裏銀座テント泊で槍をめざす
山行情報
日時:2023/08/17 ~ 2023/08/20 天候:晴れ(夜一時雨)/晴れ(夕方一時雨)/晴れのち曇り(夕方一時雨)/晴れのち雨ランク:C-C-10:00 参加:4名
山行担当:CL3840
記録担当:文責:3847 写真:3740, 3811, 3840, 3847
コースタイム
1日目
高瀬ダム5:59…6:19裏銀座登山口…8:22三角点…9:31烏帽子小屋…9:34烏帽子小屋テント場(テント設営)…10:57前烏帽子岳…11:22烏帽子岳…12:36烏帽子小屋テント場(泊)
2日目
烏帽子小屋テント場4:01…6:53野口五郎岳…7:23真砂岳…9:12水晶小屋…9:56水晶岳…10:38水晶小屋…11:53ワリモ岳…12:31鷲羽岳…13:35三俣山荘…13:38三俣山荘テント場(泊)
3日目
三俣山荘テント場3:02…3:43三俣蓮華岳…4:19丸山…5:02双六岳…6:03双六小屋…6:48樅沢岳…7:34硫黄乗越…8:11左俣岳…9:35千丈沢乗越…10:33槍ヶ岳山荘…10:34槍ヶ岳山荘テント場…11:50槍ヶ岳…12:20槍ヶ岳山荘テント場(泊)
4日目
槍ヶ岳山荘5:20…5:40槍ヶ岳…6:25槍ヶ岳山荘テント場(撤収)…7:18槍ヶ岳山荘…9:16ババ平テント場…9:42槍沢ロッヂ…10:57横尾山荘…12:19徳沢園…13:59上高地バス停
コースマップ
記録日:2023/08/17~2023/08/20最高点の標高: 3153 m
最低点の標高: 1285 m
山行記
はじめに
「槍に行きたいんだけど…」という私のリクエストに、みろく同期・N氏の提案は王道の槍沢経由や表でもない想定外の“3泊4日裏銀座テント泊縦走”。「絶対に楽しいから‼」という力強い言葉に詳細知らぬままOKし、健脚のK氏、S氏を含めた4人パーティで実施することに。北アルプス三大急登のブナ立尾根から始まり、烏帽子、水晶、鷲羽、双六など北アルプスの名峰からなる稜線上を、めざす”槍”を見ながら縦走するというとんでもなく贅沢な山行が待っていた。
1日目(七倉から烏帽子岳へ)
午前5時、七倉山荘駐車場に余裕を持って到着したはずが、高瀬ダムへのタクシー乗り場には20名以上の行列ですでに運行中とのこと。しかもその半数は大きなザック、ライバルとなるテント泊者のよう。今日の最大のミッションは20張りしかない烏帽子小屋テント場を4張り分確保することであり、いきなりイエロー状態(確保出来ない場合撤退も)。5:57に高瀬ダムに到着。S大学の学生達をはじめ先行パーティを必死に追い掛け追い抜き、9:31に烏帽子小屋到着。タクシーを利用せず早めにスタートした人も含め、張られているテントは数張り程度でひと安心したが、到着したら飲もうと決めていたコーラがなくガックリ。
小屋に近い一等地にテント設営後、烏帽子岳に登頂。時折ガスに覆われる状況だったが、烏帽子のてっぺんからの眺望を楽しむ。テント場に戻り、皆で昼食と早めの夕食を兼ねた食事をとりながら楽しい反省会。夕刻、小雨となる。水晶岳登頂の追加と三俣山荘テント場を確保するため、翌朝は4時にスタートする事を決め、早めに就寝。
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2日目(烏帽子小屋から三俣山荘へ)
2:30起床。雨の中での撤収も覚悟していたが、満天の星空。前夜の雨で濡れたテントをなんとか収納(N氏、S氏の手際の良さに感服)するも、ザックの重量は明らかに昨日より重い。真っ暗の中、三ッ岳に向かう。日の出前だが、遥か遠くに槍の穂先のシルエットが。「あそこに行くのか…」と思わず声が出る。三ッ岳を下ると、前方に堂々とした野口五郎岳が現れる。真砂分岐から水晶小屋まではザレ場やヤセ尾根が続く。小屋直前の急坂を登り、汗だくで9:12に水晶小屋到着。ここにもコーラはなし。
ザックをデポしてサクッと水晶岳登頂。山頂からは三ッ岳から続く稜線、広大な雲ノ平、黒部ダムが見える。次のワリモ岳は標柱のみ確認し鷲羽岳へ。鷲羽岳からは眼下に鷲羽池、その遥か先に槍ヶ岳。鷲羽岳からジグザグのザレ道を下り、13:35に三俣山荘着。水場に近いテント場を確保し、冷たい天然水を一気飲み(美味い!)。小屋でビールを飲んだ後、テント場に戻り反省会&夕食タイム。パッキング方法や雨対策、雨の中のテント場撤収のノウハウなど、山の話で盛り上がる。また、新たな出会いも楽しみの一つ。隣のテント泊者(Y氏とW氏)にも声掛けし、親交を深める。いよいよ明日は槍ヶ岳。テント場の争奪戦は熾烈を極める可能性が高く、翌朝3時スタートとし早めに就寝する。
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3日目(三俣山荘から槍ヶ岳へ)
1:30、起床。今日も満天の星空。テント内を片付けつつ朝食?のパンをコーヒーで流し込む。前夕の小雨でテントが濡れていたが学習効果もあり、前日より早く撤収を終え予定通り3時スタート。3:43三俣蓮華岳。山頂は真っ暗、次の双六岳方面へのルートが見つからず一瞬焦る。丸山手前で雷鳥に遭遇。5:02、日の出のタイミングで双六岳山頂。山頂からは槍ヶ岳、穂高へ向けた広々とした稜線、そして一本の登山道がまるで天空の滑走路のように見える風景が眼前に広がる。
ここを下ると6:03、赤い屋根の双六小屋。小さな池の手前の綺麗に整地されたテント場には色とりどりのテントが。ここで最後の給水をして樅沢岳へ。樅沢岳からは槍ヶ岳に続く“ラスボス”西鎌尾根がはっきり見える。硫黄乗越では11連泊しながら劔、室堂をめざす大学生のパーティと遭遇。一人の女性にザックの重さを尋ねると、「25Kg以上はあるかな」と。なんとも逞しい。左俣乗越から幾つもの鎖場を越えて千丈乗越、そこから槍ヶ岳山荘までは見上げるような斜面をジグザグに登る。
ふと下を見るとテント泊装備の登山者が物凄い勢いで追ってきており、その差が詰まってきている。槍のテント場は槍直下の岩稜上39張り限定で抜群の景色。ここを逃せば殺生ヒュッテのテント場まで下りなければならない。事態を先頭のリーダーに伝えるやいなやスピードが上がり、なんとか逃げ切り10:33、槍ヶ岳山荘到着。仲間と硬い握手をして感謝を伝える。テントも無事に4張り確保。山荘のテラスに立ち、槍の穂先を見た瞬間、何とも言えない達成感がこみ上げる。
頃合いを見て山頂アタック。意外にもあっさり山頂に立て、私の夢が叶う。テラス席を確保し皆で乾杯。予報通り午後から雨、風が強くなり雷も発生。夕方には雨も上がり、素晴らしい夕焼けが見えたそうだ(私は見逃す)。その日は、なかなか寝つけず、21時ごろ就寝。
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4日目(槍ヶ岳山荘から上高地へ)
5:09、テント場横の岩上から槍ヶ岳の横に登るご来光を見てから、再度の山頂アタック。これ以上ない快晴で、360度の眺望を満喫。大喰岳の向こうに奥穂、そしてジャンダルムがはっきり見える。7:18、槍ヶ岳山荘をスタートし上高地までの長い長い道のりを下る。徳沢を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなり、明神の手前から激しい雨となる。観光客の間をぬうように歩き、14:52に河童橋に到着。沢渡の温泉で4日分の汗を洗い流し、七倉から回送(費用2万円)された車で帰途につく。
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最後に
槍ヶ岳の頂に立てたことより、山仲間と裏銀座の長いルートを重いザックを担ぎながら50Km以上歩いたことから得られる達成感の方が遥かに大きかった。テント場確保が絶対条件で、時には厳しい歩きが求められたが、全員の頑張りでクリアできた。今回の山行では、仲間と歩くことの楽しさと心強さを感じた。個人としては、食糧計画やパッキング方法など多くの経験知を得られた。この山行を通して4人のパーティは「One Team」になった気がする。このルートを提案しリードしてくれたN氏、一緒に歩いて頂いたK氏、S氏に感謝したい。