奥穂高南陵~天狗のコル~岳沢

南稜の頭に向かってGO!

山行情報

日時:2024/09/06 ~ 2024/09/08 天候:晴れ
ランク:D-D-7:30 参加:6名
山行担当:CL 3256 SL3634
記録担当:文責:3758 写真: 3256

コースタイム

1日目
沢渡06:30=06:50上高地07:05…07:25岳沢分岐07:30…08:05風穴08:15…09:35岳沢小屋10:35…11:05南稜取り付き11:15…12:40岳沢小屋(泊) 行動時間:6時間10分
2日目
泊地05:35…06:00南稜取り付き06:04…06:55三又…08:05やぶ漕ぎ終了08:15…08:30モノリス08:40…08:50トリコニー1峰09:05…09:35トリコニー2峰09:40…11:20南稜の頭11:35…11:45奥穂高山頂12:10…13:50穂高岳山荘(泊) 行動時間:8時間15分
3日目
泊地05:00…05:30奥穂高山頂05:40…05:52ウマの背…07:00ジャンダルム山頂07:10…08:17天狗のコル08:45…10:35岳沢小屋11:30…13:20上高地 行動時間:8時間20分
※=タクシー移動

山行記

1日目(岳沢小屋まで)

6時に起床し、沢渡からタクシーで上高地へ向かう。今年初めての北アルプスで心が躍る。毎週末、台風で山行が中止になっていたので天候を心配したが、上高地に着いたら快晴。関東の暑さとは打って変わって涼しい。さ、岳沢小屋に向かって出発。 

岳沢小屋から下山する時は遠く感じる風穴まで、あっという間に到着。天然クーラーは、身体が冷えるくらい涼しい。一服入れて、その後もお喋りしながら岳沢小屋に到着。岳沢小屋のテン場で熊の出没があった。現在も時々出没するがテントを襲うことはないので、熊を捕獲していない。そのため、臭いが出ないように細心の注意を払う。 

岳沢、奥穂高南陵を臨むと、全く雪渓がない。テントを張り、腹ごしらえをして、奥穂高の取り付きの偵察へ。岳沢のガレ場を登り、柱状節理の岸壁手前の取り付きに立ち、気持ちが引き締まる。



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2日目(岳沢小屋~穂高岳山荘)

明るくなった5時半にテン場を出発。すでに2パーティーが先行している。6時ごろに取り付きに到着。準備して直ぐに離陸。

浮石が多く、落石を起こさないよう注意しながら登る。ガレ場を過ぎ、大きい岩の上に上がり、その岩の左手にある“下の滝”を、ハーケンにカラビナをつけA0で登る。その上の“上の滝”を通過してルンゼを登る。途中から苔がついた濡れた岩稜帯を登り、高度を上げて三俣へ。右ルンゼに入り、藪漕ぎが始まる。草付きをトラバース。更に、藪漕ぎが続く。

藪漕ぎがひと段落して、少し岩稜帯を進むと、モノリス→トリコニー1峰に。ここは、岩の割れ目に入り、螺旋階段状に登る。トリコニー1峰のナイフリッジでロープを出す。2峰は右から巻いて行く。トリコニー3峰は、少しルートから離れているので左手に見ながら進む。ナイフリッジ、クライムダウンを繰り返しながら、さらに高度を上げる。一ヶ所懸垂があったが、スリングを垂らして通過。その後は易しい岩稜、広々としたガレ場を登り、遂に南稜の頭に到着。

吊り尾根を歩いて、奥穂高岳の頂上を踏み、穂高岳山荘に到着して喚起のハイタッチ!さらに、嬉しい遭遇が! なんと、穂高岳山荘で別の会山行の4人にばったり遭遇。楽しい宴会。



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3日目(穂高岳山荘~天狗のコル~岳沢小屋)

夜中に雨音が聞こえ、朝起きると、ガスっていて霧雨が降っている。濡れた岩場を通過することに不安がよぎる。緊張で口が乾いて、お弁当が喉を通らない。

白々、夜が明け始めたころに穂高岳山荘を出発。奥穂高岳に着いたころに霧雨があがり、ガスの合間にジャンダルムが時々顔を出し、とても幻想的な景色。アルプスでしか見られない景色に感動。馬の背でアドレナリン全開。さらに歩みを進め、ジャンダルムに到着。初日にタクシー運転手さんから「今、ジャンダルムの天使がいないんですよ」と聞いていたが、ジャンダルムのシンボルの天使がいた! 昨日届いたとのこと。ラッキー! 集合写真を撮って、最後の核心、天狗のコルに向かう。

天狗のコルに着いて、下を見ると、傾斜、ガレ・ザレに足がすくむ。急に口数が減り、口が渇く。自分に気合を入れて下りへの一歩を出す。慎重に足を置き、三点支持で、落石に注意しながら進む。しかし、落石してしまう恐怖で、一歩が出ない。CLのAさんが「落石があっても避けるから大丈夫だよ」と優しい一言。勇気を出して、一歩を進めていく。

一番の傾斜を通過した直後に、天狗の頭方面から落石が多数! その中の一つが岩に当たって、10㎝大の落石がこちらに向かって来る。パーティー内の後方のTちゃんに当たる…。無事? 怪我はない? と皆で確認。Tちゃんは「何ともないです。大丈夫です」と元気な声。しかし、落石がザックにあたり、ザック内のナルゲンが割れていた。無事で良かった。

ガレ場を通過して、お花畑に入り、ついに岳沢小屋に無事に下山。やった! 今日も、喚起のハイタッチ! 岳沢小屋で荷物を回収して上高地へ向かった。

難しいルーファイ、メンバーへのきめ細かい配慮をして下さったCLのAさん。Aさんの後ろを歩いて、ルーファイ、スリングの使い方など、とても勉強になった。元気にメンバーの士気を高めてくださったSLのTちゃん。私が怖がっていると優しく声をかけてくださり、後方から見守ってくださったFさん・Aさん。後方よりエッジの効いたコメントでメンバーを癒してくださったRさん。楽しい時間をありがとうございました。

【CL追記】

私自身のCL山行で事故が続いたあとの会山行のため、無事にメンバーが下山できたことにホッとしている。当初の計画では1日で岳沢まで下りる予定だったが、穂高岳山荘で1泊したことも無事に下りることができた要因のひとつだった。このルートは全員の技量と体力がなければ、事故が起こっても不思議ではないが、一般登山道からでは見ることができない景色が見られる。

バリエーションはいろいろ行っているが、メンバーのお陰でとても思い出深い山行となった。



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