特集『仲間を作る』③テント泊入門

『仲間を作る』の第三弾としてテント泊入門を紹介します。

大倉滝沢園にて(期待と不安で緊張気味)

大倉滝沢園にて(期待と不安で緊張気味)

テント泊入門山行

(文責:GL3205Kuwata)

毎年人気のテント泊入門山行。今年は若手中心のメンバーとなった。昨年から各回12名の参加者と4名のリーダーからなる、16名体制で同じ山に2回登る。テント泊入門山行では食事、テント設営サポートの観点から、毎回4名のリーダーが必要となる。合計7回の山行があり、初回の滝沢園では多くの人が同時に参加するため、累計35名あまりのリーダーの参加が必要となる。その準備は昨年の10月からスタートし、「自分もこの入門山行を経験したから、テント泊山行ができるようになった。後輩の皆さんのサポートを通じて、会に恩返しをしたい」というありがたい意識を持って参加してくれるリーダーに支えられて成立している。

私にとって、このテント泊入門山行の一番の魅力は、このような素晴らしいリーダーたちと、再度一緒に素晴らしいテント泊山行ができることだと思っている。今回の入門山行を経験した人がやがてリーダーになり、後輩をサポートしてゆく。このような「サークルオブライフ」を通じて、会員間の結束、仲間意識が強まってくれれば、それに勝る喜びはないと思う。

大倉滝沢園キャンプ場(2023年4月22日~23日)

テント設営方法を学習

テント設営方法を学習

(文責:3901Hoshino)

①テント泊の魅力・期待~山旅の憧れの一つにお泊りの山歩き―小屋泊・テント泊縦走がある。どちらのスタイルも魅力的で、多くの登山者の憧れだ。今回、私がテント泊にこだわったのは「衣食住」すべてを自分で背負って、自然の真っただ中に身を委ねて歩く「自由感」。そんなものを体感してみたかったからだ。いや、そんななまやさしいものじゃないな、ときに風雨にさらされたり、夏山なのに寒さに震えたりと。自然に対峙したときの畏怖の念みたいなもの、そうした中に自身を置いて「冒険」をしてみたい、それがテント泊への期待だ。

②仲間作り・期待~今回、テント泊を始めるにあたり、ほぼすべての道具を一から揃えることになった。「入門」だから、参加者は原則として未経験者。たまたま同期SNS仲間が多数エントリー。ザックやシュラフ、そしてテントはどこのメーカー・ブランドがいいのか、情報交換が昼夜を問わず飛び交った。翌週には滝沢園キャンプ場での第一回が始まろうとしているのに、未だに揃えていない人もいる。でも、山ギア・グッズをあれやこれやと悩むのも楽しいんだよな。そんな日々を過ごすうちに、『同じ釜の飯を喰った』状態が自然にできつつあった。珍しい仲間の作り方だが、これが僕らにとっての第一歩だ。みろくは楽しい!

③感想~当日、いつもの大倉BS奥のあずまやに陣取る。月例の朝とはうって変わり、今日は笑顔がいっぱいだ。よそよそしさも無い。もうみんな「仲間」だから。早くも懇親会の話で盛り上がる者、仲間のニューザックを試しに背負ったりしてる者。自分も自然とテンションが上がるのを覚えた。事前練習の甲斐もあって、テント設営を無事に終える。そして、練習登山よりも「その後のイベント」が気になってどうしようもなかった。そう、お待ちかねの懇親会。リーダーさんを含め30人超が輪になった自己紹介も盛り上がる。時折入るCLのツッコミが絶妙。
あとのキャンプファイヤー&大宴会は、もはや書くまでもないだろう。そこかしこに酒と笑いの渦がいくつもできていた。リーダーさんとの距離も縮まる。いつもの反省会にはない「自由度」がそこにはあった。

自己紹介タイム

自己紹介タイム

金峰山・瑞牆山【1班】(2023年5月6日~7日)

瑞牆山登頂!

瑞牆山登頂!

(文責:3916Nakanishi)

山行予定日は不安定な天気予報でしたが、当日の天気は晴れ。気分良く家を出発しました。登山口で食当から食材を受け取り、ザックへしまいます。ザックの重量は17kgと重くなりましたが、楽しみが過ぎてテント場までの1時間は苦しく感じることなく「山行実施できて良かったね!晴れたよね!」と和気あいあい。楽しくおしゃべりしながら歩けました。

テント場は広く、平らな場所を探してリーダーのテントの側に決め、滝沢園や家で練習したおかげでみんなに遅れることなく設営完了。今日の私のお城ができました。みんなのテントを眺めながらお昼ご飯を食べ、アタックザックを準備。午後の瑞牆山へはザックが軽く感じて、いつもより楽に歩ける気がしました。天気も良くなり、山頂では八ヶ岳や南アルプスの山々が見え、みんなで写真を撮り合いワイワイしました。

下山後は、各班に分かれて食事の準備をしました。天気も良く風もない最高のコンディションで、みんなで賑やかな夕食です。食当は料理上手です。山行前に食事についていろいろと連絡を取っていたのでメニューはわかっていましたが、山の中でピザとかデザートまで作りました。私は「美味しい!」を連呼しながら食べてました。他の班の食事も見て周り、どれも美味しそうでした。次回の食当はハードル上がっちゃったなぁと思いました。夜中は雨の音で何度か目が覚めましたが、風も無く怖くなかったです。

翌朝は雨の中、テントを撤収することになりました。テント内で荷物を詰め込み、カッパを着て誰よりも早く撤収開始。なるべく早く作業して、ビニール袋へ入れて、最後はグーパンチでザックにグイグイ詰め込み完了。昨日よりも重く感じるザックを背負い、転倒しないよう気をつけて下山しました。金峰山へは行けず残念でしたが、仲間と協力しながら楽しいテント泊、雨の中での撤収と貴重な経験ができてよかったです。

金峰山・瑞牆山【2班】(2023年5月20日~21日)

金峰山制覇!

金峰山制覇!

(文責:3934Sekiya)

3年ほど前にテント一式を購入したものの、天候や諸事情で行くことができずお蔵入り。昨年の12月にみろくに入会し、はり切って説明会に行くも参加希望者が多くお断りメール。テントにはつくづくご縁がないと思っていたら、キャンセルが出て繰り上げ当選‼最後の1人に滑り込みました。

滝沢園での基礎体験を経て、いよいよデビューへ。山行は1班・2班に分かれていますが、今年の「テント泊入門」同期間での情報交換、班ごとでの事前打ち合わせを重ねて当日韮崎駅へ。重い荷物のため富士見平小屋まで50分のCTが長く感じられました。テントを設営して瑞牆山へ。あまり時間がありません。頑張る私(笑)。下山して夕食の準備。準備をしながら乾杯。おしゃべりしながら至福のひととき。

翌日は金峰山へ。5時朝食、6時出発。2日目は晴れて富士山、南アルプス、八ヶ岳が美しく、絶景に感嘆の声。下山してからテントの撤収をして、集合時間まで正味30分。撤収よりもパッキングが課題の私は荷物が入りません(汗)。

慌ただしい2日間でしたが、事前の打ち合わせから食事の準備、重い荷物を背負って歩く山道。共通の目的を持った仲間との一体感は貴重な経験だと思います。今回は夜空を見上げる余裕がありませんでした。実際に行ってみてわかることがたくさんあります。次回は今回の反省点を活かして、さらに楽しいテント泊山行になるよう邁進していきたいと思います。

権現岳【1班】(2023年6月10日~11日)

盛り上がってます

盛り上がってます

(文責:3868Terada)

「また雨か~」。すべてのメンバーが2日目の天気予報に落胆していた。それでも1日目は晴れスタート。リーダーの方々のご配慮で、権現岳を1日目に登ることになった。まずはテント場のある青年小屋まで3時間、15kg前後を背負って登る。3回目ともなると”参加者”は”仲間”になっていた。

登山道をワイワイしゃべりながら歩き始めた。さすがに後半はちょっと傾斜がキツくなると無口な集団となったが、テント場に着くや、慣れた手つきでテントを張り始めた。重い荷物をテントに置いて、いざ権現岳へ!途中、切れ落ちている箇所でリーダーから集中するよう指示された以外、メンバーは会話と周りの風景を楽しみつつ、身軽に登る。次回に登る赤岳も雲の切れ間から姿を見せ、テンション上昇!権現岳の頂上を堪能したあと、頭の中はビールでいっぱい。それでもテント場まで慎重に戻る。

テント場に戻り、全員が大きなテーブルを囲んで夕食。2日目は下山するだけと決まっていたので、今回もアルコールが尽きるまでリーダー・仲間とのおしゃべりは続いた。

2日目は予報通りの雨。仲間同士が助けあって、前回とは比べ物にならないスムーズさで雨中の撤収を終えた。下山も含め、だいぶ雨に対する免疫ができた。今回食事当番だったI君が腰痛で急遽参加を断念し、往路のあずさ1号の時間に合わせて八王子まで食材を届けに来たハプニングもあったが、最後の赤岳は全員で完登したいと心から願って家路に着いた。

 

権現岳【2班】(2023年6月17日~18日)

赤岳をバックに

赤岳をバックに

(文責:3595Iwamuro)

前回に続く好天の中、テント泊山行入門も3回目を迎え今回は権現岳へ登る。幕営地である青年小屋の標高はいよいよ2,000mを超え、その分アプローチも当然きつくなる。好天が逆に災いとなりそうな気温の中、重いザックを担いで登る行程に、皆一様に不安を感じているようだ。出発前にザックを計量し、憂いはその数字ではあるが、意を決し登山を開始する。次回からはビールは山小屋で調達することを決意する中、3時間・累積標高差800mを登り切り青年小屋に到着。

思いのほか、混雑したテント場になんとかスぺースを確保し、早々にテントを張る。準備が済んだら、一杯飲みたい気持ちを抑え、編笠山へ向かう。裾の部分が巨岩で覆われ、上部が樹林帯の珍しい山だ。山頂は360°の絶景を堪能できる素晴らしい展望台である。

下山後、リーダーとハイタッチで本日の健闘を称えあう。水汲みから戻り、夕食作りの体制を整えたらまずは乾杯、そしていよいよ食事作りである。今回は食事担当で、2 週間前位からメニューについて悩み、自宅で試作などしていた。そのかいあって無事(?)役割を果たせたと自己満足し、安堵により酒が進む中、好天の長い日もすっかりと暮れていった。

翌日は快晴の空の下、6時に権現岳へ向かい登山開始。アタックザックなので足取りも快調である。樹林帯を抜け、ザレた登りのあと岩稜帯へ。ここからは集中し、三点支持で慎重に登る。岩が脆く、落石にも最大の注意を払う。岩場の登りやトラバースは鎖も使用し、安全に登ることができた。権現岳山頂は足場も悪く狭いため、全員での記念撮影はできず、短い時間の滞在であったが満足度は計り知れない。聞こえてくる、「控えめに言って最高!」との言葉に深く同意した。

下りは登りより更に慎重に、全員無事テン場へ帰還した。安心も束の間、撤収は20分厳守、みな必死で片づける。全員、なんとか時間内に集合し下山開始。個人的には怪我から完全に復調していない足首が悲鳴をあげ始め、観音平駐車場へのこの道程が一番辛く感じることとなった。下りのストックの使用を今後の課題とする。小淵沢駅で解散後、ビールで乾杯し最高の山行を締めくくった。

赤岳(2023年6月24日~25日)

憧れの赤岳山頂

憧れの赤岳山頂

(文責:3757Hatakeyama)

午後2時前。行者小屋のテント場に着くと、色とりどりテントが張られ、テーブルも食事をしたり歓談する人で埋め尽くされていた。悪天候のため、毎回テント場が貸切状態に近かった私たち1班にとって、初めて眼にする賑わいぶりだ。班ごとにまとまってテントが張れるようにCLがスペースを見つけて指示を出す。私の班は小屋の近くの平らな所。青年小屋の平らな所で水没していた他のパーティが頭をよぎる。CLのアドバイスで避けるべき場所を避け設営し、霧が覆う山々を見上げて「降りませんように」と祈った。

まだ日は高いが宴会と夕食開始。やがて霧は晴れ、明日目指す赤岳が姿を現した。「登れるかな?心配だ」そう言いながらも、みんな満面の笑顔で大はしゃぎだ。楽しくて仕方ない!何枚も写真を撮る。薄紅の空、満天の星空を楽しみ、早めに就寝。明日は早起きだ。初めて雨音のしないテントの中で、気持ちよく眠る。時折頭を出して星を見ながら、幸せすぎると思った。

翌朝は念願の晴天!モルゲンロートを見ながら朝の支度。トイレの行列は著しかったけれど、5時半集合、出発!踊る気持ちや緊張感を胸に山頂を目指す。太陽の光を浴びながら歩く幸せ!ずっと浮かれているけれど、岩場やハシゴは慎重に登る。地蔵ノ頭でお地蔵様に感謝を伝える。遠くに見えるアルプスの美しい山々、足元を埋め尽くすような雲海、その雲海に浮かぶように在る富士山!みんなで願った登頂の思いが叶っただけじゃない。ご褒美だらけだ!感激で滲んだ涙をサングラスを少しあげて、拭った。山頂への急登、山頂から文三郎尾根への道のりは集中力を切らさないように気を張って歩いたが、殆どの時間を笑顔で過ごした。

自分にテント泊ができるのかと不安だったけれど、今回出会ったばかりとは思えないほど、沢山の仲間に支えて貰った。仲間のために、私もできることはしたいと強く思った。そんな風に思える仲間ができたことで、私の心にもこの日の太陽の輝きが与えられたような気がした。全てが輝いて見えた最終回、赤岳。入門は最終回だが、リーダーから学んだことを胸に、仲間と共に次を目指す新たな出発点だ!