明星山南壁左フェース

山行情報

日時：2023/10/13 ～ 2023/10/14　天候：快晴
ランク：D-D-9:00　参加：4名
山行担当：ＣＬ3063　ＳＬ3005
記録担当：文責：3687　写真：3224

コースタイム

駐車場6:30…6:50取り付き…16:30トップアウト…18:00駐車場

山行記

23時近い混雑した山手線からは、街の灯りが眩しかった。長い一日を思い返すと、ああすれば良かった、こうしたら良かった、とタラレバの反省しきり。数時間前まで400mにおよぶ断崖絶壁で奮闘し、終了点からはヘッデンで踏み跡を探し、ようやく下山してきた。

糸魚川駅近くに前泊し5時30分に出発、終日ほぼ快晴予報のクライミング日和だ。ヒスイ峡の展望駐車場に着くと、すでに先行パーティが取り付いているのが見え、寒いので車中で待機することにした。

アプローチは短く、右俣の取り付きまでは10分ほどだ。売店脇の踏み跡を下り、小滝川を渡渉すればすぐなのだが、どれだけの水量か不安だった。「渡れなければ登山に変更しましょう」と事前に決めていたのだが、そんな心配もしなくてよいほど。膝まで浸かるだけであっけなく渡れた。

「パーティは4人、ロープ3本で登ります」、とCLから連絡があったときには「どうやって??」と疑問だったが、3人目のギアラックにロープを付け、ビレイポイントに着いたらギアラックから外し、セカンドビレイをする方法で4人目が登る。その間に前の2人が次のピッチを行くとのこと。なるほど。ただ、3人目となったときはロープのしっぽが思いのほか重い。

1ピッチ目、ルンゼ下部の薄かぶりの脆い岩をCLが先ずリード。全員クライミングを楽しみながら快適に登った。

2ピッチ目をSさんがリード。ルートを確認しあい、するすると登っていく。

自分は3ピッチ目をリード。目指すはピナクルまでと顕著な目標があり、ルーファイは簡単なはずだったが、思い込みによりひとつ前でピッチを切ってしまった。見上げれば、まだ先にもピナクルがある。余計な時間を使ってしまった。もう1ピッチ登り、そこからは5mほどのクライムダウンとなっているが、安全を優先し懸垂下降とした。

直上ルートとの合流まで、トラバースしながら高度を上げていく。どこも行けそうなルートなので、トポを見ながら慎重に進める。合流点からは右へ右へと行くルートが終わり、今度は直登気味に左へ大岩をめざす。ここからは浮石だらけでピンもほとんどない。さらにルーファイが難しくなった。めざす大岩にたどり着けるのだろうか。ブッシュに隠れまだまだ先が見えない。

自分のリードの順番となるも、掴む岩がことごとくぐらつく。これなら大丈夫♪と思ったひと抱えもある岩でさえぐらつき、身体の内側が叫びまくる。ワクワクの気持ちは瞬間に消え去り、仕切り直そうとルートを修正したら、ロープがスタックし引けなくなった。鋭利な石灰岩なので、ロープが切れてしまうかもしれない不安がよぎる。さらに玉切れ直前、あるものでなんとかしないといけない。ヌンチャクを分解しビナを取り出し、灌木にスリングで確保したうえで少し戻り、スタックを回避しにいく。もたもたしていたらCLが助けに来てくれた、感謝。

最終の2ピッチは、アッセンダーで登ることとなった。やっとトップアウトすることができ、みんな揃ってたたえあい、写真を撮った。興奮と安堵の入り混じった深呼吸をした。

さあ、ここからが時間との闘いだ。なにせ19時までにレンタカーを返却しないと今夜も糸魚川泊となる。テープや踏み跡を探しながら下山、駐車場に着くやハーネスも付けたまま車に飛び乗り、いざレンタカー屋へ。

グレード通りだが、脆い岩とルーファイがキツイ課題の明星山（みょうじさん）だった。まだまだ未熟な自分を参加させていただき、心より感謝です。

【CL追記】

計画実施の日程が悪天候だったため、全員了解のもと予定を1日前倒ししての実施になりました。

明星山は（クライマーはみょうじと言っています）、岩肌が露出している石炭岩の岩山です。今回心配していた小滝川の渡渉は増水もなく、幸先の良いスタートになりました。

あとは、時間と落石をしない慎重なルーファイが必須となります。前半は数ピッチのハーケンも有り、ルートが明確で各自順番にリードを楽しみました。後半は最終ピッチ大岩までの数ピッチを、直登の樹林帯とブッシュの中で岩も脆くきわどい部分もあるルーファイでしたが、慎重に登攀し陽のあるうちにトップアウトできました。

下山は、ほぼ藪の中の長丁場で日が暮れてしまいましたが、決して焦らず、少し遠回りをして小滝川の渡渉を避け、橋まで行き、安全重視で終了しました。急遽前日への前倒し計画はアクセス、宿の手配等スムーズに変更ができ何よりでした。

 

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