笠取山〜雲取山

振り返れば富士山

山行情報

日時:2024/09/29 ~ 2024/10/01 天候:曇りのち雨/雨のち曇り/晴れ時々曇り
ランク:C-C-9:40 参加:6名
山行担当:CL3452 SL 3440
記録担当:文責:3802, 3657, 3550 写真:3452, 3657, 3561

コースタイム

1日目
作場平11:10…一休坂分岐…ヤブ沢峠…笠取小屋…笠取山…水干…12:40笠取小屋(泊) 歩行時間:2時間40分 行動時間:3時間50分
2日目
泊地5:00…黒エンジュ…山ノ神土…将監小屋…飛龍権現…北天のタル…三条ダルミ…雲取山…16:10雲取山荘(泊) 歩行時間:9時間40分 行動時間:11時間10分
3日目
泊地6:15…小雲取山…七ツ石山…高丸山…鷹ノ巣山避難小屋…将門馬場…六ツ石山…絹笠山…六ツ石山登山口…14:50奥多摩駅 歩行時間:7時間30分 行動時間:8時間45分

コースマップ

記録日:2024/09/29~2024/10/01
合計距離: 70218 m
最高点の標高: 2016 m
最低点の標高: 306 m

山行記

1日目

雨予報により甲州クラシックトレイル(会山行)は中止となったが、CLからの後半行程アレンジ版の提案に全員の手が挙がり、個人山行実施となる。皆さんの歩く気満々の気合が感じられる2日遅れのスタートとなった。

塩山駅からタクシーで作場平へ。昼食後出発し、一休坂分岐までは予報どおり曇り空だったが、霧雨から次第に小雨に変わり、レインウエアの登場となった。沢沿いの森の中を歩いて、出発から1時間半弱で笠取小屋に到着。おじさんが、大きな薪ストーブでやかんのお湯を沸かして迎えてくれた。コーヒーを飲んでほっとした後、雨も小降りになったため、明日からのウォーミングアップと登山道の把握を兼ねて、笠取山に登ることになった。

途中の雁峠分岐近くの丘に標石があり、「荒川」「多摩川」「富士川」3河川の分水嶺になっているとのことで、改めて水源の地まで登って来たのだと感慨深く3方向を眺めた。笠取山山頂では、山梨県、環境庁によって山頂争奪戦が繰り広げられている感があり、以前雲取山で山頂を間違えた私は、念のため両方の山頂標識の前で写真を撮ることにした。下り途中には、多摩川138kmの源頭の地である水干(水乾(みずひ)とも言い、沢の行き止まりを指す)の前を通って小屋に戻った。

我々5人だけの貸し切り状態だったので、濡れた物を乾かしつつ、ランプの灯の下、薪ストーブを囲んでお酒・食事も進み、山談義にも花が咲いたが、翌日の長丁場に備えてほどほどで切り上げた。(文責:3657)



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2日目

霧に抱かれて静かに眠っていた唐松尾山は、多摩川流域の最高峰。その中腹の巻き道を行く。「涙果てなし雪より白い、花より白い」霧の中の少女に出会えそうな、「夢の中へ、夢の中へ行ってみたいと思いませんか?」。一瞬霧が晴れ山水画の世界。悠然として南山を見る、弁ぜんとしてすでに言を忘る…。忘れる?傘を忘れた!笠取小屋のストーブに干したまま。だけど行かなくちゃ、雲取小屋に行かなくちゃ。トントントン、与作~与作~、お山が呼んでいる。

将監峠に着くと降り出した。山の天気は猫の目のように気まぐれよ、タンゴタンゴ(甲斐武田氏の家臣で金山奉行の芦沢将監が、常にこの峠を利用して甲州と行き来していたことがその名の由来という)。

道は山の斜面を横断し、ところどころに木製の桟道がつけられているのだが、濡れていてよく滑る、つるつるだ。足を地球の中心に向かってそっと下ろすようにしながら、靴底の土踏まずの部分を桟道の横木にかけながら、一歩一歩進んで行く。体重を後ろに残したまま足を出してはだめだ。むしろ思いきって前傾姿勢のほうが重心は地軸に沿う。重心が横にずれてもすべって転倒、落下だ。胸の鼓動がどきどき、目先はくらくら、負けそう負けそう、きりきり舞いよ~、とならないための心の持ち方は無心、道元の身心脱落、沢庵の前後際断、今、ここのみ。

つるつる桟道をいくつ通り抜けたことだろう。チェーンアイゼンが必要だった。極度の緊張から解放され、やっと到着した(10時間30分)雲取山山頂では、富士山にも祝福されて5人は喜びを爆発させた。さらに雲取小屋ではスポット参加のOさんが出迎えてくれ、熱く抱擁し合って無事を喜びあったのである。(文責:3550)



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3日目

山行3日目の朝は昨日までの天気が嘘のような快晴。そして昨日までは5名だったが、昨日サプライズでOさんが雲取山荘から途中参加してくださり、6名の山行となった。6時過ぎ、準備運動と雲取山荘前での写真撮影を済ませてスタート。

当初は鴨沢バス停へ下る予定だったが、石尾根縦走路を行き、小ピークを取って奥多摩駅へ下山となった。天気が良いから気分は軽いが、私の足は昨日の疲れもあり、やや重い。歩き出しの巻き道はアップダウンがあり濡れていて滑ったが、巻き道を抜けた先は富士山や甲斐駒ケ岳、白峰三山、塩見岳などの南アルプスの名峰がバッチリ見え最高の眺望だ。その後ダンシングツリーと呼ばれる一本の木が現れ、写真に収める。

そして七ツ石山へ。「平将門」の従者七人が化身したという七つの岩が山名の由来の七ツ石山。その山頂付近に大岩を祀る「七ツ石神社」がある。ここには山神の使いであるオオカミ型をした狛犬が納められている。メンバーの中に、歴史に詳しい方がおられいろいろ話しをしてくださる。その後も会話が弾みながら進むも、高丸山のピークでは早くもヘトヘトだ。するとリーダーから、この先はピークは取らず巻きましょうと、私的には嬉しいお言葉。

鷹ノ巣山避難小屋で小休憩し将門馬場、六ツ石山はザックをデポしてピークを取ったが、ここで雨が降ってきた。今日もまたレインウエアを着込むのかと心配するも、お天気は何とか持ってくれたが、雲取山荘のお兄さんが「ポールのゴムキャップは外してもいいくらい滑るので気をつけて下さいね」と言っていた通りだった。樹林帯を下って行くと、木の間に掘られたような登山道はぬかるんでいたり、ザレていたりと、厳しい下りが延々続く。下りが苦手な私だが、皆も無口になり慎重に、しかしテンポは速くどんどん標高を下げて進んでいく。

かなり膝にきたが、石尾根縦走路の六ツ石山登山口まで出た時にはほっとした。お疲れ様でしたと声をかけあい、みんな笑顔になる。楽しくもあり、厳しい状況もあった2泊3日の山行だったが、とても思い出深いものだった。参加メンバーの中では未熟者で、ご迷惑をおかけした場面も多々あったが、大変良い経験をさせていただいたことに感謝。(文責:3802)

【CL追記】

「甲州クラシックトレイル」は山梨県の瑞牆山荘から金峰山、甲武信ヶ岳、笠取山、雲取山を経て東京都の奥多摩駅に下山するトレイルコースだ。4泊5日で計画したが雨のため中止に。諦めきれず後半部分の笠取山から雲取山まで、2泊3日の個人山行で実施した。初日と2日目の前半は雨。雨に濡れても皆笑顔で嬉しそう。先頭を歩くKさんの吹く笛の音、鹿の鳴き声、沢の音を聞きながら、雨に濡れ滑る木の桟道を何回渡っただろうか。大きなリュックを背負い黙々と歩く皆の後ろ姿はとても頼もしかった。一緒に歩く仲間がいる。その幸せを感じた3日間だった。



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