谷川岳一ノ倉沢中央カンテ

8ピッチ目の中間部

山行情報

日時:2023/05/26 ~ 2023/05/28 天候:晴れ
ランク:D-D-13 参加:4名
山行担当:CL3256 SL3629
記録担当:文責:3256 写真:3256, 3674, 3634

コースタイム

1日目
17:30谷川岳指導センター(泊)
2日目
谷川岳指導センター0:50…3:35一ノ倉沢出合…4:15テールリッジ末端…5:00中央カンテ取付き…11:15中央カンテ終了点…12:30 6ルンゼ懸垂下降点…17:15一ノ倉沢出合…18:10谷川岳指導センター(泊)
3日目 
谷川岳指導センター7:45…9:05子持山獅子岩右ルート取付き…11:30子持山山頂…13:00右ルート取付き…14:00子持山駐車場…19:10小机駅

山行記

2021年は、岩がビチョビチョのため2ピッチ目終了点で撤退。2022年は、雨のため中止。今年は、天候に恵まれた2日間を楽しめそうだと感じた。通常、このころの一ノ倉沢は、出合からテールリッジまで雪渓が続いているので雪渓を歩くのだが、今年は出合からすぐに雪渓が切れているため、夏道に上がってから雪渓に下りる、という情報をもらった。その情報の通り夏道に上がり、谷に沿いながら歩き雪渓に下りる。テールリッジ末端と雪渓の間は空いてはいるが、この数年間で一番狭く感じた。

2日目

1ピッチ目 Aリード:トラバースは濡れていないが、左側に鋭角に登ってからは草が多くビチョビチョ。トラバース以降、ランナーは1か所、ハーケンで取れる。手とつま先で草と泥を避けて終了点へ。

2ピッチ目 A2リード:左方向、上気味に登って行く。このピッチも、凹んでいるところには水が溜まっているほどビチョビチョ。ランナーは下部の方で3か所取れるが、それ以降ランナーは取れないので、落ちたら20m以上になるだろう…。

3ピッチ目Aリード:出だしはビチョビチョのヌルヌル。行けるのか?と自問自答しながらフレークに指を引っかけ、少し上がる。落ちたらグランドだよな…と思いながら、少しはマシな左側から少しずつ上がっていく。岩が脆いのが見ただけで分かるところに足を置くのは、心臓に悪い。カンテに出ると、岩はすっかり乾いており快適なクライミングを楽しめる。

4ピッチ目 A2リード:ランナーがまったく取れず、トポのスケール40mのところを25mで切る。

5ピッチ目 Aリード:チムニーの前で切る。

6ピッチ目 A2リード:チムニーというけれど、中には入らず、外側のフットホールドを使い、ステミングで上がっていく。チムニーの中では、1か所ランナーが取れる。

7ピッチ目 Aリード:ランナーが1か所取れるだけ。小さな崩壊後なのか、岩が脆く落石を起こしそうなルートだった。先行パーティと、脆いですね~と、苦笑い。新潟県の山岳会の人たちだった。

8ピッチ目 A2リード:このルートの核心。昔、下部の核心にあったスリングはすべて撤去されていると思っていたが、ありがたいことに3本残っていた。フォローのAもありがたく使わせてもらった。上部の核心は右のクラックや、小さなカチが数か所あるので、見つけながら登れる。

9ピッチ目 Aリード:少し濡れているルンゼ。終了点は2畳ほどのテラス。ぺツルはひとつ。

10ピッチ目 A2リード:烏帽子岩の下に向かってロープを伸ばす。

11ピッチ目 Aリード:A2が50mロープを伸ばしてくれたため、Aは10mほど登り中央カンテの終了点に到着。

後発のパーティも到着し、休憩を取った後に懸垂下降。デバイスは外さずに、懸垂下降で下りた場所からセルフを取れる場所まで移動する。濡れているため、片手でロープを緩め、岩を抑えながらのトラバースは難しい。6ルンゼの懸垂下降点に行くには、もう1か所トラバースがある。1回目のトラバースの後に、笹やぶを掴みながらのトラバースである。左側は谷なので、落ちれば助からないだろう。確保してもらいロープを出して、やぶを抜けてから固定した。

6ルンゼから懸垂下降。4回目の懸垂下降点(2ピッチ目の終了点)までは、前のパーティの懸垂を待つ状態だったが、Aの懸垂下降時、ロープが団子になってしまい、その処理中に引き離されてしまった。二人組のガイドパーティに追いつかないのは、当たり前か…。
今回、岩は濡れていなかったが中央稜取付きまでロープを出して下りた。メンバーや岩の乾き具合によっては、ロープなしでも下りられるだろう。ロープのフィックス場所、懸垂下降のポイントは濡れているときに思い出してほしい。

無事に一ノ倉沢出合に着き、センターで祝盃をあげ登攀中の話をし、楽しい夜を過ごした。

3日目

子持山獅子岩の右ルートで遊ぶ。
岩がしっかりしており、落石の心配もない。穏やかな天気の中、のんびりとクライミングを楽しんだ。

【CL追記】

シーズン始まって間もない岩場は、脆く、浮石が多く、草も多いし染み出しも多い。乾いていれば簡単なルートも、ビチョビチョに濡れていれば、グレードも上がり、緊張する。今回、一ノ倉沢に挑戦2回目の3人がトップアウトし、無事下山となった。来年はこの3人に中央カンテを託し、まだ行ったことのない人たちに、このルートの面白さを教えてあげてほしい。



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