室堂から新穂高温泉(ロングトレイル)

ようやくたどり着いた薬師岳山頂

山行情報

日時:2023/07/31 ~ 2023/08/05 天候:概ね晴れ
ランク:C-D-10:00  参加:5名
山行担当:CL3519 SL3630
記録担当:文責:3519 写真:3630

コースタイム

1日目:室堂~一の越山荘(50分)
2日目:一の越山荘~五色ヶ原~越中沢岳~スゴ乗越小屋テント場(9時間35分)
3日目:スゴ乗越小屋テント場~北薬師岳~薬師岳~薬師岳山荘~薬師峠テント場(6時間30分)
4日目:薬師峠テント場~薬師沢小屋~雲ノ平山荘~雲ノ平テント場(6時間20分)
5日目:雲ノ平テント場~祖父岳~鷲羽岳~三俣蓮華岳~双六小屋テント場(8時間05分)
6日目:双六小屋テント場~鏡平山荘~ワサビ平小屋~新穂高温泉(5時間10分)

コースマップ

記録日:2023/07/31~2023/08/05
合計距離: 56158 m
最高点の標高: 2928 m
最低点の標高: 1090 m

山行記

今回の山行について

今回は、北アルプス立山の玄関である室堂から五色ヶ原・薬師岳・雲ノ平・鷲羽岳・双六岳を経由して新穂高温泉まで総距離54㎞を、テントを担いで登攀するちょっとハードな山行に挑みました。極力軽量化を意識したものの、それでも17~18㎏のリュックを背負い急登・トラバースをクリアすることは大変でした。

幸い天候にも恵まれ全員ほぼ予定通りのタイムで山行を実行できました。中でも、雲ノ平祖父岳山頂からの360度のパノラマ景色は圧巻でした。また、スタート時にはるか彼方に微かに見えた槍ヶ岳が徐々に眼前に迫る臨場感も満喫しました。 



1日目【7月31日】

早朝、東京駅7:20発「かがやき503号」に乗り込み、9:30に富山駅に到着。電鉄富山駅から電車で立山駅、ケーブルで美女平、バスで室堂に到着したのはほぼ昼頃だった。 

相変わらず室堂は外国人の団体観光客を含め人が多い。その中、立ち食いそばでお腹を満たし、有名な「立山玉殿の湧水」の補給に行ったところ、わが仲間のみろくの4名に遭遇。4名は山行も終わりこれから下山するとのこと、一緒に記念写真を撮った。 

初日の山行は一の越山荘までのたった50分、しかも山小屋泊なので気も軽く、到着後さっそくビールで乾杯。 



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2日目【8月1日】

この日が実質山行初日、スゴ乗越までのコースタイムは10時間30分の長丁場。しかもアップダウン・ガレ急斜面も多く、最近鬼岳周辺で滑落事故があったので注意するようにとの情報、いきなり今回の山行の正念場だ。

朝靄に覆われた5時前に出発。浄土山南鋒から鬼岳に向かう登山路には雪が残っている所が2ヶ所あった。鬼岳から獅子岳に向かう途中には展望の良い所があり、左側には遠く黒部湖が臨める。その向こうには針の木岳がそびえたっている。黒部湖は思いのほか細長い。獅子岳を過ぎるとガレ場の急斜面が続き、スリップに注意しながら下る。その先ザラ峠に向かう途中の岩場で突然貴重な物を見た。ブロッケイン現象である。我々の影が丸い虹の中に浮かんでいる。思わず手を合わせたくなった。 

しばらく歩くとザラ峠に到着。佐々成政が厳冬期にこのザラ峠を越えて徳川家康に会いに行ったとの伝説の道だが、本当だろうか? ザラ峠を越えると五色ヶ原である。4時間強で五色ヶ原に到着したが、ここから先が長い。五色ヶ原から越中沢岳まで2時間半強、その間の記憶はあまりない。写真もない。越中沢岳頂上でバンザイをしている集団の写真があるだけ。本来は展望の良い場所なのだが雲がかかり眺望はイマイチだった。越中沢岳からスゴ乗越小屋までも長い。しかもそれまで以上にアップダウンが続く。へろへろになり、スゴ乗越小屋に着いたのは15時だった。テント場は小屋からも近く便利。ただし、それほど広くはない。 

今回の山行で私が勘違いしていたことがある。2日目の山行は、時間は長くなるがもう少し稜線歩きを堪能できると思っていた。ハードな一日であった。 



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3日目【8月2日】

前日の長時間山行とは異なり、この日は余裕のある行程。とは言うものの薬師岳までは、ほぼひたすら登り。北薬師岳手前から岩稜帯が続きそのうえ細尾根のため滑落注意の場所が続く。 朝5:30スゴ乗越を出発。天候晴れ、眺望も期待できる。6:50間山到着。眺望も素晴らしい。間山からは薬師岳に向かう稜線がはっきり見える。北薬師岳手前では、左前方には雲ノ平、その先には槍ヶ岳・穂高連峰の山並みもよく見える。期待以上の素晴らしい眺望。しかし、ここから岩稜帯・細尾根が続き慎重に歩く。

8:50北薬師岳到着。いったん北薬師岳を下り薬師岳に向かう。10:20薬師岳山頂到着。山頂の社が真新しくなっていることに驚いた。また、ここまで来ると一気に人が増えた。さすが百名山の人気は違う。しばし恒例の写真撮影タイムに時間を潰す。

11:20薬師岳山荘に到着。昼食タイムはやや伸びたラーメン。薬師峠テント場には13:00に到着した。 薬師峠テント場には水量豊富な水場があり、缶ビールの販売もしていた。



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4日目【8月3日】

5:40薬師峠テント場を出発。 20分程歩くと太郎平小屋。素通りして薬師沢小屋に向かう。この日も天候は晴れ。湿原エリアまでほぼ下りだが、登山路はよく整備されている。湿原に入り渡渉の後7時頃ベンチのある場所で小休止。その後も何回か渡渉の後8:20薬師沢小屋に到着。薬師沢小屋の水は最高。冷たいフルーツポンチの缶詰も美味かった。この日の正念場はここから。

まず目の前の狭い高い揺れる吊り橋を、内心ビビりながら対岸へ渡った。そこから2時間半の急登が始まる。北アルプスの3大急登は有名だが、薬師沢小屋から雲ノ平に向かう登山路はそれ以上の急登だと思う。私は4年前に雨の中で滝のようになったこの急登を登り、「二度とこんな所は登るもんか」と思ったものだが。しかし、日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平の一端に出てみると一変。なんと素晴らしい場所なんだろう。なんでこんな場所があるんだろう。それは雲ノ平山荘に到着し、昼食に台湾風チキンライスを食べ(うまかったあ)、横のテラスに座りビール(私は檸檬堂の塩レモン酎ハイ)を飲みながらまったりと周りの山々を見ていると時間を忘れるほどであった。雲ノ平山荘で長い時間を過ごしテント場に向かった。 



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5日目【8月4日】

5:30雲ノ平テント場を出発。この日は祖父岳から鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳を経由し、双六小屋テント場まで。 まず祖父岳に向かうが、山頂に向かう登山路は岩場。逆光のため登山路がわかりづらい。案の定、右にそれてしまい、途中トラバースする羽目に。時間をロスってしまった。また、祖父岳を甘く見てはいけない。それなりに時間はかかる。そのかわり山頂からの景色はナンバーワン。360度パノラマ。北は大きな薬師岳、西には黒部五郎、南は鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳、その向こうには槍・穂高、東には水晶岳。そして、それらの山に連なる稜線。これ以上の場所はない。

祖父岳から岩苔乗越・ワリモ岳から9:20鷲羽岳に到着。鷲羽岳山頂の標識と槍ヶ岳と記念写真を撮り、一気に三俣山荘へ下山。 次の目標は三俣蓮華岳経由で双六岳に向かい、双六岳から天空の散歩道の向こうに浮かぶ槍ヶ岳を見ることだったが、雲行きが怪しくなってきた。槍ヶ岳が消えてしまっただけでなく、黒っぽい雲がわき始めてきた。雨が降り始める前にテントを張らなければならない。

14:30双六小屋に到着。双六小屋の昼食オーダー可能時間は15時までなのでテントの設営を急いだ。ギリギリセーフでおでんにありつけた。テントに戻るとすぐに激しい雷雨となった。ここもギリギリであった。 



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6日目【8月5日】 最終日

最終日は、無事に新穂高温泉まで下山して風呂に入りバスに乗ることが目標。 5:40テント場を出発。槍ヶ岳・穂高連峰の山並みを眼前に見ながら、緩やかなアップダウンを繰り返す。そして笠ヶ岳からの合流地点から鏡平山荘に向け一気に下る。

7:25鏡平山荘到着。ここの名物はかき氷。やはりかき氷はうまい(極楽極楽)。その後、ちちぶ沢等、幾つかの休憩ポイントをすっ飛ばしワサビ平小屋までノンストップ。10:00ワサビ平小屋到着。ここまで来ればもう大丈夫。ここにはキンキンに冷えたトマト・きゅうり・りんご・オレンジ・バナナがある。11:30新穂高温泉のお風呂(中崎山荘)に到着。枝豆・ざるそば・そして生ビールで祝杯をあげた。 

最後に痛恨のミス。13:40発松本行きの特急バスに乗る予定だったが、そのバスはこの日は無かった‼ 急遽13:48発のバスに乗り平湯温泉乗換で松本に向かった。これで一気に松本駅でのあずさ乗換時間がギリギリになった。更に悪いことは重なるもので、その日は松本駅周辺でフェスティバルをやっているため交通規制があり(万事休す)、バスも大幅に遅延。次のあずさに変更となった。

ヤマレコの記録では、歩行時間42時間、距離54km、登り4,100m下り5,400mであった。



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