【過去山行記より】創立25周年記念 アルプス登山・ハイキング

※緊急事態宣言発令による会山行自粛により予定していた山行記の掲載ができなくなりました。そのため、以前のホームページにあった山行記からピックアップした「過去山行記より」シリーズをしばらくの間掲載いたします。

 2007年7月4日~15日まで12日間の旅として取り組まれたこの山行には27名の会員が参加。フランスのシャモニ、スイスのツェルマット、グリンデルワルドの三つ登山基地の町に泊まり、それぞれ代表的なハイキングコースを歩きました。また、山岳博物館などを見学し、黎明期のアルプス登山の歴史などを学びました。

 今回のツアーガイドの宮下征夫さんはアルプス三大北壁を登った数少ないガイドなので、ハイキングコースは、グランドジョラス、マッターホルン、アイガーの三大北壁の真下を通るように計画されました。北壁を望みながら、実際に登ったご本入からお話しをお聞きするという貴重な体験が出来たのも今回の大きな成果でした。

 ツェルマットでは・ブライトホルン(4164m) へ4人の仲間が現地ガイドを使わずに独自の力で登りました。それぞれの町で一日ずつあった自由時間には、三々五々グループを組んでハイキングなどを楽しみました。7月上旬のアルプス地方は無数の高山植物が満開で、どこへ行ってもわれわれを楽しませてくれました。期間中降雨に遭うことがありましたが、全体としては好天に恵まれ、三つの登山基地からは、モンブラン、マッターホルン、アイガーなどの全容を望むことが出来、この点でも恵まれました。三つの町で宿泊したホテルは、宮下さんや日本の登山家がお世話になったところで、普通のツアーでは味わえない趣と歓待にあいました。

 英国航空(BA)の不手際により、往きに四人のトランクが、帰りに全員のトランクが届かないというアクシデントにあいましたが、こうしたアクシデントを乗り越え、ツアーリーダーと参加者の協力で楽しい旅を終わることができました。

★シャモニー  2007年7月6日(金) 曇、吹雪、晴、曇 :Y.K.

 モンブラン山群の一つエギュイ・デュ・ミディ山頂(3820m)の展望台にロープウェイを乗り継ぎ一気に白銀の世界に行きました。悪天侯で視界ゼロ吹雪いていて一分も身が持たない状態・・・。集合写真を撮ってすぐ、レギュー駅へと下り予定通りモンタンベール(1913m)迄のハイキングが始まりました。

 ここは360度の大パノラマで人間が小さく見える事! ゆるい勾配の道の両側は高山植物のオンパレード。スイスアルプス三大名花のアルペン・ローゼのお花畑も広がり、今が旬とばかり美しく咲き誇っています。無事日程を終えて、登山電車でシャモニーの町に戻りました。

朝のエギュ-ドミディ
メールドグラス氷河をバックに

★ツェルマット  2007年7月8日(日) :S.S.

 朝八時ホテルを出発、ツェルマットより地下ケーブルで、スネガまで行き、そこからロープウェイに乗り換え、ウンターロートホルンまで行く。ロープウェイを降りたとたんまず朝日に輝くマッターホルンが眼前に迫っている。左手にはスイス最高峰のモンテローザがそびえふり向けば氷河が目に飛び込む。そして今日A班四人が登っているブライトホルンもしっかり見えている。この素晴しい眺望の中テラスでゆったりお茶をいただき至福のティータイムを楽しむ。

 その後3413mのオーバーロートホルンを目指す。アルプス三大名花の一つエンツィアンババリアの澄んだ瑠璃色の花が、斜面を飾っている。ガレ場を登りきると頂上となる。頂上に着いた頃から、天気が怪しくなり霧が巻いて、モンテローザを包んでいく。昼食もそこそこに下山となり、エーデルワイスで有名なクンメの谷へと下った。咲き始めたばかりのエーデルワイスの可憐な花が、われわれを待っていた。

 これで前日見たアルペンローゼの花を含めアルプス三大名花全てを見ることが出釆た。お花と眺望を楽しみ心から満足した一日だった。

ツェルマットからの夕焼けのマッターホルン
オーバーロートホルン山頂

★ ブライトホルンに登る 2007年7月8日(日)  A.K

 4000m峰ブライトホルンの準備として、六月に富士山にて訓練をしてもらった。夏の富士山には行った事があるけれど、今年は雪が多く夏道が通れず、八合目からはアイゼンを付け直登した。

 そして7月8日当日、間近に見上げるマッターホルンは朝日に輝いていた。”さあ登るぞ”と気合を入れ、四人で出発する。二度リフトを乗り継ぎ2939mで高度順応の為、30分程休憩をする。その間写真を撮る人、スケッチをする人。耳当帽子、二重手袋、雨具上下、スパッツ、ネックウォーマーと凖備をする。こんなにしなくても良いのにと思い乍ら、リーダーの指示に従う。

 3820mのゴンドラの終点でアイゼンを付ける。呼吸法を心掛け乍らスキー用Tバーリフトの横を一歩一歩進む。はるか彼方では若者がスノーボードを楽しんでいる。Ms、Ay、Mr、Kjの順にアンザイレンする。中間地点より上は勾配も急になり、雪原は35度まである。私のペースで歩いてもらい、すぐ横を外国人グループが何組も追い越して行く。さっき迄晴れていた空も下り坂となり視界も悪くなる。

 4164mピークで記念撮影後すぐ下山する。あと少しでゴンドラ駅というのに風と雪が激しく10m先が見えなくなる。飛ばされそうにもなる。朝の重装備が役に立った。仙の倉の仲間二人もこんなブリザードの中をさまよっていたのかなとふと脳裏をかすめる。一時間おそかったら登頂出来なかったかも知れない。登り2時間、下り1.5時間。

 ホテルに戻り遅い昼食用バンを食べる。現地ガイドに依頼すると、ガイド一人三万円との事であったが、頼もしいみろくのM.T.さんのガイドの下、思い出深い山行が出来た。

ブライトホルン
ブライトホルン登頂

★フリーデーにガイド・先輩の話に感動 2007年7月9日(月) :M.S

 今日はスケジュール通りならヘルンリヒュッテ登山でしたが、天侯上の理由で、7日目のフリーと入れ替わりになりました。午前10時30分よりホテルの食堂で、宮下さんと仲間二人がチームを組んでのモンブラン、マッターホルン、アイガーの難関三大北壁への挑戦の話を伺いました。
 三人が挑戦を決意し、家族の了承を得るまでの一言々々に胸を締め付けられました。特に男性の方々の心をとらえ、目頭をあつくされた方が多かったようです。現地まで一緒に同行した家族が、登はんの無事を祈り、遠望する中での登頂成功の快挙は至福のひとときであったことでしょう!

 続いて、10年前にT会長とM.A.さん等6人の仲間のマッターホルン登頂の話を伺い、「みろく山の会」の先輩諸氏のレベルの高さを再認識しました。

 午後は、皆さん、三々五々綺麗なツェルマットの街へ、山へのトレッキングと繰り出し、自由行動の時間を楽しんでいました。ツェルマットの街では、天候が良けれぱ、何処からでも秀麗なマッターホルンを望むことができます。素敵なマッターホルンはツェルマットのシンボルです。

アルペンローゼ
ヘルンリヒュッテを目指して

★マッターホルン北壁 2007年7月10日(水) :A.E.

 風花が舞う中、黒湖を下にジグザグに少し雪のある岩まじりの径や鉄梯子を登る。予定では山小屋までだったが鞍部迄となる。皆それぞれの思いで岩にタッチできた。少し下り、山の雲もとれ全景の見える所で、ガイドMさんが登攀された時の説明を聞く。厳しい中の健闘に感激した。

 すっかり晴れた下り径は、ねじれる様に見える雄大な北壁を背に、360度山に囲まれた大草原の花を楽しみこの幸を思う。下るにしたがい花々が多くなり、カウベルが遠く近く響き、一幅の絵の様だった。傘寿を前にマッターホルン北壁を間近に歩けた事に満足でした。

★グリンデルワルド  2007年7月12日(木) :H.K.

 グリンデルワルトと安曇村は姉妹都市を結び親蜜な友好関係です。登山電車とロープウエイでメンリッヘンへ、クライネシャイデック迄牧草地を歩きアイガートレイルハイキングは正面にメンヒとユングフラウ、右手にアイガー氷河を仰ぎアップダウンのがれ場を進む。

 1921年槙有恒がアイガー東稜初登頂に成功し、記念に山小屋を建てた話や、宮下ガイド自身友人3人と1991年8月4日、4日目に北壁登頂に成功したルートや断崖絶壁の氷壁を登り肩を落石で痛めての過酷な登頂。アルプス三大北壁踏破を聞き胸が熱く感動。

 標高も低くなり氷河から溶ける雪や氷の水が滝となって激しく流れゴールのアルピグレンはアルペンローゼが私達を迎えてくれました。

ンブラン山群ハイキング
バッハアルプゼ-湖とシュレックホルン

★フラワートレイルで花々に感動 2007年7月13日 :K.O.

 最終日は快晴の自由行動日だった。私達4名はグリンデルワルトから25分間のロープウェイに乗りフィルスト駅21682168mに着いた。深い谷の向うにアイガー、メンヒ、ユングフラウの巨峰をあおぎながら、ルーペを片手に湖までの約4Kのフラワートレイルを往復した。

 雪解の水が流れる湿地にはワタスゲの中にサクラソウ、レナンキュラスが点在し、乾性の斜面には形も色彩も多様な豆科植物が多く、岩間のユキノシタ科ベンケイソウ科の小花が珍しい。ビオラ、リンドウの紫が陽光に映える湖のほとりで、白く輝く峰々と高山植物の競演を眺めながら、至福のひとときを過ごした。

エーデルワイス
アイガー北壁直下、アイガートレイルを歩く

★ユングフラウヨッホの想い出 :H.I

 今日は自由行動日である。雲一つない晴天に興奮しつつ標高3454m、ヨーロッパ最高峰の鉄道駅ユングフラウヨッホに同かう。この鉄道はご存知アイガー、メンヒ山中に掘られたトンネル。終着駅では人の流れる方同に向かう。アイスパレスと呼ばれる氷の彫刻が展示された薄暗い氷の部屋を通って行くと小さな雪原に出た。太陽が眩しく無風のせいか寒さを覚えない。早速メンヒをパックに同行メンバー16人で記念撮影をする。

 展望台からはユングフラウ、メンヒ、アレッチ氷河等360度見渡せるのだが、ガラス越しのため窓枠が邪魔で興味は半減する。下を覗くと雪原を歩く人々がいる、帰りの時間をもう1時間延ばして、雪原に出てみる。多くの人は遠くのほうへと進んでいる。雪質は細かくサラサラし歩き易くついつい遠くまで歩いた。メンヒを、ユングフラウをバックに写真を撮りまくった。