょうど良い高さにある岩を掴んでも、それもまたグラグラしており、簡単に岩に裏切られる。さらには、安全を確保するためのプロテクションを設置する金具がほとんど無いか、もしくはあっても古く錆びているものばかりだった。

これらの状況はマルチピッチを長く経験している方にとっては当たり前かもしれないが、ジムや整備されたゲレンデで育ってきてしまった私にとっては軽い衝撃だった。でも今さら下山もできないので、一度冷静になり岩肌を良く見ると、確かに足がかりは沢山あり、先輩のアドバイス通り安定している岩に直接スリングを掛けてプロテクションを取れば、強固に安全確保ができることも理解出来た。その後、気を取り直し、3P目~最終Pまでリードを任せてもらい、何とかトップアウトできた。

なんとも言えない充実感があった。もちろん恐怖心に打ち勝って登頂できた喜びもあったが、SLがぽそっと「チームで協力して登る達成感があるんだよね」と言ったのを、確かにそうだなと実感した。技術的、メンタル的に課題が多く浮かびあがったが、最終的にはとても楽しいと感じたので、少しずつ前進していきたい。

【CL追記】
登山、ガレ場の懸垂下降、取り付きまでのヤブ道のルーファイ、クライミング、トップアウトと同時に山頂という、マルチピッチの山行としては、非常にコンパクトにまとまった入門者向けのとても良いルートだと思う。ここを起点に難度の高いルートに大いに挑戦してもらいたい。



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