海外LT アオスタとツール・ド・モンブラン(後半:TMB 5日目以降)

行程概要

海外LT(ロング・トレール)山行としてツール・ド・モンブラン(以下TMB)トレッキングとアオスタ(チェルビーニ)ハイキングを以下の日程で実施した。(このページは後半の記録)

7月12日 成田発(クールマイユールまで)
7月13日 TMB前日(クールマイユールでの観光)
7月14日 TMB1日目(ボナッティ小屋まで)
7月15日 TMB2日目(アルペット小屋まで)
7月16日 TMB3日目(ル・プティ小屋まで)
7月17日 TMB4日目(シャモニーまで)
7月18日 TMB5日目(クロア・ド・ボンノム小屋まで)
7月19日 TMB6日目(エリザベッタ小屋まで)
7月20日 TMB7日目(クールマイユールまで)
7月21日 アオスタ(アオスタへの移動と観光)
7月22日 アオスタ(チェルビーニ・ハイキング1)
7月23日 アオスタ(チェルビーニ・ハイキング2)
7月24日 ミラノで解散

前半の山行記はこちら → https://npo.mirokuyamanokai.org/2019/08/09/16834
出会ったお花の写真はこちら → https://npo.mirokuyamanokai.org/2019/08/25/17185

山行情報

日時:7月12日(金)~24日(水)  ランク:C-C-8:00  参加:7名
山行担当:CL3036 SL3155
写真 3155、3036、1890、2731、3129、3227、3390

TMBコースマップ

TMBコースマップ(元マップは「清水昭博著:トゥール・デュ・モンブランを歩こう」から転載)

山行記

7月18日 TMB5日目(クロア・ド・ボンノム小屋まで)   文責:3155

コースタイム

 ノートルダム・デ・ラ・ゴージュ9:30…10:05ナン・ボラン小屋10:10…11:10バルム小屋11:30…12:00 昼食12:20…13:00休憩13:15…14:05ボンノム峠14:15…15:20ボンノム小屋

山行記

 9人乗りタクシーをチャーターしてシャモニーから登り口のノートルダム・デ・ラ・ゴージュに向かった。着いたと言うので降りたら、そこはラ・ゴージュまで歩くと1時間かかるレ・コンタミンヌというところだった。リーダーが交渉したところ、タクシー会社の指示ミスだったようで、運転手は気前よくラ・ゴージュまで送ってくれた。

 ラ・ゴージュにはきれいな教会があり、そこで記念撮影をしてから出発した。広いがかなりの勾配の道が最初から続いたが、ナン・ボラン小屋あたりから傾斜が緩やかな道になった。そこから約1時間でバルム小屋に着き、昼食の半分をそこで食べた。

 バルム小屋を過ぎると登山道らしい急登がまた始まった。尖峰が近くに迫り、アルプスを歩いている感じになったが、その後傾斜はまた緩やかになり気持ちのいい景色を堪能しながら登っていった。

 13時半頃に雪渓が現れたが、それほどの傾斜はないので問題なく歩くことができ、約30分でボンノム峠に着くことができた。その後アップダウンのあるトラバース気味の道を登っていくと約1時間でケルンがあるクロワ・デ・ボンノム峠に到着し、そこで記念撮影をした。本日の宿クロア・ド・ボンノム小屋までは5分ほどで到着した。

 小屋についてからはビールで乾杯をして、その後自由に過ごした。女性陣の二人はオカリナを持ってきていて、エーデルワイスなどの曲を吹いていた。楽譜を持参されていたので、私もオカリナを少し吹かしてもらった。気持ちのいい山上で、音楽を楽しむのもいいものだと思った。

写真(クリックでスライドショーになります)

7月19日 TMB6日目(エリザベッタ小屋まで)   文責:3227

コースタイム

ボンノム小屋7:35…8:43休憩8:48…9:45シャピュー10:15―10:35グラシエ10:40…11:05モッテ小屋への分岐11:59…12:20休憩8:48…13:19セーニュ峠13:30…13:19休憩13:30…15:05エリザベッタ小屋

山行記

 ここからグラシエ村まではフール峠越えを予定していたが、最大斜度30度の急峻な斜面に残雪があるとのことから、シャピュー経由の安全なコースを行くこととなった。

小屋からは狭隘な谷筋を約900m、ただひたすらに下っていく。ここはアルプと呼ばれるアルプス山脈中腹の草原地帯で一面緑の斜面が続く。このアルプの中でも傾斜の緩い斜面には大量の羊が放牧されていた。牛と同じように何頭かは首にベルをぶら下げており、周囲には牧羊犬もいて、羊とヤギの違いはあるものの、『アルプスの少女ハイジ』を想起させられた。

シャピューで昼食の後、グラシエ村まではバスで移動し、ここからまた登山道に入って約30分で乳牛の放牧場に、更に少し行くとモッテ小屋の分岐に辿り着くが小屋には寄らず、突然の急坂をジグザクに高度を上げていくと遥か向こうの斜面に羊の群れが大移動している様子が見られた。この辺りからは国境間近であり、行き交う人との挨拶が、ボンジュールからボンジョルノに変わる。暫くしてピーク見えてくると、某女性から『♪国境だ~国境だ~楽しいな~♪』の歌声!! ここセーニュ峠で今回3度目の国境越えをし、フランスからイタリアに戻ってきた。

ここでは写真タイムの後しばし日向ぼっこをしながら360°の大パノラマを満喫した後、緩やかな草原を下っていく。やがて、地図に無い新しい山小屋を過ぎてからはブランシュ谷底の平らな草原に達し、黄色の絨毯を敷き詰めたようなツメクサ類の花に目を奪われる。

漸くTMB最後の小屋まではもうすぐ先のはずが、なかなか見えてこない。写真タイムなど、束の間の休憩の後、暫く先の急斜面を10分程度登たところでエリザベッタ小屋に到着。

この夜は、グラッパ(イタリア特産の蒸留酒で、ブランデーの一種)のショットグラスを片手に、あっという間に過ぎ去った楽しい6日間を振り返りながら、余韻に浸った。

写真

7月20日 TMB7日目(クールマイユールまで)   文責:1890

コースタイム

エリザベッタ小屋7:20・・・8:30コンバル湖・・・10:20 2,430mP・・・11:50シェクルイ湖12:05・・・12:35シェクルイ峠・ヴィエイユ小屋12:45―-13:35クールマイヨール

山行記

TMB最終日の今日も快晴! 小屋裏の働き者のロバさんに分かれを告げ、小屋を出発。

小屋から200m程下ると、広大なコンバル湿原の中、まっすぐに伸びる牧道を進んでいく。後ろを振り返ると、小さくなったエリザベッタ小屋と背後には堂々たる針峰群の姿が望める。やがて左手にミラージュ氷河の巨大なモレーンが迫ってくる。太古の昔、氷河で覆われていた頃の景色を想像しつつ、数十年後あの氷河の突端はどこまで後退しているのか‥・。

コンバル湖に映るヴェニ谷奥の山々に名残惜しんだ後は、最高地点まで460m、TMB最後の急登だ。しばらく樅の木の樹林帯の中を歩くが、後はアルプの花畑の中高度を上げていく。 最高地点からのトラバース道は谷を挟んで、これまでの針峰群やモンブラン山群が広がり、素晴らしい景観となっている。足元に広がるお花畑とのツーショットを狙い写真撮影にも皆、力が入る。シュクルイ峠までは緩やかな下りだが、残雪がある時は危険だそうで、滑落注意の標識(ちょっと面白い)も随所に見られた。

スキーリフトの建物が見え始め、下界が近い事を知らされる。やがて下方に広々とした中にヴィエイユ小屋が見えてきた。小屋の前のテーブルには多くの人達の姿が見える。今日は土曜日、日帰りで楽しむ人も多いのだろう。

小休止の後、クールマイヨールまで700mの下山だが、歩き始めてリフト乗り場に差し掛かると足が止まり、全一致でリフト利用が決定。 眼下にクールマイヨールの町を見ながら、リフトとロープウェイでの下山は快適そのもの。

ホテル近くのお店のテラスで、7日間のTMB、天候に恵まれた事、無事に歩き通せた事に皆で乾杯!

写真

7月22日 アオスタ(チェルビーニ・ハイキング1)   文責:3129

山行記

(アオスタはイタリアの州の名前であり、また州都の名前である。23日の州都アオスタでの観光は山行記を省略した)

10:28 アオスタ駅から列車に乗った。今回の旅で初めての列車である。内部は工夫され連結部分にまで座席がある。車内でギターを弾く人がいる。心地よい音色である。

シャティオンChatillon で11:25発の路線バスに乗りかえた。バスは坂道を登り始める。花で飾られた建物が左右に見える。だんだん車窓の景色が変わり高い山が見えてきた。

ついにチェルヴィニア(Breuil Cervinia)へ着いた。1時間のバス旅であった。

バスを降りると目の前に岩山が連なり、右端にチェルヴィーノ(Cervinoマッターホルン)が聳えていた。ツェルマットから見るマッターホルンとは随分違う形に見える。町から頂上まで直線距離で5Kmだそうだ。リーダーが交渉している間は皆さんの撮影タイムとなった。パノラマで撮る人、動画でとる人、どこを向いても景色が素晴らしい。

ランチの後、14:30から少し先の湖を目指して出かけた。町の中心の坂道を山を背に下り、 公園Area Pique- Nique Breuil へ入る。牛の飾りのある不思議な小屋が一つ。トンネルの排気口らしい。こんなところまで飾られている。違いを感じた。

やがて目的地ラーゴブルー Lago Blu が木々の間に見えてきた。小さな湖である。池と言ってもよさそうな小ぶりの湖である。水は濃いグリーンをしている。周りの山々に降った雨や雪がここに到達しているのであろう。見るからに冷たそうである。

岸辺で子供や大人が水着姿で遊んでいた。ためらいながら子供が一人が水に飛び込む。がすぐ飛び出る。楽しそうであった。鴨の親子はそこから離れてのんびり泳ぎ、人を怖がることなく岸辺で日向ぼっこする。

この湖に逆さチェルヴィーノが映し出されるそうだ。水面は鴨と子供たちの泳ぎで漣が立っている。目を山に向けるとチェルヴィーノの一部に雲がかかっている。しばらくすると雲は取れそうだが・・・。雲に一部隠れた揺れる逆さチェルヴィーノもまた趣を感じた。

ここで解散となりその後は自由行動となった。雲が頂上からとれるのを期待して待つ人、 買い物に行く人 山へ歩きに行くSL, それぞれの時間を持った。

帰りがけに湖水に手を入れたらちぎれそうに冷たかった。子供たちが飛び出るのも当然であった。

写真

7月23日 アオスタ(チェルビーニ・ハイキング2)   文責:3129

山行記

チェルヴィニアからミラノへ

目が覚めると朝靄にかすむチェルヴィーノがホテルの窓から見えた。

9:00過ぎにホテルを出、ロープウェイ乗り場へ向かう。今日も天気は良い。

ここはスキーのメッカ。夏スキーに向かう若者たちがどんどん上がっていく。

9:30ロープウェイに乗る。窓からの景色はチェルヴィーノと山々と緑の草原、洒落た建物の街並み、絵になる。あっという間に終点のPlan Maison 2545mに着いた。

ここから歩き始めた。広い草原の中を少しずつ登る。周りにはTMBで何回も見た花々が咲いている。背後にはチェルヴィーノの南壁が大きく見える。みごとな青空に凛と聳え立っている。とても距離が近く感じるのですぐにも登れそうな気がするとみなさんが・・・。

小さなアップダウンを繰り返した後、湖が見えた。Lago Gilletである。人工湖だが見事に自然に溶け込んでいる。水の色が独特である。緑色だが少し乳白色がかっている。氷河から流れ出る水だからであろうか。湖の周囲を廻る。

チェルヴィーノはますます神々しくその雄姿を見せてくれる。写真をとりあった。湖に映る逆さチェルヴィーノを求めさらに進んだ。だが完璧な映像は難しかった。

その後、町を目指して草原を下った。自転車で勢い良く下る親子、犬を連れて自転車で登っていく女性、牛もいた。のんびりした山行でアルプスのハイジの世界を歩いているようだった。歩き始めて3時間私たちは町へ戻った。

3時過ぎに予定より早く来たタクシーに乗りこみミラノを目指した。

2週間の思い出を胸にいだき翌朝ミラノのホテルで解散になり、2グループに別れてそれぞれの目的地へと向かった。

写真

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前半の山行記はこちら → https://npo.mirokuyamanokai.org/2019/08/09/16834