妙義山木戸壁右カンテ

第三ピッチを登って来る第二パーティ。紅葉が美しい。

山行情報

日時:2022/10/29 天候:晴
ランク:D-C-1:20 参加:9名
山行担当:CL3629 SL3217
記録担当:文責:3045 写真:3224

コースタイム

駅≡旧国民宿舎 裏妙義駐車場…岩場…駐車場≡駅/歩行1:20 クライミング4:00

山行記

MRT終了後、外岩での実践が出来ず、岩沢世話人会の先輩に相談したところ、この山行に参加を勧められた。妙義山木戸壁は初心者ルートだということだったが、ロープワークに不安があり、山行実施前に広沢寺での練習にお付き合い頂き、あとは自宅での自主練をして当日に臨むこととした。参加メンバーをみると、ベテラン勢ばかり! 足手まといになるようなら、参加を辞退しようかと迷ったが、初めの1歩として参加することに決めた。

事前連絡で3人組の登攀になると伝えられる。私は超ベテランの男性2人との組み合わせ、登攀順序も最後のパーティーとなる。「もしロープワークが出来なかったら、岩も登れなかったら」と更なる不安がよぎる。

当日はお天気も良く、すでに先客は登攀を始めており、すぐに登り始められた。1組目が登りlピッチ目の場所が分かる。2組目が登り始じめたので、緊張しながらハーネスにロープを取り付ける。「いよいよだ。とりあえず、あそこまで登ろう」と唯々岩に向き合う。また次のピッチを目指して登るまでのわずかな時間に景色を眺めると、ほんのりと紅葉した木々が岩肌を覆っていた。紅葉を眺めている余裕などなく、その高度感に「なんて所に来てしまったんだろう。いつ地上に帰れるのか?」との思いが強くなる。

私のリードの順番が回ってきた。何とか岩を登り、前の組の先輩に見守られピッチに支点構築をする。無事に同組の2人のビレイをすることが出来てちょっと安心した。登ってきた1番手が終了点へ向かうために私がビレイを続行する。終了点に到達し、ビレイ解除の声が聞こえる。とその時、事件が起こった。ロープを外す時、ATCを落としてしまったのだ。スーッと眼下に吸い込まれていくATCに声も出ず。後続組がいなかったので、事故にならずにすんだが、大失態に言葉が出なくなった。すぐさまCLが予備のATCを持参していることを思い出し、トランシーバーで連絡を取る。もう一人の先輩に先に登ってもらう。気落ちして更なる事故を起こしてはいけないと、手も足も滑らせてはいけないと緊張に震えを感じる。やっとの思いで終了点に到達し、ATCをCLからお借りした。

最後の岩を登りきると、そこから懸垂下降をしなくてはならない。懸垂下降に3本のロープが使われた。もしATCの予備がなかったら、私はあの岩を降りて来られなかった。CLの装備に対する判断力に助けられ、恐る恐る降り始めることが出来た。

次の懸垂下降に取り掛かろうとしたその時、突然ガランガランと大きな音!隣にいたCLが私の背中をかばってくれた。懸垂下降で使ったロープが岩を落としたかと思ったが、落ちてきた岩が大きかったことから、それが原因ではないようだ。すでに降りていた方から無事だという連絡がトランシーバーより聞こえてきた。次の懸垂下降もドキドキだった。最後のロープの架け替えでは、待機していてくれた先輩に助けられ何とか地上に帰還できた。落ちてきたという岩は直径20cm位だった。もし誰かにぶつかっていたら大けがをしていただろう。

全ての片付けが終わり、先輩方々にご挨拶をすると「また出ておいで。マルチピッチをやろう」との言葉に感謝の気持ちが湧きあがり、感動の1日が終了した。

【CL追記】

5月にこのルートを個人山行で初めて訪れたとき、MRT講習を受講後、谷川などのいわゆる本チャン前の新人のトレーニングとして適していると思った。今回、初級アルパインとして組んだ山行だったので、山行記の執筆の方はまさにドンピシャだった。ロープワークの事前練習は、SLが対応してくれたので、CLとしては安心していた。

妙義はヒルも出なくなり、紅葉と岩峰の素晴らしい景色が見られた。

ATC(下降器、懸垂下降に使用)は、いつもは予備は持っていないので虫の知らせが働いたかと思う。でも、これがなくても他のギアを使って降りることができる。慣れないと怖いけど。

マルチピッチはドキドキも含めて楽しいよ。「また、一緒に登りましょう」



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