国東半島ロングトレイル(国東コース)

両子寺参道入口の一対の石造り仁王像は国東半島最大級。

山行情報

日時:2022/03/28 ~ 2022/04/02 天候:曇、晴、雨(4/1)
ランク:B-B-7:00 参加:17名
山行担当:CL2805 SL1817、2812、2956、3561
記録担当:文責:3530、3779、3171、3331、2961、3780 写真:2812、3331、3171、3559

コースマップ

山行記の最後にコースの参考情報を入れています。

山行記

1日目(3/28)K-5コース

【コースタイム】報恩寺公園10:48 … 楽庭神社11:22/11:28 … 吉弘城址(昼食)11:53/12:11 … 西光寺12:42/13:00 … 倉谷峠13:41 … 光蓮寺14:20/14:30 … 八坂神社14:32/14:40 … 梅園資料館・梅園旧宅15:20/15:24 … 梅園の里16:00

国東半島の地図を見ると、両子山から放射状に尾根と谷が延びている。一帯には、噴火で出来た岩峰群が立ち並んでいて、その厳しい地形は山岳宗教の僧にはうってつけの修行場だったと頷ける。六郷満山開山1300年の節目の年に、国東コース全長83㎞を歩いた。 

起点の報恩寺公園で送迎バスを降りると、田園風景が広がっている。里桜や菜の花、芽吹き始めた野山が桃源郷のよう。吉弘川沿いに遡って行くと、楽庭神社。ここは境内が広い。「吉弘楽」という太鼓踊りが奉納され、多くの人で賑わうのだとか。  

そこから吉弘城址を目指し登って行く。行き来するものはいないのだろうか、地面は枯れ落ちた枝で覆われたままだ。墓石や石仏、廃屋が雑木林に取り込まれ、鬱蒼としている。そこかしこで咲く水仙のまわりだけが明るい。吉弘城址は182mの小ピークとなっており見晴らしが良い。ここでお昼を済ませ、再び里に下りる。吉弘川沿いにさらに遡ると西光寺。 

住職から石造宝塔の話を聞く。どっしりとした基礎の上に蓮華座(台座)があり、すらりと縦長の宝塔(塔身)が美しい。経典を入れる奉納孔が空いているのが「国東塔」の特徴です、と語ってくれた。

次に訪れた八坂神社の門前には、一対の石像が鎮座する。長い歳月で丸みを帯びたお顔は、微笑んでいるかのようだ。正門から真っ直ぐ300m程伸びる参道が映画のワンシーンのよう。古びた石造りの鳥居もいい。

写真を思う存分撮り、小一時間程で、三浦梅園旧宅に到着。広大な敷地には寄棟茅葺の住居と土蔵、私塾跡、資料館がある。梅園はてっきり梅の園と思いきや、人名だった。休館日で見学がかなわず心残りとなった。(文責:3530)



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2日目(3/29)K-6コース

【コースタイム】梅園の里8:15 … 龍頭大明神9:00 … 愛宕堂9:38 … 報恩寺・御田植祭伝承館・諸田山神社9:51/10:12 … 走水観音分岐11:48 …走水岳(600mピーク)12:27/12:34 … トンガリ山12:52 … 両子山13:20/12:34 … 鬼の背割14:04 … 針の耳・百体観音14:08/14:14 … 両子寺奥ノ院14:20/14:25 … 両子寺14:32/15:02 … 二子寺駐車場15:04
二日目は宿泊先「梅園の里」横入口から国東半島の最高峰を経由して両子寺に至るコースです。

龍頭大明神から両子山取付きまでは長い舗装道路歩きですが「春爛漫」田園風景の道沿いは幾つかの名所古刹を訪ねる事が出来ました。走水林道から両子尾根入口へそこから600mピーク(走水岳)やトンガリ山と急登を経由して「両子山721m」山頂です。山頂には展望台があり国東半島を一望する事が出来ます。

山頂から両子寺までは「お山巡り七不思議」二つの大岩が立っている「鬼の背割」や、岩が重なり会い、その隙間を通るのが難しそうな「針の耳」といった奇岩を抜けると崖壁に苔むし、風化した「百体観音」。 そして、「奥の院」では崖とお堂が一体化、凛とした空気感、 六郷満山の総持院「両子寺」に到着です。迫力満点の石像仁王像、足をさすると、足の病気が治るとか、丈夫になるとか言われているので念入りにさすってきました。色々な表情を感じる事が出来た魅力的なコースでした。(文責:3779)



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3日目(3/30)K-1コース

【コースタイム】霊仙寺・実相院・六所宮9:05 …後野越10:02 … 西方寺の里10:23 …大藤岩屋11:01/11:06 …阿弥陀越11:16/11:21 …大不動岩屋11:33/11:45 … 尻付岩屋12:03 …千燈寺(昼食)12:15/12:40 …千燈寺奥ノ院13:22 … 不動茶屋13:40 …千燈岳登山口13:48/14:03 … 五辻不動14:11 …15:17岩戸寺

一年前の終着地の霊仙寺・実相院・六所宮が今日の出発地。宿との送迎バスに重い荷を置いておけるので助かる。境内のしきみの大木の白い花を初めて見た。

里から山に入ると石垣が多く、かつての隠し田も今は杉、クヌギの林となっている。苔むした巨岩があちこちにあり、誰かがゴジラ岩と名付ける。

後野越の峠を下ると白く明るく見えて、ミツマタの大群落の中を歩く。自生と植えたのと両方だ。

のどかな西方寺の集落で一息入れ、阿弥陀越を経ると大不動岩屋の絶景が現われる。屹立した大小の岩山はまさに山水の世界のようだ。千燈寺を経て旧千燈寺の史跡を巡る。一枚岩に半肉堀りされた仁王像や無数の五輪塔群など、戦国の動乱や火災を経た国東半島を代表するスピリチャルスポットで、京都の化野の念仏寺に似ている。

不動茶屋で休憩後、鎖の岩場を慎重に上り下りし、山頂付近の岩壁に張り付くように建てられた五辻不動をお参りする。ここからの眺望は素晴らしく、眼下に姫島、周防灘を一望できた。

終点は桜満開の岩戸寺。現在、国東半島の三つ寺でしか行われなくなった「修正鬼会」のステージとなる茅葺の立派な講堂や美しい姿の国東塔を見学する。見どころ満載のK-1コースだった。

「果つるまで歩めよみろく春の道」(文責:3171)



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4日目(3/31)K-2コース

【コースタイム】岩戸寺8:26 …大聖寺9:21/9:26 …長慶寺(昼食)10:06/10:28 … 10:54山口池10:57 …三十仏11:25/11:46 …葛原集落跡12:55/13:08 … 13:47文殊仙寺14:07 … 14:18文殊仙寺駐車場

今日は終日小雨。スタートは岩戸寺から。国道沿いに大聖寺に向かう。そぼ降る雨の中の里歩きも悪くはない。遠くの山は霧がかかり墨絵の世界。雨に煙る山桜も風情がある。

大聖寺に到着。一対の仁王様が迎えてくれる。苔むした階段を上り本堂にお参りした後、県道を隔てた田圃の中の五輪塔群へ。石造りの五輪塔二百余りが寄り添うように置かれている。南北朝から室町時代にかけての墓塔だそうだ。大きな楠と桜がこれを守っている。

川の対岸をもと来た方向へ戻る。途中長慶寺で一休み。この先雨宿りできるところがないので、少し早いが、お堂の軒先を借りて昼食にする。人声を聞きつけて、住職とその奥方が出てこられ、お茶の接待に預かる。鐘を撞いても良いですよ、との有り難いお声。神妙な面持ちで撞かせて頂く。

お昼を済ませて山口池へ。大きな溜め池だ。ここから山道に入る。鬱蒼とした杉林の中に立派な石造りの鳥居と仁王像。鳥居の少し先、長い急な石段を登った先にお堂がある。お堂の格子の中に三十体の仏さまが祀ってあるようだが、真っ暗で何も見えない。

再び山道を行く。急斜面を喘ぎながら登ると尾根線に出る。右に行くと少し先で切れ落ちた崖。「牛嶽の景」だ。見晴らしが良さそうだが、今日はガスで全く駄目。絶景を心の目で見て引き返す。

いくつかの支尾根を横切って葛原集落跡に到着。尾根の北斜面、鬱蒼とした杉林の中に小さな鳥居と、小振りの仁王様が睨みをきかせている。比較的なだらかな広い斜面に祠やお墓が点在している。崩れた石組も見られる。霧に包まれて幽玄な雰囲気だ。当時の生活に思いを馳せる。

道を戻り文殊仙寺に向かう。山道を上り下りし、途中のミツマタの大群落に歓声を上げ、40分ほどで到着。六郷満山随一の古刹、1,400年近く前に役行者が開いたそうだ。

ここが今日の行程の最終点。迎えのバスに乗る。今日の宿は「湯の里・渓泉」。温泉とビールが待っている。(文責:3331)



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5日目(4/1)K-3コース

【コースタイム】文殊仙寺8:33 … 紫竹観音8:55 …清滝観音9:11/9:16 …京乱の宝篋印塔9:52/9:55 …成仏寺10:14/10:28 …岩陰遺跡(アート作品)10:36/10:40 …横手越11:19/11:23 …帝釈堂11:40/11:45 …昼食11:50/12:15 …神宮寺奥ノ院12:48/13:00 …泉福寺13:40/13:55 …行入寺14:32/14:37 … 15:00行入ダム公園

5日目は昨日のゴール地点、文殊仙寺からスタート。そこから順番に、①紫竹観音、②清滝観音、③京乱の宝篋印塔、④成仏寺、⑤岩陰遺跡、⑥横手越、⑦帝釈堂、⑧神宮寺、⑨泉福寺、⑩行入寺、そしてゴールの行入ダム公園。歩行距離約15.5㎞、直線距離だと約8㎞でそんなに遠い所ではない。

この日は朝から良く晴れて寒く宿の駐車場の桜は満開。まさに花冷えの1日。5日目ながら筋肉の張り、痛み、疲労感もなく、バスに荷物をデポ出来たのが大きく快適な気分で歩けた。

次に立ち寄りポイントの印象。③の宝篋印塔は読み方がわからない。要するに古い時代のややおおきめの墓石。④成仏寺と⑩行入寺はどこにもありそうな寺。⑤岩陰遺跡には直立した壁面に赤いランプがランダムに張り付いているモダンアートが展示されていた。鑑賞不能!でも記憶には残る。⑧神宮寺では住職が参拝を喜んでくれてほら貝を吹いたりお茶の接待をしてくれた。⑨泉福寺、大きな本堂のある禅寺で斜面に長く続く渡り廊下が印象的。そしてダム公園では満開の桜が出迎えてくれた。

予定よりやや早いゴールだった。ロングトレイルには最適の時期だったと思う。(文責:961)



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6日目(4/2)K-4コース

【コースタイム】行入ダム公園8:25 …赤松の里(世界農業遺産の里)9:10/9:15… 赤松仏跡9:35 …狭間古池10:22/10:29 …狭間新池10:40/10:50 …丸小野寺(昼食)11:24/12:11 …多賀神社12:45/12:55 … 13:40報恩寺・報恩寺公園

今日は最終日。完走すれば無事横浜へ帰れるという事で、気分は壮快の様子で、又最終日という事で、なだらかな起伏の少ないコ—スで、所々クヌギ林の中を通り冬菇の有無を見ながら歩き、お寺でお茶等を頂きました。寒の戻りで風が冷たく、お陰で汗もかかず全員無事余裕を持ちすぎて完走し、報恩寺公園の満開の桜に迎えられそして帰路につきました。

参加メンバーを代表いたしまして(?)、六日間の長いLTの間 CL、SLそしてカメラマンの皆様にお世話になり感謝いたします。ご苦労さんでした。(文責3780)

 

【CL追記】
昨年の豊後高田コース(T-1~T-4)50㎞に続き、今回の国東コース(K-1~K-6)83㎞をもって峯道ロングトレイルを完全踏破できた。エリア全体の地質、地形を生かした中世(奈良~平安~鎌倉~南北朝)宗教遺跡の迫力に圧倒された。またそれを支えた当時の地域の豊かさも垣間見ることができた(世界農業遺産)。

昨年に続き全体的に天候に恵まれ春の里山風景を満喫できた。



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(参考情報)

国東半島峯道トレイルクラブによる各コースの紹介と詳細ルート図は下記URL参照:
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/index.html
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/pdf/k-01.pdf
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/pdf/k-02.pdf
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/pdf/k-03.pdf
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/pdf/k-04.pdf
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/pdf/k-05.pdf
 http://www.kunisakihantou-trail.com/course/pdf/k-06.pdf

GPSログとヤマレコの自動計算機能による各コースの歩行距離と累積標高差:
 K-1 12.7km +929m -896m
 K-2 14.1km +600m -443m
 K-3 14.6km +711m -829m
 K-4 13.0km +468m -541m
 K-5 14.6km +586m -339m
 K-6 13.5km +731m -693m