瑞牆山トムソーヤの冒険

だるまフェイスをリードするKさん

山行情報

日時:2024/10/19 ~ 2024/10/20 天候:晴れ(夜雨)
ランク:D-D-10:30 参加:4名
山行担当:CL3224
記録担当:文責:3224 写真:3256, 2575, 3629

コースタイム

1日目
不動沢P 11:30…12:00ちむちむランド(クライミング)15:00…15:30不動沢P 歩行時間:1時間/クライミング時間:3時間/合計:4時間
2日目
瑞牆山荘P 05:30…07:30トムソーヤ取り付き07:40(08:05第一パーティー登攀開始…第二パーティー登攀終了11:30)…12:45瑞牆山山頂13:15…13:30トムソーヤ取り付き13:45…15:55牆山荘P 歩行時間:6時間5分/休憩時間:55分/クライミング時間 3時間25分/合計:10時間25分

山行記

1日目

おそらく本年度、最後となるマルチ。何処へ行こうかとおおいに迷う。そんな中でうかびあがったのが「トムソーヤの冒険」だ。瑞牆山の山頂へ突き上げるこのコースを楽しもう、ということで意見が一致した。

瑞牆山自然公園にテントを張り、そこから車で5分の不動沢駐車場に車を停める。本日はガイドさんに教えてもらった「ちむちむランド」(ショートコース)をめざす。先ずは沢に掛けられた大きな倒木を渡り、そのまま登って行くとモツランドの基部に着く。そこで、盗賊の娘5.10bを眺め、モツランドに沿ってさらに上をめざす。結構登ったものの、目的の岩場が見つからない。

そうこうしているうちに、Aさんが目印となるエレファントロックを見つける。そうなるとその向かいにあるこの岩は入口岩だよねということになり、ここでクライミングの準備を開始。「ちむちむランド」の入口にあるこの岩場は、5.7と5.9が並んでおり、最初にアップで登ろうと計画していたのだ。

早速Aさんが5.7と思われるルートに取り付く。スラブから始まるこのコースは、2ピン目までは簡単だが、3ピン目をかけるのに足がなくドキドキ。さらに4ピン目をかけるには、見えないカンテの向こう側に回り込み、わずかなステップを使い立ち上がるという恐ろしい状況で、とても5.7には見えない。それでもAさんは、テンションを掛けながらも突破し、ロープを張ってくれた。トップロープでトライし、A0(エーゼロ)なしで登るがあえなく玉砕。瑞牆グレードとは良く聞くが、グレードの高さに一同驚愕。Aさんも落ち込んでいた。

隣の5.9と思われるコースは、Kさんが上からロープを張ってくれた。こちらのコースも難しく、トップロープでテンションを入れつつ登ったが、隣より若干優しく感じた。もう1回づつトライしようかと相談しているところで雨が降ってきたため撤収。

下山を開始すると、登ってきた方向の左手にフィクスロープを発見。それを辿り下りて見ることにした。下りた先にはまた岩場が広がっており、ピンがふんだんに掛けられている。もしやここが目指していた「ちむちむランド」のメインウォール下では?との話しになり、周囲の岩場を調べてみると間違いなく条件が一致した。そこには、アップに使おうとしていた入口岩もあり、納得のラインだ。

それでは、Aさんが登ったのは何だったのか?位置関係がはっきりしたところで調べてみると、メインウォール上にある紅葉狩り5.11aであることがわかった。さすがAさんだが、「これはヒヤリハットですよ」、と皆から指摘されていた。何はともあれ、「ちむちむランド」の全容が分かり一同スッキリ。初めての岩場はルート探しに時間が掛かるが、それもまた楽しい。また必ず来ましょうということで、その日のクライミングは終了した。

キャンプ場に戻り、さっそく宴の準備。肉野菜炒めやおでんを楽しんでいると、雨が本格的になってくる。少しは降ると思ってはいたが、23時まで降り続くという予報に一同がっかり。ここまで降っては、明日はまた「ちむちむランド」視察か潔く日吉(室内ジム)かと話していると、20時に雨が止んだ。とりあえずトムソーヤの取り付きまで行くことで意見が一致し、急いで就寝するのであった。



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2日目

4時起床。朝食、テント撤収を1時間で終え、瑞牆山荘駐車場まで移動。準備を整え出発。徐々に明るくなりつある登山道を進む。歩くこと約2時間、トムソーヤへの分岐地点に着く。歩きながら慎重に探したところ、黄色いテープを発見。踏み跡もうっすら残っている。ここで間違いない。踏み跡を辿り、トムソーヤの基部に到着。良かった!!1ピッチ目があまり濡れていない。実施を決定し、支度開始。第1パーティーが離陸するころには他のパーティーも到着。その後も2組が続くこととなった。

1ピッチ目、5.5クラック。第1パーティーのリードはJさん。左手にあるクラックを、木も使いながらスルスルと登って行く。順調そうだが、クラックはかなり濡れていたとのこと。第2パーティーのリードは私(M)。クラックに4番がバッチリ効いているので、迷わずカムエイド。さらに、木に足を突っ張り、垂直の壁を小さなテラスまで這い上がる。その上も垂直な壁だ。カチやステップを探すが、なかなか見つからない。なんとか木の根っこに手が届き、それを使って身体をねじあげる。そこからは緩やかな草付きとなり、右手にある洞穴の前で終了。中は見えないが、先行パーティーのリードAさんのうめき声が聞こえて来た。終了点は木で構築。

2ピッチ目、5.7チムニー。本ルート核心ピッチ。登ったブログを読むと、グレードとは関係ない難しさが伝わってくる。ヘッデン必要と言われていたが、中は意外にも明るかった。先行リードのAさんは、カム6番を必要とするワイドチムニーを抜け、洞穴出口に4番を掛け抜けて行った。ナイス!続いて2人のザックを片方のロープで吊り上げる。途中で引っ掛かると、もう一方のロープを結んだJさんが上がり、ザックを動かしながら同時に上がっていった。

さて、2番手リードはKさん。何と今回、核心部にカム6番が残置されているという情報を後続パーティーより入手。ありがたくその残置でランナーを取り、ありがたく踏んづけ登って行った。それでも難しいチムニーだった。Kさんもナイス!終了点はカムで構築。2ピッチ目の続き。屈曲するので、一旦ピッチを切ったが、2ピッチ目はもう一つ短いチムニーがあった。Aさん、Kさんが同じくリードし、後に続く。フォローは楽勝かと思いきや、身体がすっぽりハマって動かない。思わず太ったことを実感する辛いチムニーだった。

3ピッチ目、5.5階段状。Jさん、私(M)リード。ランナーは木で取り、洞窟の手前で流れが悪くなるので一旦切る。終了点はカムで構築。3ピッチ目、5.5続き。Aさん、Kさんリード。洞窟に入らず、外側を回る。ランナーはカムで取る。終了点は木で取る。4ピッチ目、コンテで歩き。広い尾根で踏み跡もなく、心細いが山頂方向に進むと次のピッチが見えてくる。

5ピッチ目、5.7クラック。Jさん、私(M)リード。1〜3が決まる気持ちの良いクラックに見えるが、取り付いてみるとクラックの幅が小刻みに代わり、ヒヤヒヤするピッチだった。先行リードのJさんは軽やかに登って行くものの、終盤で2番がないと叫んでいた。後出の私は終盤まで2番を温存。最後は3番を使い無事、トップアウト。終了点はピナクルに巻かれたスリング。それも一部擦り切れているので、Jさんが補強。一人として立てる場所はない。それでも眺めも良く最高の気分。

最後のKさんが到着したのは11時30分。離陸から3時間半が過ぎていた。順調だったと思う。トムソーヤの所用時間は、山頂までで約5時間と言われているが、そんなにかからないように思われた。が、それは間違いだった。我々は、ここから1時間半近くかけて山頂まで上がることとなる。

5ピッチ目終了後の出だしは、ピナクルから不安定な鞍部への懸垂で始まった。鞍馬からはAさんがリード。後続は、アッセンダーもしくはプルージックで登る。反対側は谷に向かって切れ落ちていた。その後も3〜4級の岩場をJさん、Aさんが交代でルーファイをしながら登って行く。もう詳しいトポはなく、岩の先がどうなっているか分からない。それでも二人は確実に登り、迷うことなく山頂に到着した。ちなみに山頂直下はまたチムニー。ここでもかと身体をねじ込んだ。

瑞牆山山頂にはたくさんの人がいたが、こちらを遠巻きに眺めていた。全員が揃った所で喜びを分かち合い記念写真。そそくさと下山開始。途中でトムソーヤ取り付きに置いて行った荷物をピックアップし、駐車場に戻ったのは15時53分。長い一日が終わった。まさに「トムソーヤの冒険」にふさわしいルートだった。



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