北岳(ゆっくり)

何かを持っている(らしい)人達。うしろは仙丈ケ岳

山行情報

日時:2023/07/16 ~ 2023/07/18 天候:晴れ
ランク:B-C-6:30 参加:12名
山行担当:CL3452 SL3205
記録担当:文責:3867, 3550, 2599 写真:3452, 3205, 3802, 3837, 3862

コースタイム

1日目
広河原…白根御池小屋(泊) 歩:2時間7分
2日目
白根御池小屋…草すべり分岐…小太郎尾根分岐…北岳肩ノ小屋…北岳…北岳肩ノ小屋(泊) 歩:3時間9分
3日目
北岳肩ノ小屋…草すべり分岐…大樺沢二俣…白根御池小屋…広河原 歩:4時間

山行記

1日目

そもそも私がゆっくり山行に申し込んで良いのか???というのが応募段階での悩みでした。とは言っても私にとって北岳は、山登りを始めるかなり前に読んだ小説「マークスの山(高村薫)」で、何か凄く記憶に残る日本で 2番目に高い山で、山登りを初めてからずっと登ってみたいという強い気持ちがありました。その北岳をささっと登って下りてくるよりは、天気の良い日(そうなると確信)に、頂上や北岳肩ノ小屋で思う存分眺望を楽しみたい。さらには、反省会もワイワイガヤガヤとゆっくり楽しみたいという気持ちがあり、ちょっと後ろめたい気持ちもあったのですが山行管理システムでポチっとしちゃいました。

いつものあずさ1号で甲府駅へ。武田信玄公にお出迎えを頂きバス乗り場へ。さすが、好天予報の三連休でバス乗り場は既に長蛇の列でしたが、4台に増便されたバスで広河原へ。路線バスで2時間はしんどいなあと覚悟して乗り込みましたが、ずっとおしゃべりしていたら、あっという間に到着。

広河原インフォメーションセンターで昼食をとり、自己紹介、準備体操を行い、本日の宿泊地である白根御池小屋に向かって登山開始。吊り橋を渡り、森林の中を進んでいきます。見上げた空は青く、夏の雲。明日の北岳頂上からの 素晴らしい眺望を思い浮かべながら歩くと、あっという間に白根御池小屋に到着(今となっては…ですが)。

ちょっと余談ですが、広河原インフォメーションセンターで知人と10年ぶりに再会!お互い、山登りをやっていることを知らなかったので、すごい驚きでした。それも泊地は同じ白根御池小屋(知人はテント泊)でした。

1日目の白根御池小屋は新しく、立派な外観。館内は山小屋というよりも旅館のようで、トイレも洗面所も旅館感覚でびっくりでした。小屋到着時にまずやらなければならないことは反省会の「場所取り」。リーダーの巧妙な場所取り戦略の指示通り、荷物を置き、さらにはベンチを動かして良い場所を確保。そのおかげで反省会も存分に楽しめ、山歩きの眺望だけでなく、反省会も「ゆっくり&ながーく」楽しめるのも「ゆっくり山行」の良いところだと思いました。反省会ではいろんなお酒におつまみ、話題も豊富。何と言っても、今回のおつまみ NO.1は「ホタルイカ」ですね (笑)。  

夕日に照らされた北岳を見ながら、こうして1日目が終わりました。「なんや、反省会だけで終わっとるやんけ!」という突っ込みは覚悟しています (笑)。(文責:3867)



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2日目

白根御池小屋を出発するとすぐ白根お池がある。小さな池だが湧水は一年中枯れることがなく、龍神が住むと信じられている。 急登が続く。下山してくる人が多い。すれ違う人いわく、「昨日はガスで何も見えませんでした。今日からは最高の天気、みなさんはもってますよ」。我々12人は喜ばしき何かを持っているのか…。

小太郎山分岐で休憩。リーダーの山カフェオープン。遠くにチョコンと突き出た地蔵岳のオベリスク、中景に甲斐駒、目の前に大きすぎる体を横たえた仙丈ヶ岳。火をつけ、コッヘル様の容器に湯を沸かしてコーヒーの粉を投入、グツグツ煮て各人からさし出され並べられたカップに注ぎ分けていく。琥珀色の香り高き液体を味わう。山カフェ一座は足どりも軽く、北岳肩ノ小屋 (3,000m) に到着。

荷物をデポして山頂へ。日本第2の高所はスマホで写真を撮り合う人でいっぱいだ。その顔は強い日差しに照らされ、満足感で輝いている。視界は360度だ。今日の宿、北岳肩ノ小屋へもどるとまだ正午前。テーブルを囲み再び山カフェ 。我々は、あたかもイエス・キリストが愛したワインとパンを頂く12使徒のように、見えない絆で互いに強く結ばれていく感覚を味わっていた。

やがて山カフェが山スナック、そして山バーへと進化していった頃、誰かが驚きの声を上げた。指さす方向を見ると、いつの間にかあたりを覆っていた霧の中に虹の輪が浮かび、その輪の中には復活して弟子たちの前に現れたイエス・キリストの姿がくっきりと浮かび上がっているではないか!我々12使徒は歓喜に包まれ両手を上げて礼賛した。その後もブロッケン現象は何度も現れた。(文責:3550)



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3日目

昨年リニューアルしたばかりの北岳肩ノ小屋は床もピカピカで、パーティションで仕切られているため、目が覚めたら隣に知らない顔が……ということもなく、快適に眠る事ができました。小屋を出てみれば、オレンジ色に染まるご来光と、朝焼けに浮かぶ富士山の美しさに息をのむばかり。飽きることのない 360度の絶景を惜しみつつ、右俣コースから広河原まで厳しい急降下が始まります。

昨日は遠くに見えていたバットレスと雪渓が間近に迫ってきました。登山道は細い一本道が多いため、すれ違いや追い越しが多く、そのたびにリーダーは前後に連絡を取り合って気を抜くことができません。段差も大きく、足場の悪い道の連続で、3日間の疲れのピークが来たころ、ついに広河原のターミナルに全員無事到着。高山とは思えないほどの暑さでしたが、3日間とも晴天、おまけにブロッケン現象まで見られ、非常に恵まれた山行でした。思いつくものすべてに感謝です。(文責:2599)



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【CL追記】

ゆっくり山行は贅沢山行である。これは私の持論だ。普通ならば休憩で立ち寄るだけの小屋に宿泊。周辺をじっくりと散策、その後は仲間と多いに語り合う。また展望の良い場所や山頂で素晴らしい景色を愛でつつ、ゆっくりと美味しいコーヒーを味わう。これ以上の贅沢はない。

今回はブロッケン現象のおまけ付きだ。忘れられない山行になった。