八ヶ岳稲子岳南面左カンテ

硫黄岳と天狗岳。最終終了点でセカンドビレイ中

山行情報

日時:2024/05/25 ~ 2024/05/26 天候:晴れ
ランク:D-D-5:00 参加:7名
山行担当:CL3256 SL2575
記録担当:文責:3645 写真:3256, 2575, 3730, 3705, 3537

コースマップ

記録日:2024/05/25~2024/05/26
合計距離: 10189 m
最高点の標高: 2365 m
最低点の標高: 1562 m

山行記

1日目

私にとって初めてのテント泊アルパイン山行。前夜は緊張で何度も目が覚めた。駐車場で共同装備を分け、皆20kg前後のザックを背負って出発。宿泊地のしらびそ小屋までは1時間半。急登は無いというリーダーの言葉に励まされ、何とか1時間半頑張ろうと自分に言い聞かせた。トロッコのレールが残る作業道を進み、シダや苔に覆われた森を抜けると、あっという間にみどり池畔のしらびそ小屋に着いた。

真正面に天狗岳、その下には樹林帯とみどり池が広がる。素晴らしいロケーションに思わず息を呑んだ。テントを設営し、冷たいビールで乾杯!素晴らしい景色を眺めながら飲む昼間のビールは最高だった。大先輩の経験談やお薦めの岩場ルートを教えていただき、いつか行ってみたいと思いを馳せ、失敗談を聞くと、先輩方でもそんなことがあるのだと少し身近に感じられ、有意義な時間になった。



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2日目

朝7時に出発。取り付きまで約1時間。途中で目指す稲子岳南壁が見えた。かなり切り立った岩場だ。あそこを登るのかと思うと、気持ちが高鳴る。途中から急登とのことだったが、大きな荷物はデポしてクライミング用具のみだったので、難なく取り付きに着いた。リーダーから、上は風が強くかなり寒くなるので防寒着を着るよう指示があった。

1ピッチ目。毎回、最初の登攀は緊張して身体が動かないが、皆同じようで、リードのSさんは笑えないほど緊張していた。グレードは低いが、動く岩が多いため慎重に登る。

2ピッチ目。リード。岩が脆く浮石も多いため、慎重に安全にということを念頭に登る。始まり部分だけどう登ろうかと考えたが、何とか登る。その後、ピンが見当たらず、このまま登って良いのか迷いながらビレイポイントへ。

3ピッチ目。このルートの核心部分。リードは左のワイドクラックを見事にクリア。続くセカンドも難なくクリアし、自分も続こうと意気込むが、左手が決まらない。何とか左足をクラックに突っ込み、じりじりと上がりたかったが、全く動けない。そうこうしているうちに力も気力も尽き、ロープで引き揚げてもらう。情けない。もっとクラックの練習をしようと心に誓う。

4ピッチ目。リードのSさんは岩で支点を作り、ロープの流れを意識したピッチ。終了点はかなりの強風で激寒だった。ガタガタ震えるほどだ。レインの下を持ってこなかったことを後悔し、今後は雨が降らなくても防寒のために必要だと学んだ。

5ピッチ目。上部のおまけの部分も右に巻かず、クラック側を登る。あまりクラックを使わなくても登ることができた。

下山は稲子岳稜線を下る。途中で自分たちが登ったであろう岩壁を眺め、改めてすごいところを登ったのだと実感した。アプローチが短く、登攀の長さやグレードも適度で、アルパインクライミングの魅力がギュッと詰まった「アルパインって楽しい!」を実感できるルートだった。

【CL追記】

5ピッチと短く、アプローチも短いため日帰りでアタックできる稲子岳南面左カンテ。難しいクライミングは必要ないが、ロープの流れには注意が必要だ。2時間ほどのクライミングでトップアウトしてしまうが、後ろには八ヶ岳の天狗岳と硫黄岳が迫り、とてもロケーションが良いルートだ。今回、風が強くコンディションはあまり良くなく、参加したメンバーには物足りないルートかもしれないが、皆の素敵な笑顔を見ることができた。やはり、アルパインクライミングは楽しい。



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