北アルプス黒部川流域赤木沢
山行情報
日時:2023/08/04 ~ 2023/08/06 天候:晴れランク:D-D-8:00 参加:5名
山行担当:CL3339 SL3623, 3606
記録担当:文責:3774 写真:3339, 3623, 3606, 3774
コースタイム
1日目:折立登山口~薬師沢小屋(泊)6時間 20分
2日目:薬師沢小屋~赤木沢~太郎平小屋(泊)10時間 10分
3日目:太郎平小屋~折立登山口3時間 0分
山行記
1〜2日目(準備〜入渓まで)
「え?沢教室行かないの?」同期入会でこれまでもみろくのさまざまな教室を一緒に経験してきたWさんの一言で、沢教室を申し込んだのが半年前。泳げないしな〜、濡れたら寒そうだしな〜。そう思って躊躇していたが、すっかり沢にハマってしまった。
赤木沢は日本3大デート沢の一つと言われている。まだ丹沢の沢を出たこともなく、今回の北アルプスの沢は憧れと楽しみ、やや不安が入り混じり、寒いかな〜、冷たいかな〜、とウエアやギアも何度も入れたり出したりしながら準備し、当日を迎えた。
3日間の行程は、初日は入渓点の薬師沢小屋まで行き、中日が沢山行、最終日は太郎平小屋から下山する、メインの2日目の前後を小屋泊するプランだ。富山駅からジャンボタクシーで折立登山口に向かい、初日は夏山登山を楽しんだ。太郎平小屋で休憩し、そこからいくつか橋のかかった沢を渡り、薬師沢小屋に到着。ちょうど夕立が降り、沢の水が一気に濁った濁流と化す。こんなに水量が変わるんだ、とびっくりすると共に明日は大丈夫かな?と気になるが、朝には穏やかで澄んだ沢に戻っていた。今年は雪が少なかったので、水量もあまり多くないそうだ。 翌朝、小屋で装備をつけ、小屋の梯子を降りていきなり黒部川へ入渓だ。
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- 折立の登山口から入山(1,350m)
- 展望がいいところに出た。バックは薬師岳(2,926m)
- 太郎平小屋に到着
- 太郎平小屋から薬師沢小屋へ
- ときどき橋のかかった沢を渡る
- 薬師沢小屋に到着
- 雲の平方面に向かう吊り橋。沢は穏やか
- 夕立で一気に濁流と化す
- 翌朝は穏やかな沢に戻っていた
- 吊り橋からほとばしる水が朝日に輝く
- 小屋で沢道具一式を身につけ、いよいよ入渓
- 小屋のテラスのはしごから0分で黒部川に入渓。とても便利
2日目(入渓〜沢登り)
寒くないように沢ウエアの上にレインウエアの上下も着ていく。浅い河原ではあまり感じなかったが、腰まで浸かるとさすがにひんやりする。ただ、そのあと歩いているとまた温まるし、レインウエアが風を遮るので、寒くはない。ゴーロを歩き、岩を乗り越え、しばらくいくとちょっと水深があるところに到着。先に渡ったリーダーからロープが流れてくる。ロープをつけて、なんとか水を避けようと岩をヘツっていたが、ヌルッと滑ってドボン!胸元まで浸かってしまう。そのあと、SLのUさんが「プカリでいきます」とのこと。プカリとはロープをザックにつけ、そのザックを浮き袋のように掴んで泳いでいく方法だ。「ロープを引っ張ってね」と言われ、私の力で大丈夫かな?と思ったが、水流のないところで浮いているので、軽く引っ張ってもあっという間に着岸。なるほど〜〜泳いだ方が早いんだ!と勉強になった。
スクラム渡渉、ジャンプ、高巻きしながら黒部川の流れ込む赤木沢との合流点(赤木沢出合)に到着する。よく写真などで紹介されているところだ。本流側のナイアガラ滝に陽の光が降り注ぎ、赤茶けた岩、エメラルドとも琥珀色とも言える沢の水、晴れた青空、自然が作り出した造形美に目を奪われる。
赤木沢に入ると、さらに滑沢や滝の造形が次々に現れ、都度「わ〜」と歓声をあげてしまう。ナメ沢の水を切って登るのがなんと気持ちいいことか。岩はところどころ滑って、転んだり転びそうになったりするが、うしろのメンバーがお尻や足を支えてくれたり、前のメンバーが手を差し伸べてくれたり…。安全のための行動だが、この一体感が実はとても心地よい。沢を好きになった理由かもしれない。
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- このあたりは黒部川の奥の廊下と呼ばれるところ
- ひざぐらいの水深の渡渉で水温も12度くらい
- 岩をヘツっていく。このあと期待通りにドボン?!
- 人数が多いときは「ぷかり」が早くて楽ちん!
- 腰ぐらいの水深はスクラム渡渉で
- 流れが早く、釜に流されそうな所はお助けロープで
- 黒部川本流と赤木沢の出合付近
- 黒部川本流のナイアガラ滝
- 黒部川本流の浅トロ場。この世のものとは思えない美しさ
- 赤木沢のナメ
- 流れが緩やかなのでヌメリに注意
- 釜は平泳ぎで
- 階段状の滝。滝が出てくるたびに歓声が
- 水を切って登っていく爽快感
- ミニゴルジュは巻きで
- 大滝2段35mに到着
- 大滝左岸からの巻きから落口へ
- 小川から少しずつ草原&低木帯へ
2〜3日目(脱渓〜下山。沢山行を振り返って)
脱渓のタイミングで夕立に遭い、ツメは草原の広大な景色の中を歩けたはずが、ガスと雨、ハイマツの藪漕ぎで濡れた身体には少し辛かった。北ノ俣岳をこえて太郎平小屋に着き、乾燥室の暖かさに触れた時には生き返った気分だった。 最終日もいい天気で下山、帰りは富山の温泉で汗を流して帰った。
黒部川流域の沢の美しさは本当に別世界で、本当に本当に、行けてよかったと思う。というのも集合は富山駅で、私は前日夜行バスで移動の予定だった。ところが新宿のバス乗り場に行くと、なんと予約がないといわれる。このバスは満席で、次のバスが空いていたら現金を払って乗れるのでバスが来たら運転手に聞いてくれと言われたが、次も、次も、最終まで待っても満席で空きがなかった。
頭の中をいろいろなことが駆け巡り、とにかく初日に薬師沢小屋まで行ける方法がないかを夜中の新宿バスターミナルで調べまくること1時間40分、ようやく長野行きの夜行バスと朝イチの新幹線で、ジャンボタクシー出発予定の30分遅れで到着することができ、皆さんには迷惑をかけたが、合流することができた。準備とともに、バスの予約確認は怠らないようにしなくては(笑) 。
【CL追記】
赤木沢は、とても気持ちの良い夏の沢です。赤木沢の出合までの黒部川本流を全て巻かないで行くと、この流域の東沢谷や上ノ廊下のトレーニングにもなります。大滝上流の右俣コースはしょっぱいので、次回は美味しいところを満喫する薬師沢小屋から大滝までのピストンもありかなと思いました。
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- 脱渓のタイミングで夕立に遭う。低木帯はジャングルのよう
- 雨と稜線の風で体が冷えてくる
- 草原、ハイマツの藪漕ぎ、やっと登山道に合流
- 北ノ俣岳(2,661m)
- ここから小屋までがまだ長い。雨が止むと視界が開ける
- 3日目、お世話になった太郎平小屋にて。ここは診療所もある
- 快晴のなか帰路へ
- 右奥に剱岳(2,999m)。誰かいるかな?
- 琥珀色の水と岩の造形美が、帰路途上でもまだ目に焼きついている