錫杖(しゃくじょう)前衛フェースクライミング
山行情報
日時:2021/10/02 ~ 2021/10/04 天候:晴れランク:D-D-2.5 参加:4名
山行担当:CL3256
記録担当:文責:3256 写真:3256、3224他
コースタイム
10/2(土)13:00錫杖岳登山口・・・14:50錫杖沢テント・・・15:20取付き下見開始・・・16:05左方カンテ 取付き・・・16:50テント場(泊)
10/3(日)6:40左方カンテ取付き・・・7:05登攀開始・・・11:10トップアウト・・・12:00懸垂下降開始・・・13:50懸垂下降終了・・・14:10左方カンテ取付き・・・15:10テン場(泊)
10/4(月)6:50注文の多い料理店取付き・・・12:20トップアウト・・・12:35懸垂下降開始・・・14:20 注文の多い料理店取付き・・・15:25テン場・・・16:20クリヤ谷渡渉点・・・17:00登山口
山行記
1日目
クラックを初めて1年後ぐらいに計画したが3回ほど雨で流れ計画さえもしなくなった2ルート。左方カンテと注文の多い料理店。終了点以外はオールナチュプロ。フェイスのようにボルトやハーケンが打って無く、全て自分てカムを掛けてランナーを取らなければならないこのルート。
やっと出来る日が来た!
10/2(土)槍見温泉脇の登山道入口からテン場まで1時間20分ほどで到着予定だが、ザックが重く予定時刻より少し過ぎてしまった。フェイスを登るのと違い、クラックを登るにはカムというギアが必要になる。これがまた重い。テント泊装備も含め20kgは越えているだろう。多少のアップダウンはあったが、テン場まで近くて助かった。
錫杖沢沿いのテン場は小さく、4人用が2~3張り、1~2人用が3張り、沢を30分程上がった岩屋に1張りぐらいしか張れない。このテン場は早い者勝ちだ。
テントを建てた後は翌日にやる左方カンテの取付きまで偵察に行った。空身で45分ほどで取付きに到着。錫杖の岩場は大きい、圧巻である。
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2日目
10/3(日)6:00前には出発。左方カンテの取付きは早朝から日が当たり、1ピッチ目は明るいルンゼから始まる。
先発のフォローの後をAがリードで追いかける。他のパーティーが黄道光ルート2ピッチ目に取付いているのが見える。フォローが何度も落ちてテンションがかかる。後で調べると2ピッチ目は11a。難しいはずだ。私たちが登る2ピッチ目も明るいルンゼ。
3ピッチ目は短いフェイスをリード。4ピッチ目は歩き。5ピッチ目はチムニーをフォローで登る。6ピッチ目、ランナウトとしながらのフェイス。5mぐらい登ってから初めてランナーが取れる。ガバばかりだが万が一ランナーを取る前に落ちたら、地面に叩きつけられて大怪我かそれ以上だろう。このフェイスにはハーケンが1か所残っていた。7ピッチ目を2~3m登り8ピッチ目取付きの広いテラスに出る。
核心の8ピッチ目をリードで前にいるフォローを追いかける。身体の前後にクラックが走っている壁があり、登りやすくカムも決めやすい。これで終わりかなと思った後に、スラブの右側カンテを使い終了点へ。このスラブにはハンガーボルトが1か所有った。9ピッチ目がスラブ。薄いフレークを使いIがリードで登る。9ピッチ目、簡単なフェイスを登ると槍ヶ岳から焼岳が見渡せる前衛フェースの頂上直下に出る。
素晴らしい眺めだ。紅葉が始まっており、帯のように山の色が上から色付いていた。5回の懸垂下降で翌日アタックする「注文の多い料理店」の取付きに降りる。取付いた場所まで戻り荷物を回収して下山。テン場で完登の祝杯を上げ、翌日の登攀のため早い就寝とした。
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3日目
10/4(月)前日と同じように6:00前に出発。注文の多い料理店の取付きは日が当たらなくて寒い。
ガイドパーティーが先行しているため、ゆっくりと登攀の準備をする。
1ピッチ目、Aリード。クライミングは簡単だがカムで支点を取りずらい為、ランナウトして怖い。2ピッチ目Iリード。左上しているクラックからフェイス。3ピッチ目Aリード。カムNo5の数が足りないため、また時間の短縮のために先行のパーティーに後発のトップの為にカムを残してもらう。自分でカムをセットしないのは、なんて楽なんだと感じる。
4ピッチ目、Iリード。このルートもカムを残してもらい、登攀の時間を短縮する方法を取る。
結果的にはこの4ピッチ目で時間がかかり、予定の時間には降りる事は出来なかった。トポ図は3.4ピッチを繋げていたが、私たちはそうとは思わず1回ピッチを切った。5ピッチ目、Aリード。ダブルクラックから草付の簡単なフェイスだが長い。左方カンテの8ピッチ目終了点と同じアンカーで終了。
懸垂下降は50m、25m、50m、50mの4回。本来50mロープで3回で取付きまで降りる事が出来るが、1ピッチ目で外れなかったカムを回収するため寄り道をして降りた。残念なことにそのカムは外れなく、残置としてしまった。今後、このルートを登るクライマーの邪魔になる事を申し訳なく思う。テン場まで戻りテントを撤収、重いザックを担いで無事下山。充実した三日間だった。
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