大佐渡トレイル(新潟県人会)

金北山山頂にて

山行情報

日時:2021/10/22 ~ 2021/10/24 天候:1日目:晴れ 2日目:曇り 3日目:晴れ
ランク:A-B-6:00 参加:29名
山行担当:CL3376 SL2569,2284,2731,3524
記録担当:文責:3747,3337,3169 写真:3524

コースタイム

1日目:東京駅 7:04…新潟駅…新潟港 11:30…12:37 両津港 13:00…13:50 ドンデン山荘 14:10…尻立山…15:20 ドンデン山荘

2日目:ドンデン山荘 7:40…金北縦走路入口…アオネバ十字路…9:15 マトネ 9:25…10:40 真砂の峰10:55… 天狗の休場 …13:00 役行者 13:10…14:10 金北山 14:20…15:45 白雲台 16:00… しいざき温泉 あおきや

3日目:しいざき温泉 あおきや 8:00…9:00 北沢浮遊選鉱場 9:20…9:30 佐渡金山 10:30…11:00 妙宣寺 11:30…11:35 大膳神社(能舞台)11:55…12:50 トキの森公園 14:10…14:30 両津港 15:30…16:40 新潟港 17:00… 新潟駅 17:20

コースマップ

2日目のコースマップ

山行記

1日目

10月22日、総勢29人は東京駅7時4分発の「とき303号」に乗車し新潟に向かう。新潟駅からはバスで新潟港のジェットフォイル乗場まで15分ほど。佐渡の両津港へは1時間強の船旅である。小雨のパラつく東京とは打って変わった好天。どこまでも続く青い海と空。カモメまでが私達を歓迎しているようだった。

宿泊先のあるドンデン高原では、かつて牛が放牧されていたとのこと。山荘からの眺めは素晴らしく、眼下には両津湾と加茂湖そして国中平野が見渡せる。山荘に荷物をデポして30分ほど登ると尻立山の標識と芝生の爽やかな高原が広がり、尖閣湾と遥か向うには明日登る金北山が望まれた。ネットの情報では樹林、ザレ場、芝草原、奇木、変木と変化に富んだコースらしい。ただ、稜線の右側はシベリアからの季節風で樹木の生えないザレ場が数ヶ所存在するとあったが、今は秋。シベリアおろしの風で身の危険を感じるほどの山行になるなど、この時には思いもしなかった。

(執筆者 3747)



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2日目

今日は大佐渡トレイルのハイライト、島北部・大佐渡山脈の稜線を歩く7時間コースだ。窓を開けると、前日とは変わって濃いガスに覆われ、大粒の雨も降っている。決行できるか不安がよぎる。すかさずスマホで気象確認。午前中には回復傾向とあり、後はリーダーの勇断を期待するしかない。朝食もそこそこに、リーダーから集合の声がかかる。その時だ。突然窓から光が差し込んでくるではないか。雨も小降りになってきた。リーダーの「今日は決行します」との言葉に「はるばる佐渡まで来てよかった」と意を強くする。

7時40分ドンデン山荘をスタートし、9時過ぎには稜線の起点となるマトネに到着。一気に視界が広がり、左手は国中平野、右手は遠くに日本海が望まれた。そして稜線のはるか彼方には、目指す金北山が悠然と構えていた。

すぐに小さな樹林帯に入っていったが、ほどなくザレ場の稜線に出た。ところが、である「何だ!こりゃ~」。物凄い風が日本海から吹きつけてくる。直ぐに収まる気配はなさそうだ。思わず体を屈め低姿勢で少しずつ前進していく。N氏のザックカバーが吹き飛んだ。でも誰も追いかけようとしない。というより簡単に動けないのだ。本能だろう、突風時に我々1班は皆で体を寄せ合い、腕も組んで吹き飛ばされないことに専念した。ザレ場と樹林帯の通過を繰り返し、スタートから6時間強。14時10分にようやくレーダードーム(北朝鮮への監視用?)が立ち並ぶ金北山山頂に辿り着いた。リーダーが握手を求めてきた。全員と交わすその光景に胸がジ~ンときた。いつの間にか強風も収まり、帰りのコースはなだらかな林道を下って16時前には全員ゴール地点に到着。多分、神様からのご褒美だろう。佐渡にあるとは思わなかった温泉と日本海の幸に、29人の笑顔が輝いていた。

(執筆者 3337)



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3日目

最終日は観光地巡り。ホテルからバスで北沢浮遊選鉱場跡へ。浮遊選鉱という鉱物を取り出す工法を採用した施設で、東洋一を誇ったという。現在は苔や植物が生い茂り、まるで「天空の城ラピュタ」のよう。佐渡金山では坑道跡を地下へ。当時の採掘作業を再現した人形がリアルに動く。手彫りの坑道は暗いうえに湿度が高く、作業の厳しさが偲ばれた。キラキラの金箔ソフトクリームの美味しかったこと。

トキの森公園では飼育ゲージの中のトキに会う。赤い顔と長いクチバシが特徴で、羽を広げると「トキ色」呼ばれる淡いピンク色が鮮やかに見えた。保護センターで毎年、野生復帰のための放鳥が行われ、佐渡の空に美しい姿が見られるようになったそうだ。両津港へ向かうバスの窓外では、4羽のトキが別れを惜しむように羽ばたいてトキ色を見せてくれた。

(執筆者 3169)



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【CL追記】

佐渡は本州で最も大きな島で、新潟県内の海岸に立てばどこからも、40キロ程沖合に大きな島影が見える。比較的温暖で自然豊かな島ではあるが、年間を通じて日本海からの強風や荒波により、時折船が欠航する。大勢のメンバーと共に渡るには、近くて遠い島である。

今回の山行でも直前まで時化のために欠航が続き、予定通り山行が実施できるか予断を許さない状態であったが、幸い天候が回復した。大佐渡山脈の縦走においても、日本海からの強風に悩まされたが、互いに力を合わせ全員無事下山することができたことは、メンバー全員の協力の賜物と感謝したい。

また、佐渡は歴史の香り豊かな島でもある。島流しとなった日蓮聖人や順徳上皇、世阿弥などが京文化をもたらした。江戸幕府を支えた佐渡金山とともに、由緒ある寺や能楽堂など、歴史に触れる島巡りを楽しみ両津港を後にした。