伊藤新道~読売新道

伊藤新道、湯俣川へ入渓!奥の噴湯丘のあたりでは湯気が立ち上がっている

山行情報

日時:2024/09/12 ~ 2024/09/15 天候:晴れ/晴れ/晴れ/曇りのち雨
ランク:D-D-11:00 参加:3名
山行担当:CL3499 SL3418
記録担当:文責:3224 写真:3418, 3224

コースタイム

1日目
高瀬ダム11:20…14:00湯俣山荘(泊)
2日目
泊地5:25…6:20第一吊り橋6:30…7:50第三吊り橋7:50…9:00第五吊り橋9:35…11:25展望台11:30…13:35三俣山荘(泊)
3日目
泊地4:00…5:10鷲羽岳5:20…7:55水晶岳8:05…11:00赤牛岳11:20…15:50奥黒部ヒュッテ(泊)
4日目
泊地6:30…8:35平ノ渡場10:10…10:25平乃小屋10:35…14:55黒部ダム

コースマップ

記録日:2024/09/12~2024/09/15
合計距離: 50306 m
最高点の標高: 2988 m
最低点の標高: 1284 m

山行記

1日目

黒部源流、三俣山荘までの最短ルートである伊藤新道が40年振りに復活したのは昨年。会山行で実施された美しい沢を辿るこの登山道を、私も歩いてみたいと思った。さらに三俣山荘からは、自身未踏の水晶岳を通り読売新道を下るという希望もずっと描いていた。

この二つを合体させて歩くことが自分はできるのか?などと妄想していたところ、まさしくそのコースを計画するというお話しをいただき、ありがたく参加させていただくことになった。しかし、現実は厳しかった。昨年完成したばかりの吊り橋が落石・大雨等の影響で第一吊り橋以外は破損崩壊。渡渉ポイントも変化しており難易度・水位が増しているとの情報。それでもCLはヤマレコや先輩から様々な情報を丹念に確認してくださり、実施となった。

長野まで新幹線、信濃大町までバス、高瀬ダムまでタクシーを乗り継ぎ、湯俣山荘までの3時間の林道歩きは、高瀬ダムのエメラルドグリーンの水面を見ながらさわやかな木陰の中を進み快適そのもの。到着した湯俣山荘は、おしゃれなカフェ風なたたずまいをした山荘だった。さっそく、川の中も歩けるサンダルをお借りし散策。晴嵐荘へジップラインを使って沢を渡ったり、温泉が湧き出す湯俣川を遡行し噴湯丘でお約束のポーズで写真を撮ったりと観光気分。伊藤新道の最新情報を入手したところ、水位が若干低いとのことで少しほっとし、明日に備えて早く就寝。



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2日目

4時起床、5時出発。伊藤新道沢パートの始まりだ。まずは湯煙の漂う沢を辿り、唯一流れなかった第一吊り橋を渡る。しばらく行くとほどなくガンダム岩が現れる。今日の水位なら川の中を巻くこともできますよとのアドバイスもいただいたが、念のためガンダム岩に付けられたホチキスを使い昇降。その後の沢の遡行が本日一番の水位で、私は腰近くまで水に浸かったが気持ち良かった。

その後も、明るくなるにつれエメラルドグリーンが濃くなる沢を登って行く。第二吊り橋はどこだったかな?と話しているうちに第三吊り橋に到着。真っ青な空の下、立派な橋が架かっているが、損傷しており渡ることはできない。橋の先に渡渉ポイントがあり、ケルンが積まれていた。水位も浅くありがたい。その後も度々の渡渉を余儀なくされる沢をⅭLは迷いなく進んで行く。

ところどころケルンもあり、川面が透明で深くない箇所を選べるのもありがたい。陽が十分に登ると硫黄尾根が眩しく光り出し、圧巻の存在感を示す。第四吊り橋の残骸らしきものを通過し、しばらく行くとついに第五吊り橋を発見。沢パートの終わりにほっとしながら沢靴を登山靴に履き替える。

続いての森パートは、急峻なザレ場から始まった。油断すれば落ちそうな斜面を慎重に登る。途中赤沢を渡った直後、そのまま沢に添って進み迷いそうになるが、尾根の取り付きを発見し無事コースアウトを回避できた。展望台で一息つき、硫黄尾根と北鎌尾根が重なった稜線を眺める。その後は傾斜も緩くなり楽勝と思っていたのが甘かった。主稜線は遥かに遠く暑い。しかし硫黄尾根の存在感は素晴らしく、その後も変化する眺めに癒されながら登ることができた。雲が沸いて来るころにようやく三俣山荘到着。無事終わった伊藤新道に感謝し乾杯するのであった。



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3日目

3時起床、4時出発。未だ真っ暗な中、満点の星を眺めながらスタート。本日は12時間のロングコースだ。鷲羽岳の山頂に立つころには夜が明け始め、槍ヶ岳のシルエットにウットリ。ご来光はワリモ岳に向かう稜線で眺め、水晶岳を目指す。憧れていた山頂からは360度スター級の山並みが続いていた。その後の赤牛岳へ続く稜線は長く、時折疲れが出てくるものの、素晴らしい眺めを見過ごさないよう楽しんで歩いた。

出発から6時間半、ようやく赤牛岳登頂。ここまでは来る人も少なく、静かな山頂を心行くまで満喫しいよいよ下山開始。まず飛び込んで来たのは黒部湖だ。遥かに遠い私たちのゴール。気を引き締めていかねば、と思った。読売新道の下りは森林限界までは岩稜と強い日差しとの闘いとなり、森に入ってからは滑る石と湿度との闘いとなった。それでも順調に高度を下げ傾斜が緩くなって来たとほっとした途端、鎖場を伴う悪路が始まった。

最後まで油断できない登山道だったが、予定の時刻に奥黒部ヒュッテに到着。水不足とのことで湯船には浸かれなかったものの掛け湯をさせていただき、身体も気持ちもさっぱりした。



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4日目

5時起床、6時半出発。本日は黒部ダムまでの最終行程。地図上ではほぼ平行移動のように見えるが、ハシゴ段の登下降が続く登山道を慎重に歩く。

予定より随分と早く平ノ渡場に着き、10時20分発の船を待った。黒部湖を船で渡るのは初めてだが、最後になるかもしれないなと思いながら5分の船旅を楽しんだ。ちなみにお値段は無料。対岸の平乃小屋で山の思い出にとキーホルダーを購入し、最後の歩きが始まった。こちら側でもハシゴ段の登下降が続く登山道だ。しかも、とうとう雨が降り出し、ずぶ濡れになる。

ロッジくろよんまでは長く感じたが、その後はほどなく黒部ダムに到着。びしょ濡れになりながらも喜びを分かち合った。



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