第6回六甲全山縦走
山行記
第 6 回 六 甲 全 山 縦 走 に 参 加 し て
ー 六 甲 全 縦 の 効 用 ー 2782 Y.S
天候の変化が激しい今春だったが、3月 11 日は晴天に恵まれ「第 52 回六甲全山縦走大会」が開催された。この大会はみろく山の会が産声を上げた 1982 年以前から続いている。今回の参加者は1400 人。兵庫労山の会員「西宮明昭山の会」からは、当会の 19 人を含む 68 人が参加した。当会は 2013 年から参加し、今回で6回目。参加会員は延べ 109 人、個人ベースで 75 人になる。定例山行と言っても過言ではない。大会参加説明会は C ランクの希望者が大半だったが、中にはヨット愛好家、マラソンランナー、入会後3か月のチャレンジャーもいた。
訓練はスピードと持久力を養うことを目的に京急長沢から三浦半島を経て大船までの 40 数キロを11 時間で歩くもので、毎週一度計 11 回実施された。訓練ではケガ・事故防止に細心の注意を払っていたが、訓練なかばになって数人がインフルエンザに、3人が膝の痛み、1人が軽い捻挫に見舞われた。ただ、当人たちの意気込みは非常に強く、自宅休養の傍らトラブル克服のための工夫を凝らし、後半には訓練に戻ってきた。本番当日、みろくチーム 19 人は未明の須磨浦公園に集合、準備を整え3班に分かれて出発した。コースには高低差 300 ~ 500m のピークを 10 以上越える体力的タフさが求められる部分と、コンクリート道路が延々と続く単調で気分的に疲れる箇所が現れる。メンバーは一抹の不安を感じながらも、見事にゴールインを果した。「完走賞」をかざす表情に訓練当初とは比較にならない逞しさが感じられた。
六甲全縦の効用とは何か?それは脚力や持久力、精神的強さが求められる全縦を成し遂げたことへの自信ではないかと思う。一見ひ弱に見えた人が六甲全縦参加後に「あの人が……」と思わせる活動家に変わり驚かされることがよくある。この6年間の参加会員は 75 人。リーダーはそのうち 58 人に上る。今後も六甲参加者の中から多くのリーダーが誕生することだろう。今大会は大満足のうちに終了した。六甲全縦は今後も続く。皆さんの参加を期待しています。大会参加にあたり、明昭山の会田辺様をはじめスタッフの皆様には数々のご配慮を頂きました。心から御礼申し上げます。
仲間との連帯感を励みに 1班 3551 H.M
楽しかった!六甲に参加してよかった!みろくに入会してよかった!私にとって「六甲」は、兵庫県にあるその山のことだけでなく、三浦半島縦貫の訓練に始まり六甲全山縦走の本番に至る仲間との一連の縦走山行のことも意味します。六甲へは、みろく入会直後に緊張とともに出席した説明会で話を伺い、迷わず参加を決めました。最後まで歩けるだろうかと心配した三浦半島縦貫も、仲間と一緒ならなんとかなるもの。ヘッドランプを灯して初めて大船まで歩き切った時の感動はひとしおでした。毎週の訓練山行は季節の移ろいを感じながら仲間と歩く大きな楽しみでもあります。回を重ねるごとに歩きは安定し、仲間との連帯感も強まっていきました。
六甲全山縦走コースは神戸の街と瀬戸内海を眼下に眺め、赤い花崗岩の山道を行く面白いコースです。ただし、コース前半に菊水山という厳しい登りがあります。私はその登りで足が疲れて思うように歩けなくなり、致し方なく1班と別れて次班を待つことにしました。幸い疲労はほどなく回復。道中に出会った地元にお住まいのIさんの道案内に助けられ、1班を追いかけて再合流。その後は1班の仲間と楽しく歩き、感動の完全縦走を果たすことができました。菊水山を仲間と一緒に登る。次はこの課題の達成に向け、脚力をつけて臨みたいと思います。
本番ではとても嬉しい体験もしました。水色のみろく帽子をかぶって歩いていると、「みろくさんですか、頑張って」と、たくさんの暖かい応援を頂いたのです。諸先輩の築いてこられた会への信頼の重みを感じて、この応援に恥じない会員になりたいと思いました。
「孤高の人」に背を押され 2班 3391 S.T
新田次郎著の「孤高の人」を読んで、六甲を縦走したいと思っていました。訓練山行の集合場所が自宅に近い事もあり、説明会に参加。第 1 回は 12 月 23 日。噂通り小走りに近いスピードで、両足がつりながら東逗子に何とか到着しました。六甲全縦を経験した先輩に泣きついてアドバイスを頂く。途中インフルエンザで 2 週間程寝込んでしまったが、訓練を重ねるごとに種類が増える三浦アルプスの花が疲れを癒してくれました。本番の班分けはあみだで決めた。
私たち2班はチームワークよく順調に歩いた。菊水山や鍋蓋山より標高が高いのに山らしくない六甲山の長い舗装道路にウンザリしながらも、日没までに宝塚のゴール目指して歩いた。そして、元気で全員完走!! ゴールではお餅2個入りのどんぶりのお汁粉に感激!ゴール後みろくの整理体操をしていたら、チームワークいいですねとほめられました。説明会から3ヶ月。辛くキツイ時もありましたが、皆さんに助けられ、励まされて何とか全山を歩き切ることが出来ました。本当にありがとうございました。
山歩きの醍醐味を感じる 3班 3483 A.S
男性3人・女性3人の3班は「期待と不安」を胸に午前6時、須磨浦公園を出発。高度を上げていくと神戸沖の真っ赤な朝日に感動。上々の天気のなか、胸のすくような海の景色や明石大橋などを楽しみながら歩を進めた。11 時半、第1ポイントの菊水山下に到着。途中須磨アルプス岩場の渋滞でやや遅れ気味だ。リーダーがペースを上げ始める。後続もコンパクトなパシュート隊列を保ち一体となって歩を刻む。
菊水山山頂では明昭山の会のお母さんのポカリ差し入れ。もっと飲んで頑張りなさいとの励ましは嬉しかった。大量のポカリを何回も山頂まで運んだとのことで、感激。長い登り下りを繰り返す中で、京急長沢から大船までの訓練山行を思い起こしつつ自らを鼓舞し続けた。六甲に午後4時到着。リーダーのタイミングよい「モグモグタイム」と、「常にリーダーを視界に入れ、直ちに発てる構えが必要」とのアドバイスもあり、関門締め切りの4時半を無事クリア。気持ちが少し軽くなった。5時過ぎに最高峰下を通過。再び明昭の方の熱いお茶と励ましに送り出され、一路ゴールの宝塚へ下った。ほどなく山中は暗くなり、ヘッデンの明かりだけが頼り。固定隊列を一層コンパクトにして進んだが、足元に神経を使う2時間超の行軍はさすがに疲れる。やがて明かりが見え始め宝塚の大パノラマ夜景鑑賞のご褒美。午後8時、一人の脚つりもなく全員無事ゴール。
それぞれ「完走証」が手渡され、記念写真に納まって大満足。冷えてきた空気の中で温かい汁粉の差し入れに身も心も癒され、呆然とストーブの火にあたりながら長い一日を振り返った。三宮へ戻り、ネオン灯る生田筋でビールで乾杯。「来年も参加したい」との強気の女性も出るほどテンションは上がり、さらに宿舎で2次会。午前0時の消灯まで余韻を楽しんだ。「多くの方々に自分の限界への挑戦と山歩きの醍醐味を感じていただきたい」と思わせた山行であった。