丹沢表尾根(新年恒例山行)

塔の岳到着直前の4班

山行情報

日時:2020/01/03 天候:快晴
ランク:C-B-6.5 参加:31名
山行担当:CL3205 SL2942、3060、3131、3144、3440、3459、3478
記録担当:文責:3635 写真:3205

コースタイム

ヤビツ峠出発 8:20
三ノ塔着 10:00
新大日小屋着 12:00(昼食)
塔ノ岳着 13:10(大集合写真)
大倉BS着 16:30
徒歩:6時間30分

山行記

 「ついていけよ」「後ろを見るな」「仕掛けろ」「追いつけ」昨日はテレビで箱根駅伝を観戦した。1区だけのつもりが、気がついてみると往路最後まで見ていた。「また青学か」アンチ青学がさらに熱を帯びる。「今日は復路観戦」の気持ちを抑え集合場所の秦野駅に行く。駅に着くと既に20人程の集団が待ち構えていた。同じ電車から降りたのだろう数人の登山客がその集団に吸い込まれていく。総勢31名の大パーティー。リーダーから「ヤビツ峠まではタクシーに分乗して行く」「4班に分かれて行動する」の2点が事前にしつこく告げられていた。理由は「大人数での行動で他の登山者に迷惑をかけない為」だそうだ。

 ヤビツ峠バス停から一般道を歩き富士見橋で山道に入ると急に険しい登り坂になる。登り始めはいつも頭の中でヨーヨー・マの曲を聴いているのだが、きつくなるとロックンロールの曲に変わっている。大抵はチャックベリーかキャロルだ。「今日は調子がいい」まだヨーヨー・マが聞こえる。

 序盤の森の中では展望はない。ただきついだけで他の山とそう変わりはない。と、急に視界が開け、雲ひとつない青空に米粒のような飛行機が見えた。前を歩く仲間が振り向き「見て!」と叫ぶ。ジオラマのような秦野の街並みの向こうに湘南の海だ。江ノ島もはっきり見える。「すばらしい!」駅伝観戦を諦めて来た甲斐があった。「山の景色の90%はどの山も変わらない。残り10%がその山の象徴となる」というのが経験の浅い私の持論だ。「正にこの10%だ!」

 二ノ塔、三ノ塔では白く化粧をした富士山、真鶴半島、大島、そして横浜の高層ビル群までもが遠くに見える。夏の花火大会に例えれば「魂のラストスターマイン」だろうか。

 三ノ塔から烏尾山、行者ヶ岳と進むと、このコース一番の難所で渋滞の起きる鎖場・岩場があった。一度滑落の経験のある私にとってはトラウマになっているようだ。順番を待つ気持ちは、小学校の予防接種の注射に怯えた時を思い起こさせる。速さ、カッコよさは必要ない。とにかく「慎重に」が重要だ。とは言っても下りているときの自分の姿が気になる。

 大先輩が狭い岩場を下りているのを無視して、一人の若者が下から登ってきた。危険な状態である。大先輩一喝「下りている人がいるんだから待ちなさい」。仲間から「おー」と囁く声が聞こえた。ひとつ間違えれば命にかかわる大事故だ。会の仲間だけでなく登山を愛好する他の者にもマナーを共有する必要性を学んだ。この岩場ではもうひとつ教えられたことがあった。下から登ってきた男性が登りきったところで我々が下りるのをサポートしてくれたのだ。「サポートがなくても」と思う人もいるかもしれないが、見知らぬ登山者同士が助け合うのはすばらしいことだ。あの若者にも今回の注意を受け止められる時が来て欲しいものだ。

 塔ノ岳では全員で集合写真を撮った。あまりの大人数に他の登山者も驚いていた。

 塔ノ岳からは誰もが嫌がる大倉尾根を下る。通称「バカ尾根」だ。「なんの特徴もなく、疲れるだけの尾根はバカしか登らないからそう呼ばれるようになった」と、入会当時誰かが言った。今までそう思っていた。今回、先輩から「昔は階段もなく赤茶けた土の坂が延々と続くからそう呼ばれるようになった」と教えられた。主語が登山者か尾根かの違いだが、どちらも正しいような気がした。

 大倉バス停に着いたとき、箱根駅伝は復路も青学が勝利し、総合優勝に輝いた知らせを聞いて疲れがどっと湧いてきた。

【CL追記】

恒例の新年山行。

今年は31名の参加を頂き、終日快晴の絶好のコンディションの中、4班に分かれて無事全員完歩。すれ違いの登山者も余り多くなく、我々も班毎に5分程度の間を空けた為、大きな渋滞もなく、気持ちよい山行を満喫できた。好天の度合いは写真をご覧ください!

参加人数増に応じて急遽お願いした、合計7人のSLの皆様に感謝!



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