“傘寿“の白峰三山

北岳

山行情報

日時:2023/08/29 ~ 2023/09/01 天候:全日快晴
ランク:B-C-8:00 参加:5名
山行担当:CL2563 SL2347
記録担当:文責:2885 写真:2805, 2941

コースタイム

1日目
八王子7:29-8:27甲府=10:58広河原(昼食)11:30…14:20白根御池小屋(泊)
2日目
白根御池小屋5:50…8:18小太郎尾根分岐…9:08肩の小屋9:35…10:35北岳山頂(昼食)11:25…12:45北岳山荘(泊)
3日目
北岳山荘5:25…6:15中白根山…7:37間ノ岳…8:15[P2948] 8:25…9:00農鳥小屋…10:30西農鳥岳…11:30農鳥岳(昼食)12:00…12:40大門沢下降点12:50…14:40河原…15:30大門沢小屋(泊)
4日目
大門沢小屋5:35…7:25河原…8:05吊り橋(水の取り込み口)…8:30車道…8:35休憩小屋…9:30奈良田温(入浴・反省会)13:50=15:00下部温泉15:19-16:24富士16:40-17:20熱海17:30-18:27大船
 
 

コースマップ

出発 広河原
3,000m超の峰 左から北岳、中白根山~間ノ岳~西農鳥岳~農鳥岳

山行記

はじめに

二年前、T氏の傘寿を記念して白峰三山縦走を計画したもののコロナ禍で遅れ、今回の山行となった。よって、T氏は82歳となり、筆者が期しくも傘寿を迎えることとなった。今回、平均寿命80歳の男性3名と、サポーター的な2名の女性(傘寿にはまだまだ!)計5名のパーティとなった。

コースは、広河原~北岳~中白根山~間ノ岳~西農鳥岳~農鳥岳~奈良田と3,000m超の5峰を縦走する、いわゆる「天空の散歩道」である。白峰三山縦走は、傘寿を迎えた我々でも登山可能であることをしめし、近々傘寿を迎える人たち(団塊の世代?)へのエールになればと報告するものだ。



1日目

八王子集合、「あずさ1号」で甲府へ。バスの時間に余裕があるのでトイレなどでゆっくりしてから行くと、すでに長蛇の列。エッ!何とか座席を確保する。2時間以上のバス移動は少々苦痛であった。広河原に着き、さっそくインフォメーションセンターに登山届。職員曰く「北岳で再考したら」の忠告。さもありなん。少々早いが昼食。

さあ、出発。天気も良く、始めのころは穏やかな樹林帯で快適。徐々に急登になり、息も切れてくる。少人数のパーティはドンドン追い越していくが、10人程度のパーティとは抜きつ抜かれつほぼ同じペース。疲れてきたころ、トラバースの道となり、視界も開ける。しかし雲が上がってきており、目前の鳳凰三山も見え隠れの状態。

約3時間で白根御池小屋に到着。さっそく反省会。山の話題のみでなく、世相一般の話題で盛り上がる。コロナ対策で部屋の中はパーテーションで5つに仕切られており、大部屋方式よりプライバシーを感じられ、身の回りの整理もしやすく快適。早い就寝で寝つきが悪く、悶々とするも何とか。



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2日目

今日は、核心部の北岳に挑む。木の階段もあり、ゆっくりをモットーに歩を進める。稜線に出ると展望も開けるが、小ピークを越えたり巻き道を登ったりの岩場の難行。やっと、肩の小屋に着く。小休止。

小屋からは広い斜面を行くが、間もなく岩稜の急登となり北岳山頂に到着。ヤッター。360度の展望。富士の麗姿(山行中、常に我々を見守っていた)。眼下に鳳凰三山・地蔵のオベリスクがはっきりと。甲斐駒・千丈と続き、遠くに北アルプス・槍ヶ岳が遠望される。中央アルプスはもちろん、振り返れば、行く手に中白根山・間ノ岳。名峰がぐるりと巻いている。



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3日目

今日は山行中最長のコース、さあ出発。エッ、目の前に中白根山への急登のザレ道。一歩一歩行くが、朝一にはつらい。こんなザレ道、岩稜がどこまで続くのだろう。登・降しながら間ノ岳頂上に。山頂は広く、大休止。著名な峰々を十分堪能した。途中、戻る人に出会うようになる。聞けば農鳥や間ノ岳へのピストンとのこと。

農鳥小屋は休館で、避難小屋としての機能のみが残っていた。小休止。西農鳥~農鳥~大門沢下降点までは、いくつかの岩頭はあるものの、総じて登・降は少なく、展望も良く、これぞ「天空の散歩道」かと感激する。ここから、樹林地を急降下。石車に注意しつつ、いくつかの枝沢を渡渉し、大門沢小屋へ。途中、弱い路肩にストックを取られ横転。幸いけがはなく、以後、より慎重にゆっくり歩く。

大門沢小屋は、聞いてはいたが昔のまま。ただ、コロナ対策のパーテーションは新たに整備。室内も土間のため、靴を履かなくては移動できない。トイレも屋外で、素掘りのまま。参った。男性陣は、疲れからか食後早々と就寝。女性陣は屋外で盛り上がり。さもありなん。



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4日目

最終日は、1,000mの降下のみ。聞けば、大門沢下降点からの急傾斜とほぼ同じ状況とのこと。樹林帯の中、何度か枝沢を渡渉したり、本線にかかる丸太橋や吊り橋を渡り、八丁坂と呼ばれる難所を通ったり、変化にとんだ急斜面をひたすら下る。ふと周りを見渡すと、木々の葉が朝日を透して美しい。癒される。

最後のつり橋を渡ると、工事現場に出くわす。これを迂回すると平らな舗装道路。ここからは、ひたすら奈良田温泉を目指す。バスまでの時間はたっぷりあり、ゆったり温泉につかり、ビールで完歩したことを祝い、大いに盛り上がる。あとは、富士~熱海~大船と帰路に。



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おわりに

今、傘寿を迎え、山行する仲間がいて、完走できたこと、大いに感謝している。歩行も(さすがに3日目は1時間半程遅れたが)、概ねコースタイムで、思ったより順調だった。

混雑を避けた日程なので、花は、小さな株が散見される程度で、唯一、当薬リンドウの群生を見ることができた。ナナカマドが赤い実をつけ、地を這うようなブルーベリーを頬ばったりした。星カラスを遠方に見たが、雷鳥に会えなかったのは残念。

約10年前、同じコースを縦走したが、岩場とかザレ場とか全く意識しなかった。が、今回はすごく障害と感じた。しかたないか。再度、近々に傘寿を迎える皆さん、そろそろ記念山行を計画されては!