槍ヶ岳北鎌尾根(雪山)
山行情報
日時:2023/04/30 ~ 2023/05/04 天候:晴れランク:D-D-12 参加:4名
山行担当:CL3632 SL3256
記録担当:文責:3420 写真:3632, 3256, 3626, 3420
コースタイム
1日目
上高地12:10…12:55明神13:10…14:00徳沢園(テン泊)
2日目
徳沢園5:45…6:45横尾6:55…8:35槍沢ロッジ9:00…10:35大曲10:50…12:35水俣乗越12:55…14:25北鎌沢出合(テン泊)
3日目
北鎌沢出合4:50…8:10北鎌のコル8:25…10:35天狗の腰掛10:40…14:40独標14:55…16:20次のピーク(テン泊)
4日目
泊地5:55…12:35北鎌平12:40…13:35槍ヶ岳13:55…14:30槍ヶ岳山荘15:00…16:20大曲…17:30槍沢ロッジ
5日目
槍沢ロッジ6:30…10:00明神…11:00上高地
コースマップ
記録日:山行記
はじめに
残雪期の北鎌尾根を計画したのは2019年だったが、2020年はコロナ緊急事態宣言下で自粛、2021年は北アの天気悪く南ア鋸岳に変更、2022年は水俣乗越で膝のラッセルのため東鎌尾根に転進、今年ようやく北鎌尾根を歩くことができた。
1日目
水俣乗越の登りが楽にできるように、徳沢まで入る。
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- 上高地。明後日の朝の寒気に備えて少し厚着。ロープワーク中は少し寒いくらいでちょうど良かったが、日なたの歩行は暑かった。この時期の服装は難しい
- 河童橋から岳沢方面。前日の大雨もあり、雪少ない
- 明神館前
- 徳沢園の夜
2日目
水俣乗越の取付きからずっとトレースはなかった。乗越から下りる沢はデブリだらけ、雪解けが早く天上沢は水が流れており、北鎌沢出合も水作り不要だった。
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- 水俣乗越にいざ出発。明け方は氷が張り、槍沢一ノ俣手前の木橋にも氷が張っていて怖かった
- 前穂北尾根
- 槍見河原からの大槍
- ババ平。トイレは使えるが、水場は未だ雪の下
- 水俣乗越の取付き。中央左の広めのコルが乗越
- 少しずつ傾斜がきつくなる。昨年は膝のラッセルで東鎌尾根へ転進したが、今年は楽
- 乗越着。風をよけてレスト
- 天上沢へ下降開始
- 乗越を見上げる
- 槍と北鎌尾根が見えてくる
- 北鎌沢出合。テントサイトはいくつかある
- 北鎌沢全景。翌日の出発に備えて、雪渓に開いている穴や厚さ・硬さの確認。雪渓を登って行けそうだ
3日目
デブリと鉄砲水にえぐられた北鎌沢を登る。北鎌のコルは遠かった。出発前は、北鎌のコルに着く頃は気温低く風強く新雪も予想されたが、好転したらしく、気温・風とも上々だった。
いよいよ始まる北鎌尾根。まず天狗の腰掛に向かう。独標は大きく、どこを登るのかあるいはトラバースなのか分からない。近づくとルンゼに立ち木があり、写真で見覚えのある場所だった。ルンゼの雪壁を登り始める。支点がどこにあるか分からず短く切り、結局4ピッチになった。
陽に光る雪壁を登りピークへ。コルから次のピークへは、残置スリングのある中段からトラバースして1ピッチの後、雪壁を登る。時間が遅くそこのピークでテン張ることにする。本日は微風である。槍を前にした極上のテントサイト。天気が良く、周りの山々が良く見えた。しかし、まだ始まったばかり、緊張は続く。明日はどこまで行けるだろう。
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- 北鎌沢出発。事前の気象情報ではかなり寒い予想だったが、好転しているようで寒くない
- 見えている鞍部が北鎌のコル。後半の登りは結構大変だった
- 独標を左に見て、天狗の腰掛に向かう。ラッセルはない、うれしい。トレースもないが
- 雪がグズグズ。歩けるところを行く
- 天狗の腰掛。遠くまでよく見える。中央の奥に水晶、その左の大きいのが鷲羽
- 一つ目のピーク、天狗の腰掛。これからいくつもの岩峰を越えていかなければならない大変さは、この時はまだ分かっていない
- 中央左の白い大きな岩の左から取付く
- 独標、取付き
- ピッチの終了点から見たところ。4人のうち、ダブルアックスが2人ピッケルのみが2人
- 3ピッチ目のスタート
- 4ピッチ目の登り
- 槍が見えてきた
- 独標からコルに下り、次のピークに登る。古い残置スリングのところをトラバースして1ピッチ
- コブの頂から見下ろす
- 16時を回っていたので、頂の上を整地してテン張ることにする。本日は微風快晴なり。最高のテントサイト
4日目
目覚めた体を起こしながら、雪稜を歩き始める。滑落の怖さの中、稜線を縫って右に左に歩き懸垂2回の後、1ピッチ登るとその先に岩峰はなく、北鎌平まで稜線通しに歩けそうなところに出る。少し安心。しかし未だ懸垂が1回あった。
昨日の幕営予定地の北鎌平に着いたのは、12時を回っていた。すでに6時間以上行動している。これから大槍、あと何時間かかるだろう。
北鎌平は意外に狭いと感じられた。やや左側の尾根通しに光る雪壁を詰め、岩と雪と氷のルンゼを登り、最後はやさしめの岩登りで山頂、祠の裏にひょいっと出た。北鎌平から1時間、意外と早く着いた。大槍ではロープ無しだった。ここまでずっと緊張していたが、やっと終わり、喜びを分かち合う。居合わせた登山者に集合写真を撮ってもらい、みかんを食べて、下山にかかる。ここからは普通の道、うれしい。ゆえあって今日は槍沢ロッジ泊、素泊まり9500円也。
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- 夜明けの槍ヶ岳
- 大天井、常念方面
- 尾根上の歩けるところを探して進む
- 天上沢側に薄いトレースがあったが、くずれたら止まりそうもなく、カチカチの千丈沢側を巻き下りる。つまずいたら数百メートル滑落。ココが一番怖かった
- この辺りからは稜線通しのルートになる
- 近づく槍。小槍、曾孫槍、孫槍がよく見える
- まだこんなのがあった。最後のロープワーク
- 記念写真
- ようやく北鎌平、昨日の幕営予定地に着く。すでに12時を回ってる。大槍登攀は何時間かかるだろう。今日は肩の小屋になるのか
- 2人の姿から雪壁の傾斜度合いが分かる
- 岩と雪と氷のルンゼを越えて、山頂まであと10m
- やっと着きました。意外に早く北鎌平から1時間。これで帰れそうだ。うれしい
- 肩へ降りる
- 安全な道でうれしい
5日目
ゆっくり出発。徳沢あたりからマスクが増え、上高地では大勢の観光客がほとんどマスクを着けていた。河童橋に着き、生きて帰ってこられて良かったとしみじみ思う。
◎主な装備
50mロープ、シャベル、スノーソー(使わず)、2人がダブルアックス、2人がベイシックのピッケル
◎ロープワークの反省点3つ
1.独標次のコブのトラバース…白い残置スリングのところをトラバースした時、狭いルンゼ内で順番を入れ替えたりせずに、ロープだけもらってそのままリードしていれば、30分は速く抜けられた。
2.赤紫のテープスリングを残置に追加した懸垂…下りてロープが引けるか確認した時、片方は引けるが片方が引けないので、真っ直ぐの懸垂を指示したが、ロープが石を落としたかもしれず、当たるかロープが切れる恐れがあった。中段までは登り返しが容易だったので、ロープを振って上下に重なっているのを平行にして、引けることを確認してそのまま斜め懸垂とするべきだったかもしれない。
3.天井沢側の崩れる雪にロープ出した時…早くロープを出さなければと急いで垂らし、腰がらみの姿勢で少し後ろがかりになった時、雪稜から半回転し千丈沢側に落ちたが、刺していたピッケルで止まった。雪稜に座った時の重心移動は用心深く。
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- 最終日の朝。小屋で休んで少しむくんだかな
- 下山時の槍見河原から
- ウールの下着にウールの山シャツ、ウールの股引にウールのズボン。かなり暑い
- ヒャッホー、河童橋まで戻った (^o^)/