滝谷ドーム中央稜

ほっとした所で涸沢岳山頂で改めて記念撮影。

山行情報

日時:8月1日(木)~4日(日)  天候:晴れ  ランク:D-D-4  参加:7名
山行担当:CL3256 SL2993
記録担当:文責 3224 写真 3224,3256

山行記

マルチを終了した者は誰しもが憧れる滝谷ドーム中央稜。それなりに練習は積んできたつもりだった。今年挑戦しないでいつ挑戦するのだ?と自分を鼓舞し申込みを決意した。

そして本番。雨続きで2年見送りとなっていたが、本年遂に天候に恵まれ実施となった。

8/1木:集合地~沢渡

夕飯を済ませ沢渡着。1泊1000円のライダースハウスにて温泉に入り就寝。

8/2金:上高地~北穂高小屋

ロープ、ガチャを含めずっしり重くなったザックを背負い上高地出発。涸沢までは涼しく木陰も多かったので順調に高度を上げたものの、南稜に入ってからは太陽で暑くむせ返る岩稜をふうふう言いながら高度を上げてゆく。北穂高岳直前では天気が急変し大粒の雨となりびしょびしょになりながらも無事北穂高小屋着。

写真(クリックするとスライドショーになります)

8/3土:北穂高小屋~滝谷ドーム中央稜登攀~奥穂高山荘

05:00 北穂小屋出発
06:00 滝谷ドーム直下に荷物をデポし出発
07:00 滝谷ドーム中央稜取り付き
08:00 1P登攀開始
12:00 5P登攀終了
15:00 奥穂高山荘着

いよいよ登攀当日。滝谷ドーム頭直下に荷物をデポし、登攀の支度を終え、まずは登攀開始地点までクライムダウン。昨日の雨で岩や草が少々濡れており、難易度が増している。怖いが慎重に高度を下げて行く。取付き地点には先行パーティ4組程おり待つこと1時間、遂に我々の登攀が始まった。

第1ピッチはV級凹角からのチムニー。

チムニーからCSに上がる所で先行の別パーティがかなり苦戦していたが、先輩はスマートに超えて行った。続いてフォローで登って行くと核心部は足場が不安定で手も良くない。岩も濡れており、ちょっと泣きそうになる。しかしここでひるんではいられない。先輩はここをリードで越えたのだ。足場はフリクションを利用し、手で岩を押さえながら身体をネジ上げなんとか突破。岩と岩に挟まれ2人がやっと立てるところに終了点があった。

第2ピッチはⅣ級フェース~カンテ~スラブ。

いよいよリード開始。出だしは小さいながらもステップやカチがあり、順調に高度を上げて行く。しかしフェース中央のハーケン以降ステップもハーケンも見当たらない。ドキドキしながら周囲を見渡している内に、右カンテ側にハーケンがあるとのアドバイスを思い出し、カンテを回り込んだところでハーケン発見。ステップもありホッとする。カンテを登り切ったテラスに終了点があった。

第3ピッチはⅡ級の岩稜帯。先輩とロープを分けて持ち歩いて移動。

途中危ういアップダウンがあったものの無事第3ピッチ終了点に到着。

第4ピッチはⅣ級の凹角からハングしたCSを乗り越す。

再びリードに挑戦したものの、ハングしたCSの手前で行き詰ってしまう。ここが核心部だ。落ち着けば手は見つかると色々試してみるものの、手も足も安心出来る場所が見つからない。次第に体力が無くなってしまい、先輩と交代して頂く。先輩はCSをしっかり両手で持ちフリクションを利かせ越えて行った。自分はまだまだだなあと落ち込みつつも後に続く。同じ方法で核心部が突破出来た。

第5ピッチはⅣ級の凹角からのフェース。

フェースの岩が立っており足場が無く難しい。しかしハーケンが沢山打ってあったので、それにヌンチャクを掛けまくりなんとか乗越した。

気が付けば目の前にもう岩壁は無い。見えるのは北アルプスのパノラマと先行組みの笑顔。遂にドームの頭に到着したのだと実感。先輩方とハイタッチし、喜びを分かち合った。

ドームの頭から荷物のデポ地点は近く、そこで登山靴に履き替え先を急ぐ。何故なら昨日と同じ雨予想があったからだ。しかし、歩いて行くうちに表銀座方面の視界が明瞭となっていき、次第に立ち込めそうだった霧も晴れて来た。アルプスの展望を思いきり楽しみながら奥穂高山荘着。ビールで祝杯を挙げた。

写真(クリックするとスライドショーになります)

8/4日:奥穂高山荘~奥穂高岳~前穂高岳~岳沢~上高地

晴天で山荘をスタート。ほどなく奥穂高岳到着。ジャンダルム方面、北穂高岳、滝谷ドーム頭等の展望を堪能し、吊り尾根を歩き紀美子平へ。荷物をデポし、今回最後のピークとなる前穂高岳山頂へ。こちらも360度の視界が広がり、前穂北尾根を歩くパーティや奥穂高岳の凛々しい姿を堪能。名残をおしみつつ岳沢~上高地へと下山した。

滝谷ドーム中央稜は、長年受け継がれて来た会山行であることをお聞きした。今回このような素晴らしい体験が出来たのは、ひとえに先輩方が大切な伝統を守り次いで来てくれたからこそである。感謝してもしきれない。力不足でリード出来なかったピッチを念頭に更に練習を重ね来年もトライしたい。

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