瑞牆山大面岩左稜線

瑞牆大面岩左稜線頂上より十一面岩。無事登れたことに感謝

山行情報

日時:2022/09/04 天候:晴れのちガス
ランク:D-D-9:00 参加:5名
山行担当:CL3224 SL2575
記録担当:文責:3256 写真:3224, 2575, 3256

コースタイム

瑞牆駐車場7:30…9:00左稜線取付き…16:30左稜線頂上…懸垂下降…18:00取付き…19:50瑞牆駐車場

山行記

今回で3回目の大面岩左稜線。行ったことのないM.S.の希望で取付くことになった。 

このルートはトップアウトすると、瑞牆の岩峰に囲まれたところに飛び出す。瑞牆の中でも最高な景色を見ることができる。最高グレード10c、スラブ、フェイス、チムニー、オフウィズスと多彩なルートを堪能できる。 

3回目ともなると、どこに手や足を置けば良いのか分かるので難しくはないが、7ピッチ目のチムニー~オフウィズスのルートは今回も手こずった。前半、狭くてヘルメットや帽子が引っ掛かる。 

膝が曲げられないので、フリクションを利かせられない。先行が残してくれたヌンチャクでA0をして上がる。何とかチムニーを抜けると、次は体の左半分をクラックに入れ、足と腕のフリクションで登って行く。くるぶしを血だらけにしながら抜け、フォローとザックを引き上げる。 

前半の早い時間からガスがあがって来て周りは白一色だったが、最後のピッチを終了したころから段々とガスが取れ、太陽が出てきた。 

この景色を見て嬉しそうな初登頂のM.S.の顔を見ていると、こちらも大満足!といった気分だ。 

CL追記】 

瑞牆山でマルチクライミングにトライしたい。その目標だけは早くに決まっていた。 

しかしさて、一体どのコースなら自分は登れるのか。グレードが高い瑞牆山は常に不安との闘いである。大面岩左稜線は眺めの良い素晴らしいコースであることは聞いていた。しかし、ここには10cがある上、その他のピッチも10abが並ぶ難コースだ。リードどころかフォローも怪しい。 

それでもこのコースから目が離せなかった。悩んだ末、先輩方に相談し遂に実行に踏み切った。 

このコースのアプローチは、瑞牆山自然公園から瑞牆山に至る登山道であるパノラマコースを使う。途中カンマンボロン直下を通過し、しばらく行くと大面岩の基部に到達する。 

先行はK氏Y氏I氏のパーティ。A氏とMはセカンドパーティでスタート。1ピッチ目はコケが酷いので割愛とのこと。2ピッチ目、スラブ~ルンゼ5.8、A氏リード。前日の雨で滑りやすい。フォローで核心を抜ける時ひやりとした。3ピッチ目はルンゼ~スラブ5.5、Mリード。木登りが核心だった。4ピッチ目、カンテ~ルンゼ~ハング下トラバース10a、A氏リード。ハング下にカムを入れトラバース。回収の時、怖かった。 

5ピッチ目はカンテ~スラブ10c、A氏リード。本コース核心部だ。カンテからスラブに移る所が難しかった。全く手が無い!?一体どうやってリードしたのか。足がカタカタ言う。フォローで感謝。6ピッチ目、フェイス~カンテ10b、Mリード。出だしのボルダーは背中を押さえてもらいながらなんとかよじ登る。続くフェイス~カンテではヌンチャクを残してもらい、先行するK氏に泣きごとをいいつつなんとか登り切った。振り返れば高度感満載のピッチだった。7ピッチ目はフレーク~スラブ10a、A氏リード。出だしのフレークが核心かと思ったら、その上のスラブも難しいピッチだった 

8ピッチ~9ピッチ目、チムニー~オフウィズス10a、A氏リード。グレードは10aだが、ここが実質の核心と書いている本もある。先行パーティのK氏がリードで奮闘している。厳しそうなチムニーに震え上がる。続いてA氏が大きなチムニーをバックアンドフットで登って行く。これは苦手な日吉BRのチムニーそのものだ。続くオフウィズスも難しそうである。ビレイ解除の無線が入った時はとてもほっとした。フォローで取付いてみると、岩が濡れている。濡れた岩に背中を押し付け、A0をしまくり、ピンを踏んづけ身体をねじ上げA氏にこれでもかと引っ張ってもらいなんとか終了。 

10ピッチ目の凹角~バンド、Mリード。長いピッチな上ほぼトラバースのため、最後はロープが重く少しずつしか引けなくなってしまった。無線も通じなくなって困ったが、察したA氏がロープを束ねながら登って来てくれた。最後に脆いフェイスを越えると遂に大面岩山頂だ。われわれの前に登攀した別のパーティが遅れに遅れた影響で夕闇が迫る時間になってしまったが、ほっと一息。先行パーティがセットしてくれる懸垂を待っていると、終始纏わりついていた霧が晴れ、瑞牆山の全貌が見えるようになった。太陽も顔を出し、夕日に照らされた十一面、小ヤスリ、大ヤスリ方面の美しい大パノラマに見惚れる。二十歳の頃から大好きなこの山とこのような形で向き合えるとは。幸せ者だと思った。私の実力には不相応なコースだったが、連れて行ってくださった先輩方に感謝。少しずつでも成長し、できるピッチを増やしたいと思った。ありがとうございました。 

—————————————————

(注)クライミング用語

A0:岩を登る時に、クイックドロー(ヌンチャク)やスリングなどのプロテクションを使って(手で握ったり、足がかりにしたりして)登ること。

オフウィズス off width:クラック(岩の割れ目)で半身しか入らないもの。

バックアンドフット:チムニーなどで腰や背中を背後の岩面に当てながら、 腕と足を正面の岩面に突っ張って身体を支えながらズリ上がっていくという技術



写真をクリックするとスライドショーになります。