第三回日本横断夢の縦走⑪ヘルシー美里~伝付峠~荒川三山 (2016.9.15~9.18)
前回8月17日~21日は聖岳から赤石岳、荒川三山、ヘルシー美里の予定だったが、台風7号の影響で途中の赤石岳で断念し椹島へ下山した。
その後も台風が多く日程を再三調整。台風の合間を縫ってようやく実施することになった。
今回はヘルシー美里からの逆コースで挑戦する。3日目の予報があまり良くないが何とか完遂したい。
ふんわりわたあめが家の都合で不参加。ちょっと寂しいが5名でのスタートとなった。
新隊長カモシカの船戸
渋い山屋の中村(直)
努力の中村(志)
春風の大場
スーパーパワーの野澤
(以下:敬称略)
≪今回の軌跡≫
9月15日(木) 晴れ時々曇り
(下部温泉駅=ヘルシー美里10:02出発~伝付峠~二軒小屋17:00着)
行動時間 7時間
夕食 ちらし寿司、五目きんぴら、松茸吸物
下部温泉駅で待機していたジャンボタクシーでヘルシー美里に向かう。
柿の実が色付き、鶏頭の花が咲き秋の気配だ。
ヘルシー美里で準備していると、スタッフに温泉もありますよと声を掛けられる。折角だがこれから山に登るからと断ると、出直してアルファ米を持ってくる。食料も持っていると断ると賞味期限が近いから無料だと言う。それなら話は別と全員しっかり貰う。
集合写真を撮ってもらい船戸が気合い入れ。
山屋がトップで、まずは平場歩き出発。
30分程で新倉のトンネル脇の旧道に入る。釣船草が咲き競っている。ヘリポートを通過し田代発電所脇の林道に入ると可憐な岩沙参が次々現れる。
しばらく行くと我々に驚いたのか猿の一団がキャッキャッ言いながら堰堤を次々渡って行く。
痩せ尾根に出るとロープと黄ロープを使い這い登る。下りではちょっと嫌な場所だ。
桟道は概ね整備されているが、落石でアルミ、鉄製でも折れ曲がり、歪んでいるものもある。
木製の物は朽ちて板が落ちかけている所もあるので一人ずつ注意して渡る。
沢で2、3度迷ったが、赤テープ、青ペンキを探し先に進む。
カモシカがアサギマダラを発見。山葡萄ないかしらと言った途端大きな木が、でもまだ実は青く小さい、残念。
保利沢(東京電力管理小屋)13:40着。明るい草地だ。
カモシカがここ良いじゃん、水場もあるし。
しかし3日目の予報が悪いのでもう少し先まで行きたい。
暫く進むと本日のメインイベントの梯子橋が現れる。
トップの山屋が這いつくばって渡る。
他のメンバーがそれに続く。
ザックが重いので移動の時、前にのめりそうになる。しかし水面までの高さはそれ程ないのが救いだ。
高かったら足がすくんで動けなかっただろう。
更に行くとまた渡渉が現れる。皆で渡渉場所を探すがどこも石に苔がついていて滑りそう。
靴を脱いで渡る事にする。川幅は3m程、深さは膝くらい、水も冷たくないので水遊び気分だ。
滝や、美しい渓谷を暫らく楽しみながら歩く。
沢から離れるに従いまた登りが急になる。
枝の跳ね返りでカモシカの顔をひっぱたいた???らしい。
畏れ多くも新隊長に何たる事を。ゴメンナサイ。
春風、今度は木に頭をぶつける。それも続けて2度だ。学習機能が全く働いていない。
大丈夫?と聞かれ星がチラついたが、目で笑って答える。
土が落ち葉で柔らかく、こおいうの大好きとカモシカ。
九十九折りの登りが続くと、体調が優れない努力の息使いが荒いので荷物を分ける。
水場に着くと早速咽喉を潤す。脇に幕営も出来るが二軒小屋まで後1時間ちょっとなので頑張る事に。
伝付峠に出ると今まで霞んでいたガスがすっかり消えた。
右は広河内岳や黒河内岳、左は笊ヶ岳への登山道。マイナールートに気をそそられる。
ここからは九十九折の下りだ。先程と打って変わって努力は軽快に下りて行く。
右下に青い田代湖が見えると二軒小屋ロッジは近い。
おひょうという珍しい大木のすぐ先が井川神社。2か月前に来た懐かしい二軒小屋ロッジに17時着
汗びっしょりになりよく歩いた。
二軒小屋は11日~16日まで休みだが、スタッフがいて電気が点いている。人気があるとホットする。
芝生の広場にテントを張り、テーブルで夕食の準備。利用者は我々だけ。
つまみ色々、ビールに梅酒、スーパーパワーのワインが加わり盃を重ねる。
五目きんぴらは乾燥野菜とは思えない優れもの。
ちらし寿司は量が多くて食べきれないので明日の行動食に回す。夜は沢の音だけが聞こえる。
9月16日(金) 晴れ 時々にわか雨
(二軒小屋5:08発~千枚岳~荒川岳(悪沢岳)~中岳~前岳~荒川小屋14:55着)
行動 10時間
朝食 山飯(フライドライス梅味) ミネストローネ
夕食 麻婆茄子 法蓮草の胡麻和え 豚汁
努力が気合い入れ。陽が短くなりヘッドランプを点けて5:08山屋トップで出発
登山口から吊り橋を渡ると直ぐに梯子を登る。樹林帯の急登が続き、ガンガン高度を上げると二軒小屋が遥か下に見える。今日も汗が吹き出る。努力の体調が悪いので荷物を分ける。
カモシカが歩き始めはゆっくりがいいのよね。春風はいつもゆっくりがいいと心の中で呟く。
マンノー沢の頭に予定より1時間も早く着く。努力は胸が苦しくてお握り食べられない。心の病かしら???
スーパーパワーが私も果物と大福だけ。これじゃ痩せちゃうどうしようかしら?と和ませてくれる。
努力が冗談を言えるまで回復した様で良かった。
千枚岳へのガレが見え始める頃、雨がポツポツ降り出したので雨具を付ける。
尾根が見え明るくなり始めたが、意外と遠い。
春風が遅れ気味になる。千枚岳の分岐からの登り返しで足が上がらない。軽量化してきているが体力の限界か。
千枚岳から丸山にかけて痩せたガレ場が続く。
岩場を下る箇所で先に降りた山屋が努力に、次はスーパーパワーが春風、カモシカに足場をサポートし三点支持で全員慎重に通過する。
丸山の稜線でブルーベリーを発見。後続に教えようと思ったらナントすでに食べているではないか。
さすが抜かりのないメンバーだ。
皆猿のように夢中になって貪り食う。甘く美味い。
離れがたいが自然保護も大事。
丸山と名前の通りなだらかだが3,022mある。頂上に着くとにわかに雲行きが怪しくなり霙交じりの雨と風。
雨具付けたが薄暗くなり気分まで暗くなる。
バテた春風が2番手になる。
山屋は実は自分もバテた、と慰めてくれる。
荒川岳側から10名程のパーティーとすれ違う。
天候の悪い時は人に会うと安心する。
荒川岳への登り返しの頃には先程の暗雲が嘘のように消え、稜線漫歩になる。
荒川岳は別名悪沢岳の名前の通り石がゴロゴロして切り立っている。
360度の眺望。仙丈、塩見、白鳳三山のオベリスクも見える。
中岳避難小屋で休憩し、中岳のコルにザックをデポし前岳を往復。何と楽な事か。
荒川小屋の赤い屋根が雲の間から見え隠れしている。
ガンガン急斜面を下りる。夏場ならお花畑の大群落の所だ。
水場で大休止し咽喉を潤す。松虫草もほとんど花びらが落ちているが最盛期は一面
薄紫になっていたのではないだろうか。
明日歩くトラバースの道もはっきり見えてくる。
荒川小屋14:55着。テン場の手続きに行ったスーパーパワーが小屋の主人に健脚だねと言われる。
テン場は正面に富士山、右に赤石岳、左に荒川三山と最高のビューポイント。
先客の一張は東京からの大学生4人グループ。
北岳から入り聖岳に下りダムまで6泊の縦走だ。我々の倍位のコースか、さすが若い。
反省会をしていると寒くなりテントに移動。
法蓮草の胡麻和え。麻婆茄子と美味しくボリュームもある。
食担の努力はいつも色々工夫してくれる。
寝る頃、隣に1グループが来て3張だけ。
今日も静かだ。
9月17日(土) 晴れ
(荒川小屋6:05出発~大聖寺平~小赤石岳~赤石小屋~椹島13:45着)
行動 7時間40分
朝食 スープ雑炊(卵スープ) チーカマ
昼食 ラーメン(袋麺、乾燥野菜、乾燥若芽、乾燥椎茸)
夜明けにキーィンと何度か鳴き声がする。
昨日前岳からの下りで植生保護の為の網が張り巡らされていたが、相当鹿が生息しているようだ。
今日は日程に余裕ができたので、陽が出てからの出発だ。
スーパーパワーが気合い入れ6:05出発。
七竈が赤い実を付けている。短い登りの後40分程のトラバースで大聖寺平に出る。
デカコーラをガブ飲みしていたオジサンとこの後小赤石岳まで抜きつ抜かれつ一緒になる。道標が少ない、東海フォレストのバスが少ない等々、静岡県に言ったら他の山に登れと言われたと。まあもっともだが殆どがフォレストの社有地。登らせて貰っていると考えるべきなのか。
砂礫の急斜面は風が強く寒かったが、小赤石岳の肩に来るとすっかり止み暑い位になる。
スーパーパワーが槍、穂高に向かって、待ってろよ、来週行くからな!と力強く吠える。
ニックネームの通りいつも元気だ。
小赤石岳でも360度の眺望。前回歩いた中盛丸山、大沢岳、百間平、そしてこれから下りる赤石小屋も見える。
赤石避難小屋への分岐で前回未消化だったルートがようやく繋がった。ヤッタゼ )^o^(
ここからは先月8月20日止むを得ず下山した大倉尾根になる。
12人程のクラブツーリズムの一団とすれ違う。赤石岳と荒川三山に行くと言う。圧倒的に女性が多い。
冬季ルートの入口に出ると、山屋が挑戦意欲をそそられる。
太った若い女性二人としんがりの若者。お腹が出てかなりしんどそう。山屋はあれで登山大変だよな。
スーパーパワーは凄かったね。と皆異口同音同じ事を言っているのには笑ってしまう。
暫くするとスーパーパワーからストップが掛けられる。
カモシカが来ないので振り返ってみると、下でさかんに土を突いている。
山屋が掘れ掘れそこ掘れ△×△×。
ストックの輪が落ちて一生懸命掘り出そうとしている。
かなり頑張ったが取れなかった。うぅ…悔しい。
富士見平で休憩。
ここでも360度の眺望。
スーパーパワーが大倉喜八郎みたいに駕籠で下りたい。重量オーバーで割増しになるかなぁ。
私が担ぎ手になると努力。ン?それって逆?いつも和ませてくれる。初物のみかんを貰う。重いのを最後まで凄い。赤石小屋で休憩。前回は雨で見えなかった赤石岳が目の前に聳えている。カモシカがゼリーを買うとアミノバイタルの試供品を皆にと貰う。
ここからは樹林が深くなり景色が見えなくなってしまう。
単調な下りが続き、マンパワーがもう下りは大嫌い登りだけが良い。私もとカモシカが相槌を打つ。
強者は言う事が違う。
山屋が右、左と足を出せば下りられるからと促す。
この東尾根(大倉尾根)はメインルートでもあり土曜日のせいかパラパラ登ってくる。
樺段で中間点。今度は努力がもう歩きたくないと冗談。山屋がじゃあテント置いてくねと息もピッタシ。
5文の1の目印が出ると登山口は近い。一旦車道を渡りロッジの横を下りると井川神社に出る。
無事下山したお礼参りをする。椹島ロッジ13:45着
早速自炊棟で反省会と昼食。具たっぷりのラーメンだ。乾燥野菜はセブンイレブンで調達。色々参考 になる。
カモシカがもう一本ある?催促した訳じゃないよ。まあ少しその気持ちもあったかな。
山屋があるよ、そのつもりだからと酒を取り出す。いつもの聞きなれた会話。
16時風呂に入り、その後レストランで夕食。
から揚げ、串カツ等の生ビールセット。
酒は人生を倍楽しむというがそれ以上ではないだろうか?
素泊まり棟に戻り寝ていると、山梨からの5人グループが騒々しく戻って来る。
やっと寝たかと思ったら鼾の大合唱。それは兎も角としてトイレに起きて建付けの悪い引き戸を力任せに動かすので建物まで揺れる。
挙句の果自分の寝床を間違えこちらに来るではないか。向こう!向こうだってと何度も繰り返し注意する。
何とそれを二度も。更にヘッドライトを付けてとのたまう。
山屋が何してんだ、いい加減にしろ。とビシッと注意する。その後寝床への不法侵入は無くなったが依然トイレの徘徊は続きトンデモナイ夜になった。
9月18日(日) 曇り時々雨
(椹島―畑薙夏季駐車場―静岡―横浜)
朝食 カンパン・オニオンスープ
夜中から雨が降ったり止んだり。
今日も山梨グループは明け方から笊に行くか行かないかで何度も話をしている。
話をするなら小さい声でと怒鳴りたいのをぐっと堪える。全く常識が無い連中だ。
犯罪擬き(@_@)のようなコマッタオジサンを反面教師として、くれぐれも酒の呑み過ぎには注意しよう。
4:40起床、自炊室でカンパンの朝食。夏と打って変わって人気が無いがバス予約の為スーパーパワーが早くから並んでくれる。椹島6:15発東海フォレストの運転手は顎鬚をたくわえた前回と同じミッキーカーチス似の蓮井運転手。名調子でガイドをしてくれるユニークな人物だ。 夏季臨時駐車場でジャンボタクシーに乗り換え。車中雨が激しくなったが静岡に着く頃には止む。駅ビルのレストランでカレーモーニングの昼食、カモシカのリクエストでパンケーキを追加。山屋にはチョッとヘビーだったようだ。21,000円を清算して横浜に向かう。
リーダーとしての気苦労が絶えないカモシカ、頼りになる山屋、いつも楽しいわたあめ、和やかな雰囲気を作ってくれる努力、さりげなくサポートしてくれるスーパーパワー、そして後方支援のジャンボさん、教育掛かり、いつも話題に出るニコニコ大臣、皆のお蔭で歩き通す事が出来た。感謝
(記:春風)