北穂東稜
山行情報
日時:2021/05/28 ~ 2021/05/30 天候:晴れ、曇り、晴れランク:D-D-10 参加:5
山行担当:CL3420
記録担当:文責:3418 写真:3256,3418,3420
コースタイム
5/28 上高地7:00…横尾9:50…本谷橋11:30…涸沢幕営地14:30
5/29 小屋10:15…ザイテングラード下2350m雪訓11:00-12:30…白出コル下2800m14:25…小屋15:00
5/30 小屋5:00…北穂南稜東稜分岐6:05…北穂東稜の尾根6:45…ゴジラの頭(懸垂地点)9:15…東稜(上)のコル9:35…涸沢ヒュッテ10:45…本谷橋12:35…上高地16:40
山行記
1日目
北穂東稜と言えば、北アルプスのバリエーション入門ルート。「ゴジラの背」と言われる岩稜が有名だ。いつかは行きたいと思っていたこのルートを残雪期でチャレンジする機会を得た。
新緑が光輝き、ニリンソウが咲き乱れる上高地を出発。15キロ超えの重いザックが肩にずっしりと食い込む。本谷橋を過ぎた辺りから残雪が現れた。ピッケルを出してノーアイゼンで歩く。日差しが強く汗だくになりながらようやく涸沢に到着。夢にまで見た涸沢カールの雪景色!嬉しくて何枚も写真を撮る。静かで広々とした貸し切り状態のテント場に幕営して就寝。
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2日目
深夜、吹き荒れる風の音で目が覚めた。どんどん風は強くなり、雨かあられかテントに叩きつける。強風でテントが縦から横から押しやられ、寝ている私たちの身体を圧し潰す勢いだ。
夜が明けて、朝食を済ませるとテント撤収と決まり小屋へと避難する。今日は雪上訓練をしたのち奥穂高岳まで登る予定だったが、天候悪化のため停滞して天気の様子を見る。10時過ぎ、ようやく雨がやみ風もおさまってきたので雪上訓練に出発。
ザイテングラード下の急傾斜の雪面で訓練。ノーアイゼンで、登る、下る、トラバース、グリセードなど。先月の芝倉沢での雪訓の復習となり少し成長したかなと実感出来た。
その後、白出のコルを目指して行けるところまでと登り始める。ノーアイゼンでトップを交代しながら歩いた。トップで登るのはキツイ。キックステップで蹴りこみ汗だくになる。15分も登るとヘトヘトだ。コルの下2800m辺りまで登り、今日はここまでとなった。下山は尻セードで。恐る恐る下り始めたが、ピッケルと足で何とか制御出来た。あっという間に小屋に到着。
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3日目
今日はいよいよ北穂東稜へ。朝から青空が広がっている。雪が締まっているのでアイゼンを装着して歩き始めた。先ずは北穂高岳へのルートを登り、ゴルジュの上に出ると東稜の取付きへとトラバース。取付きから稜線に出るまでは急傾斜の登り。つづら折りで登ったり、4つ足で登ったりとゆっくり慎重に登る。稜線に出ると一気に視界が開け山並みが見渡せた。
しばらく雪稜を歩くとむき出しになった岩稜が現れた。ゴジラの背だ。リーダーから、この先5,6ピッチロープを出して行くのでセルフビレイで確保して進むようにと指示が出る。
岩が出ているところはボルトやピナクル、雪面にはスノーバーを使って巧みにリードしていってくれる。ロープが張れるとセルフビレイをロープにかけて進む。足元は岩だったり雪だったり。
今年は雪解けが早く、核心のナイフリッジやゴジラの頭の雪はだいぶ解けていた。それでも切れ落ちた高度感ある雪稜を歩くのは緊張した。
最後にゴジラの頭から10mの懸垂下降。アイゼンを付けての懸垂は初めてだ。降り立つ所は急傾斜の雪面上、そこからコルまでトラバース。このトラバースが一番怖かった。
東稜のコルから見えるはずの北穂高岳はガスのなか。時たま雪もチラついた。今回は、このコルから涸沢へ下る。ここからの下りもかなりの急傾斜で慎重に下る。小屋に戻って一息入れ、春爛漫の上高地へと下山した。
【CL追記】
みろく山の会入会後多くの先輩にお世話になった。いくらかのお返しに雪上歩行訓練にお連れしたいと思っていたが、都合でお一人ご参加いただけず残念だったが、ようやく実現できた。谷川芝倉沢と雪の穂高でひとまず完結。
今年は5月半ばから雨になり西日本はいつにない早い梅雨入り。天気予報では穂高も5月末は雨ばかりで半ばあきらめていたが、意外にも晴れ間が差しそうで出かけることにした。
事前情報では雪が少ないとのことだったが、例年より2~3m少ない程度で、雪上歩行訓練をすることはできた。この分だと、例年の雪なら7月初めくらいまでは、それなりにあるのだろうか。
2泊3日で天候もよろしくない中、ザイテングラード8割までの登高とゴジラの背ができたのは、上々だった。
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