早月尾根~剱岳北方稜線
山行情報
日時:2024/08/01 ~ 2024/08/03 天候:快晴ランク:D-D-11:00 参加:4名
山行担当:CL3950 SL3060, 3668
記録担当:文責:3060, 3950, 3686 写真:3060, 3950, 3686
コースタイム
1日目
富山駅5:09-5:36上市駅=6:35馬場島…7:25松尾平…11:35早月小屋(泊) 行動時間:5時間
2日目
泊地4:15…8:00剱岳…11:18三ノ窓…13:47小窓ノ王…15:15池の平小屋(泊) 行動時間:11時間
3日目
泊地4:20…7:55真砂沢ロッジ…10:32剣沢小屋…12:48雷鳥沢キャンプ場…14:20室堂 行動時間:10時間
※-公共乗物、=貸し切りバス・タクシー
コースマップ
記録日:2024/08/01~2024/08/03最高点の標高: 2998 m
最低点の標高: 764 m
山行記
1日目
電鉄富山の始発に合わせホステルを出発、上市から予約のタクシーで馬場島まで。馬場島では初めて見る「試練と憧れ」碑の前で記念撮影。
早月尾根は、北アルプス三大急登らしい。今日は暑そうだ!! 登る前からバテそうな予感。CLから樹齢数百年の立山杉の説明を聞きながらパチリ。水を1.5L消費して、やっと早月小屋に到着した。正午前に到着したが、早速ビールをいただき、昼寝タイムとした。
夕方、小屋の前でテン泊の長崎からという初老とおぼしき4人組と言葉を交わす。沢から小窓尾根に行こうとしたが増水していて渡れなかったらしい。早月小屋から2組に分かれて「バリエーションに行った」と目を輝かせていうさまは、まさに「試練と憧れ」に思えた。(文責:3060)
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2日目
3時半起床、4時半出発予定が、実際のスタートは早くなる。皆、アドレナリンが出ている。最初ヘッドランプで進むが、次第に明るくなると、左右に大展望が広がる。岩場が増え、目の前に出てくる課題をこなしていくと、すぐに3時間半が経過し、剱岳山頂に。
夏の剱岳頂上で、これだけ遠くまですっきりと見えるのは初めて。今回は本当に天気に恵まれている。だが眺望を楽しんでばかりいられず、ハーネスをつけ北方稜線に踏み出す。
まず長次郎のコルまで下り、稜線の長次郎谷側をトラバースして行く。個人的には、剱岳頂上から三ノ窓までの間は過去何回か往復してきたが、毎回少しずつ通るところが違う。今回もより安定したルートを探しながら、安全第一で短い懸垂1回と、スリングを垂らすこと数回で池ノ谷乗越まで進むことができた。
ここから有名な池ノ谷ガリーを下る。足元から崩れていく長いガレ場だ。途中で今朝、池の平小屋を出たという二人組とすれ違うが、彼らが北方稜線で会った唯一の別パーティー。その後、我々の頭上を富山県警のヘリコプターが通過し、また引き返して来て再度頭上を通過。事前に提出してある登山届から我がパーティーの年齢構成を見て、安否確認のために飛んできたのではないかとの冗談も出るが、真相不明。
北方稜線の“中心地”である三ノ窓まで下りると、チンネの左稜線には数パーティーが取り付いている。ここから先、我々は皆未経験。発射台と呼ばれる急なガレ場を登りあげ、そのあとはハイマツ、ガレ場、草付き、岩場などがミックスした斜面を下っていく。微妙に長くて時間もかかるが、13時半位に小窓に到着。ここでアイゼンをつけ小窓雪渓を下降。雪渓は緩やかで、広々としている。のんびり行きたいところだが、左側に見えるはずの鉱山道の入口を見落とさないよう朝から続く緊張感をなかなか緩めることができない。
首尾よく見つけた鉱山道を経て、ほぼ予定通りに池の平小屋に到着。受付後、まずは皆、無造作に小屋の軒下に座り込んでビールで乾杯。11時間行動で疲れた身体に染み渡る。一息入れたのち、1名限定の五右衛門風呂に順番に入ってみる。三方向は板と簾で目隠しされているが、剱岳・八ツ峰が見える南方向はオープンの開放的な作りでユニーク。さっぱりとした後、今度はウィスキーをちびちびやりながらじっくり周囲を見渡すと、岩・雪・緑の絶景が広がっている。ここ池の平は、日本の中でも比類なき秘境だと実感。(文責:3950)
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3日目
池の平小屋を4時19分に出発。しばらくは、なだらかな木道が続く。昨日の岩稜歩きとは違い、両脇の花に声をかける余裕がある。そして岩峰でもあり恐ろしくもある八ツ峰が、赤くモルゲンロートに染まっている。
千人峠の分岐で、欅平に行くにも、能登半島地震により黒部狭谷鉄道の鐘釣橋が崩壊し、今年は開通できないとのことだった。阿曾原温泉小屋の露天風呂も興味があり、少し残念に思えた。二股を過ぎると、川岸に丸太が結びつけられた場所をへつりながらオドオドと歩く。
今回は、梯子谷乗越から内蔵助平を通り黒部ダムを予定していたが、数日前に梯子谷橋が流され通行止めになってしまった。橋は増水になると片側だけ外れるようだが、土台も流されたため、復旧は数日後になるとのことだった。
諦めが悪く、剱沢を渡渉で渡れないかとあたりを見渡すが、そこは水の多さが半端ではなく、剱沢本谷を登ることとなる。真砂沢ロッジで休憩していると小屋番さんが、これから登る剱沢雪渓の状況を知らせてくれた。状況を見て登っていると、平蔵谷出合の手前で「源次郎尾根だよ」と知らされた。ここのどこを登るのかと、私には理解できないまま、そのまま剱沢雪渓をツルっとすべりながらも、剱沢小屋まで登り一息ついた。剱御前小舎までの登山道で、立ち止まり、後ろを振り返ると、剱岳がドヤ顔で「俺の別山尾根もいいだろ」と言っているようだ。その姿はかっこいい剱岳本峰まで続くすてきなところだった。
雷鳥沢に下ると、多くの登山者がそれぞれの山の計画を楽しみに登ってきていた。私も3日間、天気に恵まれたこと、全員で同じ目標をもって歩ききれたこと、山での経験値をあげさせてもらったことに感謝した。
ただ、最後に雷鳥荘を室堂とまちがえて、ビールを買っちゃったことはご愛敬で! 観光地気分で、むせかえる地獄谷とみくりが池の先には、終了地の室堂が見えてきた。(文責:3686)
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