仙丈ヶ岳(雪山)
山行情報
日時:2025/01/10 ~ 2025/01/13 天候:晴れ/曇り時々雪/晴ランク:D-D-11:00 参加:14名
山行担当:CL3632 SL3256
記録担当:文責:3935, 3950 写真:3999, 4010
コースタイム
1日目
海老名駅15:00≡18:00南アルプス林道バス駐車場で仮眠(泊)
2日目
南アルプス林道バス待合所6:00≡地蔵尾根駐車場6:45...13:00松峰小屋(泊) 歩行時間:5時間15分/行動時間:6時間15分
3日目
泊地6:30...11:30森林限界...14:50松峰小屋(泊) 歩行時間:7時間20分/行動時間:8時間20分
4日目
泊地6:30...11:00地蔵尾根駐車場 歩行時間:3時間30分/行動時間:4時間30分
※≡マイカー移動
コースマップ
記録日:山行記
1日目
みろくに入会し始めての3,000m雪山に応募したが、届いた計画書を見ると総勢14名の中に錚々たるリーダーの方達のお名前が…。自己の体力に不安を抱えつつ、年末より準備を開始した。
当日は15時、海老名駅に12人が集合し、3台の車に分乗して南アルプスへ向け出発。2名は遅れて合流。明日からの登山に向け早々に食事を済ませ、21時には全員寝床についた。(文責:3935)
2日目
朝6時ごろに登山口へ向けて4台の車で移動開始。いざ着いてみると駐車場が埋まっており、スペースが見つからない! 何とか奥へ進んだところに駐車場所を確保し、登山の準備を開始した。共同装備の分担を受け、すでにパンパンに膨らんでいたザックに無理矢理詰め込んで担ぐと、今までにない重量感! ついて行けるのか? 膨らんできた不安を押し殺し、7時前に歩き始めた。今日の泊地となる松峰小屋までは約980mの高低差、計画では6時間歩行の予定だ。
天気は良く空は真っ青、途中の林道から中央アルプスの山並みが望まれ、疲れを癒してくれる。約1時間歩いたところから雪が付き出し、標高が上がるにつれ厚みが増してくるが、今日はつぼ足で通すとのこと。雪がサラサラの新雪で、踏んでも全く固まらないため、足が滑る。後ろからキックステップができていないとリーダーからの注意。約1時間ごとに休憩を入れながら、何とか松峰小屋へ行く分岐まで辿り着いた。小屋はここから30mほど下ったところにあり、小さい小屋のため、先行者がいると泊まれない。リーダー2名が偵察に行き、誰もいないことを確認して皆で小屋へ。
予定通り6時間、13時ごろに無事に小屋になだれ込み、いざテント4張を張ったは良いが、通路を挟んで2面ある床の内、片方が傾いている。これでは料理も寝るのも難しいため、1張は外に張ることに。平地がなく雪も柔らかいため整地に時間が掛かったが、14時ごろにようやく設営が完了。酒や食事を取りながらリーダーとの会話を楽しみ、まったりとした時間を寝るまで過ごした。
夜も更けて明日はいよいよ頂上へ。アタック用に荷物が減らせるとはいえ、明日も高低差1,000m、往復11時間の予定。好天が期待できず身体の疲れが溜まったままだが、「南アルプスの女王」仙丈ヶ岳の頂に想いを馳せ、眠りに着いた。(文責:3935)
写真をクリックするとスライドショーになります。
- 車で登山口に到着。入念に出発の準備
- 登り始めは、雪のない登山道の歩き
- 気温は氷点下ですが、登っているとあっという間に熱くなり、皮はぎタイム
- 登山道が雪で覆われ始めました
- 本日は快晴。素晴らしい中央アルプスの山々の眺め
- あれはどこどこの山、こっちはあの山だよねーと、みんなで素晴らしい雪景色を鑑賞
- 樹林帯の雪山を歩く。キュッ、キュッと雪の音を感じながら歩を進める
- 白と黒のモノトーンの樹林帯とスカイブルー
- 見上げると、樹林とスカイブルー
- 仙丈ケ岳ブルー(?)と登山道
- 休憩を取りながら進む
- 仙丈ヶ岳ブルーのもと気持ちよく歩く、サイコーの雪山日和
- 松峰小屋に到着
- 小屋内に、テント3張り
- 屋外へテント1張り
3日目
4時に起床。避難小屋内に張った我々のテントは下の床が傾斜していて、寝ていると身体がずり下がり、夜中格闘していた。睡眠不足気味だが、まず昨晩の鍋を雑炊にして食してから、入念に準備する。6時過ぎに隊列を組みヘッデンをつけ出発。
私にとっては大昔(1968年3月)、高校山岳部の春山合宿で別ルート(北沢峠)から登って以来、実に56年ぶりの仙丈ヶ岳だ。歩きながら“南アルプスの女王”の白銀の姿への期待と、“この歳で登れるのか?”という不安が胸中を交錯する。
とにかく、黙々と樹林帯の中の雪面を登る。トレースは明確だが、だんだん傾斜も出てくる。地蔵岳を越える前には明るくなるが、予報通り曇天だ。ときたま他パーティーのテントが張ってある。このあたりまでテントを上げておくとアタック日は楽になるが、前日がきつくなる。難しいところだ。
丸山の頭をトラバースする前あたりからは時々急登が出てくるが、下る部分もあり、帰りの登り返しが気になる。途中他のパーティーともすれ違うが、20代から30代の若い方が多い。ただ冬の八ヶ岳あたりとは感じが違い、見るからに“山屋”風で重装備の人が中心。ここは本格派の世界なのだ。
出発して5時間弱経過すると、周りはダケカンバが増えて、高度が上がってきたと感じる。気温が低く雪が粉雪状態で足場が定まりにくく、体力を消耗させられる。心なしか隊列の進行スピードも少し落ちてきたようだ。おまけに風も出てきて、雪がちらつき始める始末。風対策の指示が出て、目出帽をかぶり、ゴーグルをつける。
右上方に見える開けた雪の稜線を目指して懸命に登っていくと、森林限界を抜け雪と曇り空だけの世界に出た。全員が集まったところで、CLから“今日はここまで。下山する”の言。標高2,700mあまり。あと山頂まで300m程度の高度差があり、時刻は11時過ぎ。これから山頂を狙うと、登れたとしても帰りは途中で暗くなり危険ゾーンだ。当然の判断と納得して下山にかかる。
下山も長い。一歩一歩慎重に下りなければいけない急なところもあるが、緩傾斜のところや登りも出てきて延々と続く。途中、低温の影響か遅れ気味のメンバーも出てくるが、CL、SLがしっかりサポートしながら下山を続行。なんとか集中力を切らすことなく、15時前に松峰小屋まで無事戻ることができた。
テントに入り込み、コンロをつけ暖かいものを飲み、ほっと一息つく。改めて冬山に来ていることを実感する時間だ。(文責:3950)
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- 早朝、仙丈ヶ岳へアタック準備。それぞれが期待と不安の中、静かに熱い思いを胸に込めている(はず)
- ムムム、太陽の光がちらり。天候はあまりよくない予報であったかと思うが、晴れてくれるのか
- 休憩を取りながら、一歩一歩
- 雪深い登山道を進む
- 樹林帯から遠くの山々を望む
- 急登を行く。先頭を交代しながら、雪深い登山道を踏み固めて進む
- 休憩を取りたいが、止まっているとあっという間に寒くなる
- サラサラの粉雪に覆われた世界。残念ながら、太陽は隠れてしまったようだ
- 防寒対策をフルスペックにして、稜線に出る
- 樹林帯から稜線へ出る。標高2,700m付近。雲に覆われた白い世界
- 稜線までたどり着きました
- 稜線は少々強い風
- リーダーは、この先進めるかの判断。天候が良くないこと、下山が遅くなることから、ここで引き返すことに。ピークへは、次の機会に
- みんなで、ここまで登れたことの達成感を味わう
- テント内食事。暖かい鍋で、身体を休める
4日目
今日は下山。昨日と同じく4時起床。テントを撤収し、6時半過ぎに再び重荷を背負って出発。今日は昨日とは打って変わって天気は良さそうだ。
朝一番の松峰小屋から地蔵尾根の稜線までの短い登り返しがきつい。その後は緩やかな登りもあるが、しばらくしてから雪で覆われた林道を歩く。林道が途切れ、微妙な下りも多少出てくるが、とにかく延々と歩かなければいけない。
途中の休憩ポイントで、中央アルプスの白い稜線を遠望できるところがあった。気分爽快!そして下るに従い寒気が緩んでくる。あとワンピッチもかからないだろうという地点で、アイゼンを外す。そのうち雪もなくなり、なつかしい地面が出てくる。土の香りもいいものだと思い始めたら、じきに柏木登山口に着いた。皆でハイタッチをしながら無事下山できた喜びをかみしめる。CLからは“また山に行きましょう”との言葉。今回は頂上までは届かなかったが、久々に重厚な冬山を満喫することができ、大満足だ。
このコースはとにかく長い。3,000m級の山頂まで一気通貫に長大な尾根を登るコースとして、例えば剱岳の早月尾根が有名だが、登山口馬場島から往復14㎞。ここ仙丈ヶ岳の地蔵尾根は登山口から往復25㎞。CL、SL、そして多くの区間で先頭に立ちリードされたFさん、大人数を率いて本当にご苦労様でした。(文責:3950)
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- テント撤収。下山の準備
- 登ってきた登山道を戻ります
- 樹林帯から遠くの山々を望む
- 本日も晴れ。登ってきた時に眺めた中央アルプスをまた鑑賞。人も少なく静かで落ち着きます
- 仙丈ヶ岳山行も終盤。ここまで歩けたことにホッと一息。最後まで気を抜かぬように
- 最後にケガなどせぬように、慎重に下山
- アイゼンを外す
- 登山道の雪も少なくなってきました
- 全員無事に下山。登山口の気温は0℃くらいですが、雪山から下山してくると温かく感じます