表銀座

槍ヶ岳に向けて表銀座の稜線を歩く

山行情報

日時:2021/08/27 ~ 2021/08/29 天候:①晴れ ②晴れ→午後雨 ③晴れ
ランク:C-C-8:00 参加:15名
山行担当:CL3205 SL2956,3459,3483
記録担当:文責:3699,3645,3635 写真:3205他

コースタイム

【1日目 】
中房温泉登山口 06:15…06:50 第一ベンチ 06:55…07:18 第二ベンチ  07:25…07:54 第三ベンチ 08:00…08:33 富士見ベンチ 08:40…09:04 合戦小屋 9:20…09:33 合戦沢の頭  09:33…10:25 燕山荘 10:45… 12:30 大下りノ頭…13:40 喜作レリーフ 13:50…14:50 大天井ヒュッテ

 【2日目】
大天井ヒュッテ 05:30…07:35 ヒュッテ西岳 08:05…09:36 水俣乗越… 11:30 ヒュッテ大槍 12:00…12:54 槍ヶ岳山荘

 【3日目】
槍ヶ岳山荘 04:40…05:20 槍ヶ岳 05:50…06:20 槍ヶ岳山荘 06:40…07:15 殺生ヒュッテ下 07:25…09:00 大曲…09:25 ババ平 09:45…10:10 槍沢ロッジ 10:10… 10:38 二の俣 10:38…11:40 横尾 11:55…12:30 新村橋…12:40 徳沢 12:55…13:33 明神 13:40…14:23 河童橋…14:30 上高地BT

山行記

1日目(8/27)

東鎌尾根を行く表銀座コースから槍ヶ岳を目指すルートを、日程3日間快晴の予報を得て、15名で歩き始める。

スタートの1455m中房温泉から2680m燕山荘まで標高差1200mの北アルプス三大急登の合戦尾根を、4時間で一気に登る。30分~40分ごとにベンチがあり、これを目安に歩けることは嬉しい。ご褒美は、途中の合戦小屋で食べられるスイカだ。生き返って呼吸を整えひと登りすると、合戦沢の頭に出、燕山荘に着く。すごい!すごい景色!目指す槍ヶ岳がはっきりくっきり青空の向こうに見える。みんな写真を撮らずにはいられない。

ここからは槍を見ながらの稜線歩き。花崗岩と砂礫からなる白くたおやかな山容の道を、コマクサを横目に笑顔で進む。そして大下りの頭から下ってすぐまた登り返す。小林喜作レリーフの横の階段を上ると、大天荘との分岐に出る。右に一山巻きながら歩くと、今日泊まる大天井ヒュッテの塗り替えたばかりの綺麗な朱赤色の屋根と外壁が見えた。1泊目の同宿は、左に大天井岳、右に前穂高岳、奥穂高岳が見える贅沢な山間に立つ。明日もこの足がしっかり動いてくれますように〜。



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2日目(8/28)

出発が早いため前夜にお弁当を用意して頂き、眺めの良い場所で食べる予定だったが、風が強いので小屋で食べてから出発。風に煽られてバランスを崩しそうになる程だったが、陽が高くなるにつれ風も弱まりどんどん雲も取れ、気付けば快晴。北アルプスの絶景に気持ちが高揚し疲れも感じない。遠くに日本海まで見渡せ、進む東鎌尾根の向こうには槍ヶ岳が雲一つない青空の下に聳えている。

「写真的には雲がほしい」とのリーダーの(不吉な)言葉に同意しつつも、晴天のうちに穂先へ登りたいと気持ちが逸る。大好物の梯子や鎖場、岩稜。少し高度感のある下りの長い梯子を堪能。足場がしっかりしているのでさほど怖さはなく楽しめた。

ヒュッテ大槍を過ぎた頃から少し雲が湧いてきて弱い雨も。お行儀よく並ぶ穂高連峰に次回山行への思いを馳せつつ槍ヶ岳山荘に到着。

すると間もなく本降りの雨に。穂先への挑戦は明日へ持ち越しとなった。ヒューヒューと鳴く風音、窓ガラスに当たる雨音に半ばあきらめの心境だったが、天候回復を祈りつつ眠りに就いた。



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3日目(8/29)

昨夕の雨とは全く違って晴天・無風。午前4時45分。全員ヘッドライトを着けて槍ヶ岳頂上を目指し山荘を出発した。槍ヶ岳は黒くどっしり構えていた。

すでに頂上までのルートはヘッドライトの明かりがドットとして浮き上がらせていた。前を歩く仲間に遅れまいと必死についていく。どこに手をついて、どこに足を乗せたら良いのか確認するためだ。手も足も右と左の順番を間違っただけで不安定になるような気がした。

夜が明けるにつれ恐怖心は薄らいできた。頂上近くになると渋滞が始まる。ご来光を見る人達が頂上を動かないためだ。最後の階段を登り頂上に立った。快晴、ほとんど無風、最高の条件の中まわりの景色が刻々と変わっていく。前にそびえ立つ穂高に槍ヶ岳の影が覆いかぶさっている。その影が徐々に下がり穂高を赤く染め上げていく。このダイナミックな光景は劇場の幕が上がる時のようだ。感動を写真でなく脳裏にとどめたいという気持ちは人生で何回あるだろうか。

ひとたび槍ヶ岳山荘に戻り、荷物を担いで午前6時40分、上高地に向かって山荘を後にした。後ろを振り向くと槍ヶ岳はすっかり姿を変え、北アルプスのランドマークである威厳を表していた。槍ヶ岳が見えなくなると帰路に着くその歩調はかなり早くなったような気がした。

今回中房温泉から始まり大天井岳、東鎌尾根、槍ヶ岳、そして上高地で終わる山行だったが、料理で言えばフルコースだ。デザートは皆んな徳澤園のソフトクリームで涼をとっていた。ちなみに私は炭酸の効いたコカ・コーラを飲んだ。



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【CL追記】

総じて快晴の中の山行であったが、2日目の槍ヶ岳山荘到着直後からみぞれ混じりの大雨となったため、当日予定していた槍ヶ岳山頂へのアタックは断念。

3日目の朝食を弁当に切り替え、4時40分山荘を出て槍ヶ岳にアタック。 当日の日の出が5時17分であったため、ちょうど山頂到着と日の出が重なり、日の出を待つ登山者であふれる山頂登頂となった。(さらに10分遅れれば、最後のはしごで大渋滞に巻き込まれるところであった)